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重荷

 夢にみた光景よりも現実は悲惨だった。人が何人も倒れ車が燃えていた。血と油が道路に散乱している。夢の中でただ”敵”と呼んでいたそいつは目の前に立ちふさがり金切り声をあげた。身の丈1丈ほどあり全身が黒く細い、両手が鎌のような刃物になっており蟷螂のような印象を受ける。

 武者震いする体の感覚をなくすために走り出す。

「ここでおまえを倒すはずだ、そういうことになっている」彼は駆け寄った車の残骸から棒状のものと盾の様な鉄板を引き抜いて両手に構えた。

 ”敵”との距離は3丈5尺、あらためて思う異様な光景、その手の鎌が今にも伸びてきそうだった。

「おお!」雄たけびとともに”敵”に向かって疾走する、勢いは十分。盾を突き出す、気合も事足りている。右からの斬激を避けたまではよかったが左から振り下ろされた鎌を鉄板で受ける。足りなかったものは現実感と退く勇気。

 想像ではその後に鉄の棒で1撃を見舞う算段であったが相手の体重がのったなぎ払いを受け流す技術もなく横に吹っ飛び地面にたたきつけられて彼に夢の話が夢でしかないことをわからせた。

 黒い蟷螂は首をかしげて近づいてくる。動けない。逃げたかった、恐怖と、勝てなかったという現実から。

「サラ……この世界にはいないってことだね」こころの中でつぶやく。次の世界に行こうそこでなら君に会えるかもしれない、そう思った時。

 近くで人の気配。女の人の声だ。

「君だいじょうぶ? なんでこんな無茶を、イザナキそんな雑魚はやく片付けてよね」

 全身を打って聞こえる音はおぼろげで目も半開き、声も出せない。それでも少しは状況を把握できた。

 イザナキと呼ばれたその男は”敵”に向かう、左右のなぎはらいを1度目はかわし2度目は剣で受け流して股関節の隙間に鉄の塊を叩き込む。”敵”が崩れ落ちる。間髪いれずに顔を潰す、沈黙。

 またいろいろな情報が流れ込んできて現実に引き戻す。

 見覚えのある形、その剣は僕のものだ。夢では僕がそれを使って”敵”を倒したんだ。彼の気持ちは声にならない。

 そして目の前の女性こそ待ち望んだ彼女。彼は依然として声がでない。骨が1、2本折れているのかもしれない。「僕の知らない男と二人で何をしているんだい」小さなうめき声にしか聞こえない音を発して目を閉じた。

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