■悪役令嬢、重要な場面で噛んだ■
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今日は学園祭ーー。
学園の広場には、大勢の観客たちと学園の生徒たちが集まっている。
ここにはもちろん、聖女のエルノア、元婚約者のアーノルドもいる。
学園の生徒たちは今ここに、演目を披露しようとしているという、
まさに直前の時。
聖女「え…こんな大勢いる人たちの中で、演技するの…?」
近くにいる聖女がその観客の多さに怯えて震えている。
ちなみに私はこの後、そんな聖女に向けて、
公爵令嬢として堂々たる態度をし、格の違いを見せつける…という場面。
そう、ここは…
『重要なイベントシーン』なのだ。
長台詞もあるし、噛むわけにはいかない!
私は優雅に聖女のそばへ歩み寄り、
いつも持ち歩いている扇子を取り出し、口元を隠すように添え、
余裕そうにくすりと微笑む。
さぁ、いくわよ!
悪役令嬢「あら…怯えてらっしゃるの?
見てみなさい、聖女エルノア。この群衆全て…老若にゃんにょが…
…ろう…老若にゃんにょ……。…ろう、…老若にゃん…。
っ…。」
周り全員(「にゃん」?!)
悪役令嬢(…噛んだ。…しかも、しょっぱなの台詞で…。
ここ、格好良く長台詞言う重要な場面なのに…。
…だって、あれ、難しいんだもの。
『老若男女』? 誰よっ、こんな難解な言葉作ったの!!)
周りの生徒たち(ティセ様…可愛い…っ)
聖女(え…? 公爵令嬢なのに、ここで噛んじゃうの?
なに…この可愛いドジっぷり…)
王子(…公爵令嬢でこんな場面には慣れてるはずなのに…。
…いや、ちょっと…可愛すぎないか…これは。)
静まり返る広場からは
『キュン…ッ』
という効果音が、あちこちから聞こえてきそうなほどでしたが、
それに気づかないのは当の本人ばかり。
この学園祭の出来事以降、
ティセの隠れファンが激増しましたとさ。(※王子と聖女含む)
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