山へ柴刈りに?
エイミーとキラリが山へ向かった後、
リョウは宿屋の食堂でお茶を飲んでいた。
そこへクリスがやって来て尋ねる。
「あれ?エイミーとキラリは?」
「あぁ。二人なら宿屋の主人が
ぎっくり腰で取りに行けないから
柴刈りを頼まれたって山に向かったで」
「ぎっくり腰?」
「そや。なんかよぼよぼの…。
あ、あのじいさんやろ?」
リョウが指差す先には
同じく食堂で酒を飲む爺さんがいた。
プルプルしているが上機嫌で
隣の席の客と話している。
「あんなに薪割ってたのに
まだ柴いるのかな…?」
「それウチも思っててん。
それに…宿屋の主人って客と酒飲むか…?」
「あんまり見ないよねぇ」
「え?あの人は
宿屋のご主人じゃなくて、
近所に住んでる
按摩のおじいちゃんですよ?」
給仕の女性が
リョウ達の話を聞いて教えてくれた。
「え?」
「え?」
不思議そうな二人につられて
女性も不思議そうな顔をする。
「じゃあ宿屋の主人って…」
「あの酒樽運んでる人ですよ」
給仕の女性が指差す先には
酒樽を両脇に抱えた
筋肉隆々の中年男性がいた。
「え?」
「え?」
「…ギックリ腰患ってるようには…」
「見えないねぇ…」
二人の視線に気付いたのか、
マッチョな宿屋の主人が近付いてきた。
「あぁお客さん、
お礼を言うのが遅くなってすみません。
今回は雪山の魔物を退治して下さるそうで。
皆助かったと感謝してるんですよ。
ありがとうございます。」
「え?」
「いや、凶暴な魔物なので、
討伐部隊を村で組もうと
していた矢先だったのですが、
お連れの黒髪の女性が、
自分達は都会から来た凄腕の冒険者だから
二人で行ってちゃちゃーっと
倒してくると仰って。
心配で止めたんですが
大丈夫だと向かわれました。
本当にありがとうございます」
「え?」
「え?」
つまり。
あの二人が向かった目的は
柴刈りではなく。
魔物討伐ということだ。
それも、多分キラリは
知らずに行っている。
「「…え??」」




