↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/54

1話 裏の勇者達

 「おい、雑魚。これ持ってけよ」


 ニヤッと笑いながら、俺は道具が詰まった巨大な皮袋を突き付けられる。


 「はぁ……わかったよ」


 俺はため息を袋を受け取った。

 だが、俺の返答が気に入らなかったのか、その袋を地面に叩きつけた。

 大事な物が沢山入ってるのに、よくもそんなことが出来るな。


 「ため息なんかついてんじゃねぇぞ!」


 俺は至近距離で胸ぐらを掴まれて、グッと顔を近づけられる。


 「いいか。お前みたいな雑魚は、剣を一振りするだけで殺せるんだ。お前を殺そうとすればいつでも殺せる」

 「ドラウロ。それは言い過ぎだ」

 「うるせぇ! お前も毎回ライを庇うんじゃねぇ!」


 木にように太い腕で、俺を軽く持ち上げると、洞窟の壁に投げつけられた。

 俺は上手く受け身を取ることができずに、背中からぶつかってしまい、ジクジクと鋭い痛みが走った。


 痛みで視界が歪むが、早足で近づいてくる音に気付き顔を上げると、漆黒の長髪を揺らしている影が見えた。


 「ライ、大丈夫か……?」

 「ありがとうハーシュ……。でも、いつものことだから大丈夫だ……」


 心配そうに見てくるハーシュにぎこちない笑みを見せながら、壁に手をつきながらなんとか立ち上がる。


 いつものこと。

 そう。

 これは今だけの出来事じゃない。

 毎日繰り返される、地獄の習慣のようなものだ。


 俺達は現在6人でパーティーを組んでいて、俺を含めた全員が勇者に選ばれた者だ。

 それぞれが大きな功績を上げて、何千人といる冒険者の中から、勇者に選ばれた。

 今の俺達は、人類の脅威である魔王を倒すために、このパーティーを結成した。

 魔王を倒すことは、全ての冒険者の最終地点だ。

 共に過ごすことで、お互いの信頼関係が上がり、より魔王を倒す可能性が上がると考えられたからだ。

 

 だけど、それが俺にとっての地獄の始まりだった。

 俺以外の勇者の内、ハーシュを除いて、俺の胸ぐらを掴んだドラウロを含む4人が、とんでもなくやばい奴らだったのだ。


 俺以外の5人は、想像を絶する強さだった。

 初めてこの5人で魔物の討伐に向かった時は、どうして俺がこんなところにいるのだろうと思った。

 もしかしたら、今すぐ魔王の元に行っても倒すことが出来るのかもしれない程だ。

 この5人はそれほど強いのだ。


 それ故に、ハーシュ以外の者は何かを失ってしまったのだろうか。

 民衆には笑顔を振りまいて、子供に優しく接する。

 誰がどう見ても、善人でしかない。

 そのせいで、民衆からは尊敬され、国王からは褒め称えられる。

 ドラウロ達は、自分たちの立場を理解したのだろう。

 弱者は、絶対に逆らってこないと。


 俺はこのパーティーで1番弱い。

 そのせいで、まともに活躍出来たことがない。

 俺は一度、このパーティーを抜けたいと言ったことがあった。

 俺がいない方がいい。

 俺がいたら、足を引っ張る。

 そう思ったのだ。


 だが、ドラウロは笑った。

 優しい笑みではない。

 凶悪な笑みを、浮かべたのだ。


 『おいおい。抜けるってマジかよ。でも安心しろ。俺がそんなこと許さねぇからよ!』


 そう言って、俺は腹を思い切り蹴られた。

 他の3人は止めることなく、見て笑い続けた。

 俺も反抗したが、ドラウロには全く歯がたたなかった。

 あまりの酷さに、ハーシュが力尽くでドラウロを止めて、手当てをされる。

 一体何回これを続けただろうか。

 いや、何回じゃないな。

 何十回、何百回。

 なんて情けない。

 

 俺に力がもっとあれば、そう何回も思った。

 俺は何度も、自分を恨んだ。


 

 

 

 

 

 

・面白かった、楽しかった

・続きが気になる


などと少しでも思ってくださった方は、↓の広告下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にして【評価】を頂けるととても嬉しいです。


もし、まだまだダメだなと思われた方は、★一つでも大丈夫です。

★1だけでも、大変励みになります!


もし、この作品が気に入って頂けたらブックマークをよろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。