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異世界で裏から世直し始めました  作者: 闇の影
何事も最初の説明が肝心です
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第1話 プロローグ

「んっ…くんっ!」


少女の声が部屋に響き渡る。


「熱い、熱いよ!アズの…気持ち良いの!もっと、もっとして!」


少女は、愛する少年に向かってせがむ。  


少女レミアは少年アズベルによって、快感を与えられていた。


「…んっ。フフフッ。レミアも欲しがりだなぁ。」

「んっ、レ、レミアは欲張りなの!アズの《《魔法》》、もっとかけて!」


そう、魔法だ。


魔力吸収マナドレイン

その名の通り、相手の魔力を無理矢理奪い、己の魔力とする魔法である。


魔力譲渡。

こちらも名の通りで、自分の魔力を相手へと渡す魔法である。


これらの魔法は、普通であれば混じり得ない魔力を、無理矢理同じにしてしまう効果がある。


そのため、この二つの魔法をかける際には、術者及びその相手に耐え難い激痛が襲うのだ。有名な話では、結婚式前夜の男女が、夜遅くに女性が男性にこの魔法をかけ、両方とも激痛で気絶。結婚式どころではなくなった事があったらしい。愛なんてもので超えられる壁ではないのである。


アズベルは女神から与えられた?能力によって、この二つの魔法を行う時にだけ相手と自分に激痛を与えるのではなく、熱さ、寒さ、痛み、快楽などを、自由自在に与えることが可能になったのだ。もちろん、相手に与えている感覚を自分も共有する事となる。

 

その能力の名は、〈魔力自由自在マナフリー〉。一見、完全なるハズレ能力だが、アズベルは諦めなかった。


その結果がこの状況である。

決して、いやらしい事をしているのではない。


レミアは先ほど魔法の訓練を終えてきた所なのだ。魔法を使いすぎて疲れ果てていた。

魔法を使えば、魔力が減ってしまう。これは当たり前のことである。

しかし、レミアにはこの後用事があった。だらけきった顔で出向く訳にもいかない。それで、アズベルのところへ魔力を貰いにきたというわけだ。


もう一度言おう。

決していやらしい事をしているのではない。


ただの魔力譲渡をしているだけである。

そして、そのついでに筋肉のコリをほぐすマッサージをしているだけでもある。


「あっ…もっと強くして…うっ、くんっ…」

「ふっ…くっ…よし、このくらいで大丈夫だろ。」


もう結構な魔力を出したはずだ。

これ以上すると、逆にレミアに悪影響がでる可能性がある。


「んっ、くっ…ふぇ?」


どーしてやめちゃうの?とでも言いたそうに物足りない顔をして、レミアはこちらを見てきた。


「…ん?ああ、もう大丈夫だろ?」

「えっ、でも…」


顔を赤らめて、モジモジしているレミア。


(もっと欲しかったなんて言えない…)(魔力が) 


「なんだ。レミア、まだ足りないのか?もう充分、レミアに出してあげただろう。(魔力を)」

「な…なんて事言うのよ!この変態っ!」


レミアは顔を真っ赤にして怒鳴った。


「いや…普通に魔力が足りているか聞きたかっただけなんだが。」


アズベルはニヤニヤと笑っている。


(ふぇ?しまった!)

アズベルの策略に気付いたレミアだったが、怒りよりも羞恥が上回り、ついうつむいてしまう。


「アズベルの馬鹿ぁ…」


レミアは少し涙ぐみながらアズベルを睨む。


「悪かったよ、レミア。ごめんね。」 


さすがにやりすぎた、と思ったのか、アズベルはそっとレミアを抱きしめてきた。


「んっ。」


ピクン、と反応を示すレミアの耳元で、アズベルは甘い言葉をささやいた。


「レミアがあんまり可愛いから、つい苛めたくなっちゃったんだ。」

「ふぁぁんっ!」


アズベルの言葉が、レミアの全身を駆け巡る。


(な、なんで?…まだ、アズベルにシテ貰ってないのに…ついに私は、言葉だけで?!…)


無論、そんな事はない。アズベルがレミアの耳元でささやくと同時に、レミアに

無理矢理ねじ込んだのだ。(魔力を)


だがそんな事を知らないレミアは、その衝撃の事実にショックを受けていた。

それにより心の枷がはずれ、大胆にアズベルへと迫る。


自分を抱きしめているアズベルを、ベットへと押し倒した。


「もう一回…して?」


レミアはまるで男性を誘う婬魔の様な表情で、アズベルに問いかけた。


「ーーーーーー」


どちらからともなく、二人の顔は近づいてゆく。


そして、まさに触れ合わんとする時…


ガチャリ。

ドアの開く音がした。


「おーい!アズベル-!一緒にご飯食べよう…ぜ…」


赤髪のショートヘアーをした、可愛らしい少女だった。


『っ?!』


少女が固まり、二人も固まる。


「な…何やってんだよ!お前らぁ!」


少女は真っ赤な顔で、今にも爆発しそうだ。


「ちょっ…!お前誤解してるぞ。多分…」


実際そういう部分もあったのかもしれないので、強くは否定できないアズベル。


「えっ?!…アズベルぅ!お前…」


それを肯定と受け取った少女が怒りを露わにし始めた。


「ちょっと、じゃましないで下さい!私とアズは今からお互いに気持ち良くなるんですからか!(アズベルの魔法で)」

「ちょっとなに言っちゃってるの?レミアさん!」


この場で一番言ってはいけない爆弾ことばを投下したレミア。


「な、な、な…!」


ワナワナと震え出す少女。

そして…


「うわぁーん、アズベルのバカヤロー!」


少女は、本日最大の魔力爆発を行った。

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