デイサービス 福川 は今日もにぎやか
ああ、どうして、こんなにお元気なんだろう。
それが一番だけどね。
「六左衛門さん待ってください!」
私は白いワンコの獣人を追いかけた。
「お耳に指令がきたのー、主人、今参ります。」
六左衛門さんが入り口に爆走した。
高齢者の癖に速すぎだよ。
「雲母ちゃん、早くとめてー。」
看護師の律子さん言った。
分かってますよ。
「おっはよーこざいまーす!」
祷さんが言ってるのが聞こえる。
ああ、入り口の転移の門開いてるよ~。
事故報告書?ヒヤリハット?
「主人、犬神六左衛門、今お側に!」
六左衛門さんがかっこよく言った。
ご主人様とは朝わかれたきたじゃないですか。
「六ちゃん!おはよーなのじゃ。」
入り口の転移の門から誰か入ってきた。
「.......キサちゃん!キサちゃんなの~。」
六左衛門さんが言った。
止まったよ。
「六ちゃん、行くのじゃ~。」
吉田キサさんも駆け出した。
ただし、デイサービスの中に。
「いくの~。」
つられて六左衛門さんも中に駆け出した。
ああ、助かったよ。
「お祖母ちゃん元気だなぁ。」
キサさんを送ってきたお孫さんが言った。
むこうに吉田村が見える。
「では、お預かりいたしますね。」
祷さんが言った。
「はい、お願いいたします。」
お孫さんが言った。
デイサービスは日中
高齢者をお預かりする施設です。
お風呂に入ったり。
ご飯食べたり、おやつ食べたり
運動したり。
アクティビティをしたりして
一日過ごしていただきます。
福川の家は車(空間術で家みたいです。)
に転移の門がついた。
新しいタイプのデイサービスで
移動式デイサービスと言うにが売りです。
つまり、いつでも野外デー気分な
ちょっとセレブな方が使ってます。
桜川財閥と福田病院、社会福祉法人幸福館の
コラボ企画なんでまだ
一ヶ所しかないお試し企画なんですよ。
私は岩神雲母
魔竜族(闇)な介護師2級な新人です。
幸福館の職員です。
ここの職員は
みんな、幸福館の職員なんです。
幸福館は老人施設です、
特別養護老人ホームと
養護老人ホームがメインかな?
「寝ます。」
いつのまにか、六左衛門さんが
船崎美鈴さんに
捕獲されてました。
伝説の空間管理師は今も健在の
ようです。
「僕どうしたの?」
六左衛門さんがビックリしたような目を
して美鈴さんに抱かれていました。
六左衛門さん、伝説の護衛官が
どうして、捕まるのさ。
「寝るのじゃ~。」
キサさんは元気だなぁ。
「バイタル符はったらね。」
看護師の花山律子さんがキサさん
の手にバイタル符を貼った。
バイタル符というのは、
熱、血圧、脈、呼吸数等が一瞬で測れる
い3センチメートルくらいの四角いカード状
のもので個人のデータ設定が
事前にしてあります。
「...おやすみなさい。」
律子さんは言った。
「ねぇ、吉田キサさん、血圧高いよ?どうしたの?」
転移の門を通って福田病院の
福田良幸医師
が顔を出した。
バイタル符はデータが
福田病院に送られるからね。
「朝から、走り回っただけです。」
律子さんは言った。
「先生、おはようなのじゃ!」
キサさんが言った。
「おはよう、空間難民さん、血圧高いから休んでね。」
福田医師は言った。
「分かったのじゃ行くのじゃ~。」
キサさんはそういって二人を引き連れて
おひる寝室に行った。
吉田キサさんは梅林遺跡でみつかった
空間難民で一緒にみつかった一族の
人と一緒に吉田村にすんでいる。
「空間難民の高齢者だからどきどきするなぁ。」
福田医師が言った。
まあ、今の人と違うところもあるしね。
今日の温泉は流れる温泉らしい。
気を付けないとね。
「わー、目が回る。」
小竜が洗面器にのってグルグルしながら流れていった。
「わー、光多郎さんー!」
祷さんが追っていった。
鮎会宮光多郎さん
は光竜の麒麟公だったそうです。
人型の本体はそこで洗われてますが。
小竜のほうが動きやすいので出してたようです。
「目が回るの~。」
六左衛門さんです。
わー、流されてる~。
あれ?なんか右足赤い..。
「痛いの~。」
六左衛門さんが言った。
怪我?怪我なの?
誰さ、こんな、温泉の企画立てたの?
「六左衛門さん、右足皮膚剥離しました。」
事故報告書...それもだけど、
御家族にあやまらないと。
「分かった、福田先生がくるから。」
律子さんが言った。
普通はこんなに早く医師は来ない。
コラボしてるのと、ご家族に
主治医は福田医師にしてもらってるから
すぐ、こられるんだよね。
「花山君、リフルかけるから。」
福田医師が言った。
リフルは初級回復魔法です。
「はい、先生。」
律子さんが言った。
もう、傷口は清潔になってる。
すごいな?いつのまに消毒符使ったんだろう?
「リフル。」
緑から黄色の柔らかいひかりが
傷口をおおった。
「もういたくないの。」
ピスピスお鼻を鳴らしてたワンコが言った。
傷口は見事にふさがっている。
すごいな。
「六左衛門さん、怪我したそうだな。」
五十嵐雄高センター長
が出てきた。
相変わらず、つやつやぴかぴかな
見事なハゲ頭だな。
拝んでおこう。
「岩神さん、拝んだな?」
センター長が言った。
別に良いじゃないですか。
「拝んでません。」
しらばっくれよう。
「...まあ、それより、犬神さんの怪我だ。」
センター長が言った。
そうだよね。
「まあ、大丈夫ですよ。」
福田医師が言った。
なんか、福田医師もセンター長を
拝んでる。
「そうですか、岩神さん、事故報告書書いといてくれ、ところでなんで拝んでるんですか?」
センター長がふしんそうにいった。
「いやー、神々しいきらめきだなと思ってさ。」
福田医師が言った。
「神々しいのじゃ。」
キサさんも拝んでる。
「写真、カメラ撮影!」
パートのルシアスさんが言って
キサさんのナムナム写真とった。
きっと、もう一人の看護師さん(今日は公休)
があとでなんか書いて展示なんだろうな。
センター長の頭は神々しいです。とか。
「オレの頭は神々しくないです。」
センター長が言った。
「神々しいのー。」
六左衛門さんも
ワンコの手で拝んだ。
なんか可愛い。
「ともかく、家族には連絡するから、しっかりと頼む。」
センター長が言った。
まあ、そうですよね。
今日は、あと、温泉街散策の
アクティビティが午後あるんです。
大丈夫かな?
「まあ、温泉梅饅頭美味しそうね。」
木霊族の大木梅さんが言った。
大木さんは頭はクリアだけど、足が弱ってるので車イス使ってます。
大木総合商社の大奥様です。
「ご試食いかがですか?」
売り子さんが半分に切ったものをくれた。
「美味しいわー、買って帰ろうかしら♪」
梅さんは言った。
今、思ったんだけど、梅さんって
梅の木の木霊だよね、
梅饅頭、共食いなんじゃ...。
いいけどさ。
「今日のおやつは梅饅頭と温泉プリンだな。」
センター長がそういって購入した。
別にセンター長が食べるわけじゃ無いです。
お年寄りおやつです。
梅饅頭は飲み込みのいい人。
温泉プリンは嚥下が悪い人
つまり飲み込むちからの弱い人ようです。
年取るとそういうところも
弱って来るんです。
「楽しいのじゃ♪」
キサさんがウキウキ
六左衛門さんとあるいています。
「美味しそうなの♪」
六左衛門さんが温泉蒸しパンを
みて言った。
「そっちも少し買うか?」
センター長が呟いた。
何とか終わりました。
温泉蒸しパンも温泉梅饅頭も
温泉プリンもおいしかったです。
お年寄りが一口ってくれるんだもん。
「雲母ちゃん、事故報告書用紙ね。」
律子さんが渡してくれました。
ああ、それがあったよ、
今日は事故検討しないと
帰れないよね...。
ああ、疲れた...。
なるべく、事故がない
楽しいデイサービスがいいな。
明日も頑張ろうっと。