表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者物語その2 格闘家エイミーの指南書  作者: 琥珀糖玉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/8

ピンチの途中

落ち着こう、

とキラリは思った。


急にエイミーが吐血して倒れたし、

目の前には痩せた狼出てきたし、

なんなら今にも飛びかかりそうに

唸って体を低くしてるけど


…これ、落ち着いてる場合か?


「いやでも」

狼から目線を外さずに

じりじりと移動して

エイミーの前に立つ。

「やるしかないもんな」

手探るとエイミーによって

腰に下げさせられた

片手剣の柄が手に触れた。

そのまま抜くと、シャリンと音がして

白銀の刀身が姿を現した。

金属特有の重みを実感しながら構える。

「ごめんな」

傷付ける事への罪悪感から詫びて、

キラリは狼の跳躍と同時に駆け出した。


着地のタイミングを見て剣を振り下ろす。

当たった、と思ったが

実際は狼が避けたので

軽く切っただけだった。

ごわついた狼の毛は斬り辛く、

出血はしているようだが

傷も浅い。

むしろただ怒らせただけのような気がする。

唸りがさらに大きくなった。

怖い。

怖いけど。

後ろに引けない理由がある。


もう一回。

息を整え、唸る狼をよく見る。

前足に力をいれた。

狼が駆け出す合図だ。

強く剣を握る。

向かってくる狼に合わせて

横凪ぎに振った剣は

狼の足に当たったようだ。

ギャッと呻いて狼が転ぶ。

キラリが狼に向かって踏み込んだ。


剣の使い方なんて知らない。

でも薪割りならエイミーに教わった。


こんな時なのに頭の中に

静かなエイミーの声がする。


足は肩幅に開いて。

背筋は伸ばす。

膝の力を使って、

腰から落とすように振り下ろす。


刹那、狼の瞳に映る自分が見えた。

「ごめん」

剣が風を切る音と、肉を断つ感触。

短い呻きと共に狼が動かなくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ