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プロローグ

プロローグ




それは、幾年か前のこと。




「……あぁ、これを言わなくては。では、汝に告げよう。私は世界全体の魔法を消そうと思っている」


なんの話だ?魔法?中二病かよ


「魔法が、消える……?悪い冗談はよしてください、魔王様。」


魔王様?誰だ。


「冗談を言う必要はないはずだ。私は、魔法を封印したいと思っている……」


「そ、そんな!もし魔法がなくなったりしたら、魔王様は魔力を失ってしまいます!魔力で構成されているようなこの世界で、一体どうすればいいのですか!?」


魔力で構成?不思議なおとぎ話の世界かよ


「ここは東京だ。」


東京……?どこだ、そこ。


「昔の技術も残っているだろう。魔法ではなく、電気を使えばいい。魔族も所詮、人間のハーフだ。抵抗や反乱が起きた場合、お前が鎮めれば良いだろう。」


は?誰にそんな力がある?


「お前にだけ、魔力を残してやろう。私の魔力もやる。」


「なにを仰っているのですか!?そんなこと、できません!」


はは、なんだ。ただの夢か


「……すまない。だが、魔法はいずれ兵器になってしまう。お前の最強の魔法が知られたりすれば、どうなるかぐらいわかるだろ?」


「ですが……ぐはっ!!」


「本当に、すまない。ちょっとの間だけ、寝ていてくれ。そして、思い出せ」




ーーーーーー変な夢だ。こんなの経験したこともないのに妙にリアルだ。


途端に、視線を感じる。


「おい、男」


「よ、幼女!」


「おい、変態。幼女言うな」


記憶のない俺に、優しく(侮辱的に)話しかけてくれたのは、ある幼女だった。


「幼女言うなよ糞が」


「言葉が悪いぞ、幼女。」


「立場を弁えろ、半裸変態」


ふと辺りを見回すと、人に囲まれていた。避けるように(走り)去る人達もいれば、興味津々と俺の半裸を見て寄る人もいた。その興味津々な特殊趣味の変態達の殆どが、少女だった。ここには変態少女が多いのか!?と密かに喜ぶ俺もいた。


「そして、俺はなんで半裸なんだ?」


「そんなの知らねぇよ」


本当に何が起きたんだろう。


「くっ、これがギャップ萌えというのか……」


可愛らしい様相とは真逆な口調に俺は当然ながら萌えた。俺は一応健全な……あれ、なんだっけ。俺って一体何歳なんだ。


「幼女、俺のことを知らないか?」


「……数分前に初めて会ったはずだが、なんだか見覚えがあるぞ……最近行方不明になった、あの変態勇者か?www」


「つまり、知らないんだな……

ん、なんか変な言葉聞いたような気がする。変態……いや、それじゃない。

ーーーゆ、勇者!?勇者様!?俺って勇者なの!?」


「一々驚くな、愚民。お前はフライエールから来た変態勇者じゃないか?」


「……は?ふ、フライなんとか!?フリル!?」


「おい、どんな18歳がそんな変な自動変換するんだよ」


「俺は……18歳!?

た、助かった!エロ本読める!」


「やっぱ変態だ。勇者だからって、手加減しないぞ。愚民め」


俺は、「勇者を倒しちゃうぞ〜」と宣言している可愛らしい少女に向かって、


「プッ、かっわい〜!そんなこと言っちゃって、いいのかな!?あ、これはもしかしてあの伝説の実は少女が男よりも強いというあの展開!?……な、殴るのか!う、うわぁ!!

……おい」


ポコッという音もでない。マジでそういう展開を望んでいた。なのに……


「……俺……めっちゃ強い……!!!!!!」


顔面蒼白の俺の前に立っている可愛い幼女……コホン、少女は、目を見開きながらこっちを凝視している。


「……ごめんってば!そんな展開知らなかったんだよ!」


その時、俺は周りからの視線の異常さを感じた。皆、俺を見ている。ーーーいや、少女の拳を見ている。よく見ると、少女の手は黒く塗りつぶされていて……


「うわぁぁぁあああ!!?ば、化け物!!!!!!なんで手が黒いんだよ!お、俺が忘れてるだけなのか!?」


次の瞬間、

「キャーーーーーー!!!!!!」

という少女の悲鳴が聞こえた。というより、響いた。


「あ、あ、あ、あ、あ、貴方!まさか、本当にフライエールの勇者様!?」


どれだけ放心していたのだろう。反応が遅い。


「へ、へっ、へ!?いきなりなんだ!?」


なんておかしな会話なんだろう。さっき、俺をフライエールから来た変態勇者と呼んでいたじゃないか。それに、あのぉ、口調、大幅に変わりましたよ。と言いたい俺。


「で、その手はどうしたんですか?」


滅茶苦茶心臓がバクバクしているのを装いきれていない俺を、少女は敬意を込めた目で微笑んだ。

もう話についていけない。


「わ、私は下等……失礼いたしました。普通の方に触れられると私の皮膚が防御のために硬く固まってしまうのです。鉄のように。」


「それって、俺を下等生物だと言っているんだよな?」


なんとなく緊張して熱くなってしまい、体が熱かった。仕方なくいつ着たかもわからない服の袖をまくると、フレイールは信じられないというように俺の腕を見た。


「なっ、腕に稲妻の紋章!?

……申し訳ございませんでした!そ、その紋章は、王族の者の証でございます。もし本当なら、貴方はフライエール最後で最強の『勇者』であることになります。」


わぉ、急展開。


「……おい、レール。貴様の目だけでは判断できない。私に『それ』を見せなさい」


すると、一人の執事風の長身男性が現れた。一体何人がこの劇のようなものに参加するんだ。


「黙れ兄者。私の目はお前ほど老化していない。

ーーーそして、またレールと呼んだら、刺す。」


あ、殺すとは言わないんだ。


「っていうか、ようjy……フレイールの兄ぃ!?っていうか、他に男いたんだ!」


……あれ?フレイールって名前なのか?いつ聞いたんだろう。いや、それよりもこの不思議な関係を持つ兄妹に注目しよう。


「どれどれ、見せてごらん!?汚染された男の下等生物よ!!


……へっ?What!? I can't believe it!」


触るな、変態!


「兄者は、なんだって!?信じられない!と紋章を見て言いました。」


「感激です!ゆ、ゆう、勇者様ぁ!」


……ん?意味がわからない。どう解釈しろというのか。神様は越えられる試練しか与えないんだろう?ということは、これは神様に与えられた試練ではないということだ。


……いやいやいや、解釈とか関係なくなってんだろ。もう越えられないって決めちまったし。


「なんか、頭良くなる魔法とか思い出せないかな……

あ、あれだ!


――――――【ヒール】!体が癒されていく(ような)気がする!」


……次第にザワザワ、と騒ぎ始める野次が聞こえる。

「ひ、【ヒール】だなんてあんな初歩魔法……余裕の表れかしら。それよりあの方が勇者様なの!?」

「いや、あれは何かの撮影かもしれない。まさか他国の王族の方がこちらにくるなんて……それに、フレイール様の攻撃が効かないなんて、おかしい。」

「そうだったら、すごい演技力ね。あの勇者の真似をしている人も相当演技が上手いのかもしれないわ」

「でも、それにしても」

『つまらないわね』


俺は、は?っと思った。これは見世物なんかじゃないんだ。フレイールにもプライドぐらいあるだろ。いや、有り余るほどあるはずだ。


「王族の方は魔力が特別強いんでしょう?」

「勇者様が勝つに決まっているわ。」


―――聞き耳を立ててそんな会話を呆然としながら聞くフレイール。聞き流すはずだったのに、なぜか流れ出てこない部分がある。


「なぁ、自称上等生物共。ちょっと黙れ。このよう……少女がすごく、途轍もなく気力の無さそうな目をしているじゃねぇか。っていうか、俺ってそんなに下等なのか……?」


やはり、下等かどうかが気になってしまう。


「野次女狐共め。ぶっ殺す」


……フォローも、質問もスルーされてしまった。


「わ、フレイールの小さな体から殺気がっ!!」


赤黒いオーラがフレイールから見えたので、素直な感想を言った。


「あ、勇者様ぁ!それは禁句ですよぉ……」


だが、どうやら何かが禁句だったらしい。


「……「小さい」、ですか?やっぱり勇者を殺します。手加減なんかしなきゃよかったです。

【エレクトロフレームフォース】」


「……は?小さいの気にして、どわっ!


……ゲホッ、ゲホッ、

途中から不意打ちすんな!」


【エレクトロフレームフォース】。これはどうやら、炎と電気系魔法の技のようだ。俺は咄嗟に避けた。なんだか、魔法を使用される直前に弱い衝撃波を感じる。何故だろう。魔法だけは扱い慣れている気がする。


「なぁ、ようj……フレイール。実は俺、高難度攻撃魔法は覚えているようなんだ。こんな技、知ってるか?


――――――【コラプションフォース】。」


ドクン、ドクンといきなり荒波のように押し寄せる血液の塊が体中を巡っていた。


「ほらよ、見せてやるよ」


自分でも驚くほど自然と出てくる言葉と動きに俺はある疑問を投げかけてみた。

俺は、中二病だったのか。

いや、流石に魔法の世界にいるからそれはないか。しかも、俺は勇者らしいし。

あ、待てよ。なんで記憶喪失なのに言語は忘れていないんだ?それはよく使い過ぎて染みついてきているからか。

……そんな意味不明なことまで考え初めてしまっている俺。推定10歳ほどの少女に、これほどまで内心を乱らせまくっているなんて……

女子免疫が無いから仕方ないか……


「くっそぉ、幼女めっ!!」


変なところでムカつきながら、ぼわぁっと俺は雲を作った。それも、雷雲だ。勇者様の攻撃に怯えているからだろうか。逃げろ、避けろ、と悲鳴をあげている人が走る。


「……まさかその魔法、日本独自のやつ!?しかも、最高級レベル!やっ、嘘!なんでそんなに強いのよぉ!」


「あ、でもな。加減の仕方忘れた。やべっ……ほ、本当にごめん!」


この魔法のベース魔法は【コラプションフォース】だ。次に、加護エレメントは雷だ。コラプションとは、噴火だ。昔、俺たちの惑星には頻発に活動していた活火山があったらしい。モクモクと煙を吐き出す火山。火山灰にまみれる視界の先に、稲妻も見えたとか。そのような現象が起きてしまえば一気に半径数キロメートルに渡り、悪影響を及ぼすだろう。


「あ、やべぇ。噴火すんぞ、こりゃあ。」


「いやぁぁぁあああ!!!!!!仕方ないわ、

【Eager Force】!!!!!!」


……え、英語?なんで!?

英名の場合、日本では取得できないはず!しかもなんか、高波が見えるような気がする。


「おい、レール。【イーガーフォース】なんか使うなアホ。【ブロックビルド】」


【ブロックビルド】とは、某ブロックゲームのように自由にブロック型の物を組み替えれる魔法だ。


「あ、フレイールの変態兄者ぁ!防波堤作ってくれた!ごめん、そろそろ噴火前の地震が来るぞ。」


「……私が阻止してやる!!!!!!」


ギギギ、建物などから不吉な前兆の音が聞こえる。ドドドドドド、と次は高波が来る。だが、二つの衝撃を相殺させるためにバァンとそびえ立つ壁。さぁ、もう安心――――――


――――――――――――というのはあの馬鹿な兄妹だけで、火山と高波とそれ全体を囲む防波堤の中に俺は取り残された。


こんなの、勇者様にはへっちゃらだろ?あぁ、そのはずだ。

で、どうやって30mほどありそうな高い防波堤を超えるの?横50m、長さ100mほどありそうなのに。

なんで、あいつは俺を閉じ込めた。


――――――そんなことを言っている間に、噴火は起きた。



プロローグ、終わり

_____________________


勇斗

勇者である。

フライエールの勇者……らしい

戦闘能力は不明

能力値は全てフレイール以上


フレイール

少女。詳細は不明。

口が悪く、背を何故か気にしている。

戦闘能力は不明

能力値は勇斗以下。


フレイールの兄

勇斗よりも背が高い。

大体のことが不明。

何故か勇者を異常に尊敬している。


東京

日本の大都心。現在は魔族のハーフと上層や裕福層の人間であふれかえっている。


下等生物

魔法を使えない生物。使えない者として、使える者とは隔離されている。


魔族

不思議だが、たまに人間から生まれる。生まれた子は魔力が強いので、生まれたら幸運とされている。魔族は寿命が長いので、繁殖する必要があまりない。まず、男の魔族の出産が記録されていないので繁殖ができない。


魔法

魔術は数種類ある。

特殊攻撃型のフォース

近距離攻撃型のペイン

物体作成型のビルド(【ブロックビルド】の場合、ビルドでもブロックでもある。)

広範囲防御型のブロック

個人用防御型のバリア

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