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3話

 アトラナートと呼ばれた志郎は、手前に居たNSD党戦闘員へ飛びかかる。

 飛びかかった志郎の速さは、まるで風のように速く、常人では認識するのは難しい速さであった。

「ハァ!」

 そのままNSD党戦闘員の上へ馬乗りになった志郎は、NSD党戦闘員に向かって連続して拳を叩き込んでいく。

「げっ! ぎゃ! がっ!」

 一発、二発、三発と連続で志郎の拳を受けるNSD党戦闘員。徐々に反応は薄くなっていきやがて絶命する。

 再びNSD党戦闘員達に衝撃が走る。

 残り五名となったNSD党戦闘員達であったが、その中の勇敢な三名が動き出し、志郎に向かって襲いかかる。

 志郎を囲むように位置取る三名のNSD党戦闘員。そして同時に志郎に攻撃し始める。

「ハイル! ハイル! ハイル!」

 襲ってくる二人のNSD党戦闘員に対して、志郎は両手を素早く前に向ける。すると、志郎の両腕から蜘蛛の糸が勢いよく放たれ、二人のNSD党戦闘員の顔を完全に覆い尽くしてしまう。

「が……が……」

 蜘蛛の糸を顔に巻きつけられたNSD党戦闘員は、苦しそうに糸を外そうとするが、巻きついた糸は強く巻きついて容易く外れない。

 そのまま呼吸ができなくなったNSD党戦闘員二人は、窒息死してその場に倒れる。

 背後から襲ってくるNSD党戦闘員に対して、志郎は後ろ蹴りを叩き込んだ。

「ギ!」

 喉に強烈な一撃を受けて、反射的に両手で押さえるNSD党戦闘員。

 続けて志郎は腕についているブレード――ヴェノムブレードでNSD党戦闘員の喉を掻き切る。

 鋼鉄をも切り裂くヴェノムブレードで切り裂かれたNSD党戦闘員の喉からは、まるで噴水のように血が吹き出す。

 やがてNSD党戦闘員の喉からは、血が枯れ果てて失血死する。

「むぅ……貴様! その力をNSD党に……」

「嫌だね」

 八対二という圧倒的人数差を覆された状況を打破すべく、志郎を勧誘しようとするムチを持ったNSD党戦闘員であったが、志郎は悩むことなく即座に断る。

 スカウトを断られたNSD党戦闘員は、苛ついたのか何度も地団駄を踏む。

 しかしすぐさま落ち着くと、志郎に向かって襲いかかる。

 一人のNSD党戦闘員はナイフを取り出し志郎に向かって振り、もう一人のNSD党戦闘員は手に持ったムチで志郎を狙う。

「はぁ! とお!」

 まるで生きているかのように襲いかかるムチを、志郎は手刀で叩き落とし。

 振り下ろされたナイフは、NSD党戦闘員の持っている手首を掴んで防ぐ。

「ぐ……」

「ぬぅ……」

 同時攻撃を完全に防がれたことに、驚愕の表情を浮かべる二人のNSD党戦闘員。

 そのまま掴んだ手首を撚ることで、ナイフを持ったNSD党戦闘員の重心を崩す志郎。

 そして重心を崩されたことで体勢が崩れたNSD党戦闘員を、一本背負いの要領で地面に叩きつける。

「ぎ……」

 アスファルトが砕ける音と共に、勢いよく頭から叩きつけられたNSD党戦闘員は、動くことなくそのまま絶命する。

 NSD党戦闘員を残り一人まで減らした志郎は、残ったムチを持ったNSD党戦闘員に視線を向ける。

「く……おめおめと逃げれば処刑される、ならば貴様の首を手土産にしてやる!」

 逃げることができてもNSD党の幹部たちによって自分は粛清される。

 自分の未来を悟ったNSD党戦闘員は、生き残るために素早くムチを志郎に向かって放つ。

 蛇の如く唸り志郎に向かって襲いかかるムチ。その速さは変身した志郎が、避けることに集中しなければならない程。

 右に、左に、と放たれるムチを回避する志郎であったが、攻撃どころかNSD党戦闘員との距離を詰めることさえできない。

(このままだとジリ貧だな……なら)

 状況が悪化していくことを危惧した志郎は、思いついた作戦をすぐさま実行する。

 攻撃を回避してNSD党戦闘員がムチを振り上げた瞬間、志郎は素早く両腕から蜘蛛の糸を大量に放つ。

 放たれた蜘蛛の糸は、路地裏の壁に粘着し、子供一人さえ通れないサイズの巨大な蜘蛛の巣を生成する。

「何!?」

 素早く生成された蜘蛛の巣に、驚くNSD党戦闘員。しかし振り抜いたムチを止める事はできず、ムチは蜘蛛の巣に囚われてしまう。

 すぐさま蜘蛛の巣からムチを引き戻そうとするNSD党戦闘員であったが、蜘蛛の巣の粘着力は凄まじく、ムチはびくともしない。

「今よ、手をこう動かして」

 今まで志郎の戦いを見ていたセーラー服を着た少女は、腰のあたりで手を動かす動作をする。

 それを見た志郎は少女の動きを真似してベルトを操作する。

 ベルトに装填された蜘蛛のカプセルを、もう一度押し込む志郎。

「スパイダーフィニッシュ!」

 ベルトから音声が鳴り響くと同時に、志郎の背中から八本の蜘蛛の脚が生えてくる。

 そして四苦八苦しているNSD党戦闘員に向かって、八本の脚は志郎の意思を無視して素早く襲いかかる。

「が……ぁ……」

 八本の脚によって穴だらけになったNSD党戦闘員は、苦悶の断末魔を上げてそのまま息絶える。

 倒れたNSD党戦闘員の体には八箇所の穴ができており、NSD党戦闘員の体にできた穴から、向こう側が見えることから、先程の一撃が鋭い一撃であることがうかがえる。

「やった。NSD党の戦闘員を倒したんだ。俺が!」

 嬉しそうに笑う志郎。しかしその喜びに水を差すように耳をつんざくような衝撃音が響き渡る。

 衝撃音がした方向に素早く視線を向ける志郎。

 音がした方向には、天魔忍者カザネとコウモリ怪人が戦っている方向であった。

 一瞬、躊躇する志郎であったが、音がした方向にすぐに走り出し向かっていく。

「へぇ……貴方はそういう判断をするのね」

 戦闘音がする現場に向かう志郎を見て、セーラー服を着た少女は面白そうに笑っていた。

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