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三か月

 そうして主に僕がいっぱい話してデートを重ねて、二人で歩きながら、

「付き合ってもう三か月くらいだね」

付き合い始めの男女のよくある少し浮かれた気持ちのままに言ったら、

「付き合ってないですよ?」

どうしたんですか、という顔で返された。




 ・・・どういう事だろう?

 デートを重ねてもう良い仲だと思うのに付き合ってないと言う。

 会ってくれる。泊りにも来る。週末のほとんどを僕と過ごす。会う時は楽しそうに僕の話を聞いてくれる。たまに僕が手料理を振る舞うと美味しいと言って嬉しそうに食べてくれる。

 僕以外に良い人がいる気配は無かった。


 でも、そういえば彼女は敬語のままだった。僕と寝ても、肉体的にはオッケーでも、精神的には一線を引かれていたのか。


 そして、彼女の部屋に上げてくれた事はなかった。

 狭いし汚いから今日の所はどうか、どうか、といつも言う。

 そう言われると何かやましい事をしているように思えて、僕も引かざるを得なかった。お巡りさんを見かけると何も悪い事をしていないのに落ち着かなく感じるアレと同じだ。



 でも、いろんな話をして十分気を許してくれていると思っていたのに、付き合っていると思っていたのに、違ったのか。

 やっぱり僕はつまらない『顔だけ男』なのか。


 彼女の部屋には・・・男でもいるのか?

 そんな事ってあるのか。

 当初それとなく僕の部屋へお泊まりの招待をした時、彼女は自分の部屋でたくさん寝たいから、と言って泊まらなかった。

 けれど空振りした後にもう一度誘ったら、おずおずとたくさん寝ても良いかと聞いた。

 どうしてこんなにおずおずしているのだろう?これはスヤスヤ・タイプなのか、よもやゼツリン・タイプなのか。一瞬当惑したけれど、どちらでも良かった。どちらも大歓迎だ。

 たくさん寝ても良いよ、と言うと彼女は満足したような顔をして泊まり、十時間眠った。

 驚くべき事に彼女の言う所のたくさん寝るというのは七時間、八時間どころか十時間だった。そして連休に二日連続で泊まった時も十時間ずつ眠り、驚かされた。

 ゼツリン・タイプでなかったのは全然問題じゃなかった。二人して体の関係を大いに楽しんだ。



 十時間眠るのは美肌の秘訣なのかな。

 いや、ひとまず美肌の事は置いておこう。

 それにしても。

 言っていた。平日は毎日九時に寝て朝は七時に起きてシャワーを浴び化粧をして七時半に家を出て会社に八時半に着く。必ず毎晩十時間眠る。

 毎晩十時間寝る彼女が、僕以外の男の為に週末の色々な準備をして出て来るとは思えなかった。


 良いように利用されている関係なのか。

 けれど僕がこの三か月間付き合っているとマルっと勘違いするくらいには十分親密だったと思うのに、ここにきてまだ「付き合ってないです」と言うには何というか、彼女のメリットは少ないように思えた。

 ランチなどの代金を僕が払う事について罪悪感がある様子だった。

 利用されているとしても本当に彼女にとってのメリットが無さそうだった。

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