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22話 鋼の竜を落とすためには

 「どうやって倒す?」

 「さっきの攻撃は効いたけど……少ししか傷を与えたれてないから……直接攻撃したい」

 「俺も同じ考えだ」


 少しずつ攻撃をしていくのもいいが、どこまで相手が耐えれるか見当がつかないため、その作戦はあまり良いものではない。

 魔法による攻撃もほとんど傷を与えられないだろうし。

 やはり、剣で直接攻撃するのが1番いいのだが、少し問題がある。


 「あの高さは斬撃範囲外だな」

 「私も……」


 とにかく、飛青竜(スリースン)をどうにかして地面に落とさなくてはいけない。

 とはいえ、そんな簡単に落とせるのなら誰かしらやっているだろう。

 飛青竜の翼が傷ついていないということは、それを成し遂げた者が誰もいない証拠だ。


 しかし、落とさなければ何も始まらない。

 魔法で翼を切り取るか?

 もしかしたら翼なら、魔法による攻撃が効くかもしれない。

 でも、高速で動く生物に当てることが出来るのだろうか。

 くそぉ……考えれば考えるほど可能性が潰されていく。


 ルーレルに意見を求めようと横を向くと、なぜか俺の方を見ながらしゃがみ込み、両手を合わせて地面に付けていた。


 「何してんの?」

 「乗って……」


 いやいや! 

 乗ってってどういうことだよ!

 

 「乗ってどうするんだ!?」

 「空にライを飛ばす……」

 「飛ばすって無茶苦茶な!」

 「無茶苦茶が1番いい方法……。多分飛ばしたら竜は追いかけてくるから……落下する勢いで斬り落として……。ライぐらいなら……結構飛ばせると思う……」

 

 早く乗れと無言の圧を下からかけられながら、渋々と手に足を乗せる。

 神の手に足を乗せる日が来るなんて、一度も考えたりしなかった。

 考えないのが普通なんだと思うけど。


 もうすぐ飛ばされるという時に、俺はあることに気付く。

 

 「落ちながら斬るって……そんなの無理じゃね? だって絶対に俺を喰おうとするはず――」

 「いってらっしゃい……」


 俺の言葉がルーレルの静かな声に遮られた直後、体に凄まじい圧力がかかり周りを見渡すと、すでにそこは空中だった。


 やりやがったアイツ!

 やりやがった!

 これは流石に高すぎだろうがぁ!


 下を向いてもルーレルの姿を確認することが出来ない。

 それに、並の山なら俺の方が高いぐらいだ。


 俺は剣を引き抜いてもう一度下を見る。

 すると、さっきまでいなかった飛青竜が、俺目掛けて牙が並ぶ口を開けていた。


 すでに落下も始まっている。

 

 あぁ! 

 魔獣に喰われて死ぬなんて絶対嫌だからな! 

 まだハーシュにも会いにいけてねぇんだからよ!


 体中に今まで受けた事のない風が吹き荒れる。

 それでも剣をなんとか構えて、大口を開ける飛青竜目掛けて落下する。


 喰うなら喰いやがれ!

 体の中から切り開いてやるよ!

 

 あと少し、あと2秒ほどで接触する――その時だった。

 

 「ふっ、なんだよ……最初から()()を伝えといてくれよ!」


 飛青竜の首に黄金の輝きを放つ鎖が、何重にも巻きついてその巨体を大きく傾けた。

 そのおかけで、俺から見て右の翼が目の前に来た。


 これで斬れる!


 「いい加減落ちてこいよ!」


 俺の剣は翼の付け根に当たり、まるで金属に当てたような音を響かせた。

 

 これは斬れない……!

 少し前の俺ならそう思っていたかもしれない。

 

 だけど今にとったらこんな翼……。


 「ルーレルの剣より柔らかいなぁ!」


 俺がさらに力を加えると、剣は翼の付け根に食い込んでいき硬い肉を断ち切った。

 俺の体全体に生暖かい血が吹きかかり、これでもかという程赤く染め上げる。


 「キャラララァァァァ……!」


 飛青竜の悲鳴に近い咆哮が、凶悪な口から漏れ出して黄金の鎖に引かれて地面に落ちていった。

 翼が生えていれば振り切ることなど簡単だっただろうが、片方だけになってしまった今では不可能なことだ。


 「柔らかくする魔法(フェレンテ)

 

 俺は地面をスライムのように柔らかく変化させて、無事そこに着地する。


 くだらないと思いながらも覚えた魔法が、まさかこんな時に役立つとは。

 役に立たなさそうなものも、捨てたもんじゃないな。


 「ナイス……」

 「下手したら死んでたがな」


 俺達がそんな会話をするなか、地面に落下した青く輝く竜は暴れまわっている。

 だが、まだ終わりではない。

 ただ落とせただけで、攻撃力が下がったわけではない。

 

 地面に落ち、俺達と同じ条件になった今からが――。


 「本当の戦いのスタートだ」


 

 


 

 

 

 


 

 

 

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