山へ柴刈りに
今日のエイミーのお迎えは、
扉を開けられるより前に
キラリが扉を開けた。
いつも無表情に見えるエイミーの顔が
少し驚いたように見えた。
「…おはよう」
「おはよう。今日は何する?」
「…腰を痛めた宿屋の主人が
小枝を取りに行ってほしいらしいわ。」
あの山に、と指を指す先の山には
霞がかっていて頂上が見えない。
つまり結構な山の高さだということだ。
「わかった。寒さ対策していこうかな」
こくりとエイミーが頷き、
じゃあ後で、とキラリが手を振ると、
「…筋肉痛大丈夫?」
とエイミーが小さく尋ねた。
「だいぶ治まったよ。
つかエイミーってすごいよな!
オレの筋肉痛が和らいだくらいに
色んな仕事を振ってくれるから、
トレーニングにもなるし、
緩和されてる気がする。ありがとな!」
ニコニコしながら言う
キラリをエイミーがじっと見つめた。
じー…。
じじー…。
「え?なに…?」
「…なんでもないわ
じゃあ準備次第行きましょう」
呟いてエイミーが隣の部屋へと
戻っていった。
数分後に合流すると
エイミーはモコモコしていた。
毛皮の上着と厚めのブーツ。
「え。そんなに寒いの…?」
「…備えておくに越したことはないから」
そういうものかと納得して、
渡されたブーツに礼を言って足を通す。
「…道具も借りてきたから、
背負ってもらうわね」
言われて背中にかけられた袋は
結構な重さだった。
「そんなに道具あるの!?」
正直なめてたかも…と呟くキラリに
「…じゃあ宿屋の主人のために
柴刈りに行きましょうか」
とエイミーが促した。
「…それと注意を。
山の上部にきたら
大きい声は出さないこと。
何かあれば必ず私を呼んで」
ほんとなめてた、
とキラリは思った。
登山道は結構な急斜面なところもあり、
ごつごつした悪路もあった。
そんな道によろめきながら歩くキラリに対し、エイミーはひょいひょい上っていく。
「…そこ。足ひねりやすいから気をつけて」
キラリにアドバイスする余裕すらある。
「わかった。ありがとう」
やっぱりすごいなぁ…と
息を切らしながらその背中を必死に追った。
ほどなくして。
キラリはふと疑問に
思ったことをきいてみた。
「なぁエイミー?
結構上ってきたと思うけど、
まだ上の方で拾うのか?」
登山としてはまぁまぁ登ってきたと思うが、
まだ木は拾っていない。
正直もう少し下の方に木の枝はあったが、
それを素通りして上ってきた。
「…えぇ。もう少し後に拾うわ」
「そっか」
もしかしたら上にある木々の方が
燃えやすいとかあるのかもしれない。
とキラリは思い、すいすい進むエイミーの後を追った。
さらに登った。
辺りはまだ雪が残っている。
そして木々は雪に隠れてほぼ見当たらない。
ペースを上げすぎたのか
息切れが激しくなってきた。
息を吸っても肺に入っている感じがしない。
少し前から頭痛がしていたが、
それもひどくなってきていた。
少し経てば和らぐ一過性のものだろうが
痛みが増した気がした。




