94話 空の散歩での出会い
さて、最近の私の状況を整理すると。
まず、王女教育。最近座学よりダンスレッスンやマナーレッスンの方が多い。
次に騎士達に混ざって剣術訓練。これは王女教育の合間に騎士達に付き合ってもらってる。勿論、その時はイリスかリアンの監視付き。
最後に探知訓練。更に合間をみての訓練。
‥‥‥うん。王女教育以外は自分で言い出したことだけど、正直忙しい!
なので、イリス達が私の講師陣と話して本当に何もしない、休みの日というのを定期的にとる様に決めてくれていた。
でも、そんな日を作ってくれたイリス達には悪いが、何もせず大人しくしてるなんて勿体ない。と探知訓練を始める私。
ちなみに王女となれば公務とかありそうなものだが、私はまだしなくていいらしい。巫女でもあるからと今のところは免除されてるそうだ。姉様はたまに視察に行ったりしてる。
そして今日はその休みの日である。
朝食後の今、探知を発動させている。
まずは、両親と姉様を探せる様にだ。
私が突然、詠唱したと思ったらそのあとは黙ったままだったので、三人共不思議そうにしていた。
最終的に興味が勝ったのか、姉様が聞いてきた。
「ルリ、何してるの?」
「探知訓練です。」
「「「探知訓練?」」」
両親も私が何を始めたのかと興味が勝っていたらしい。
「はい。例えば、今ここにいないイリスがどこにいるか探したりです。」
「へ~!私達も探せるの?」
「まだこの訓練始めたばかりなので、すぐには難しいですね。」
「ルリは休みの日でもなにかしらの努力をするよな。」
「勿論です。生かせる様にならないと、力を貸してくれてる精霊達にも申し訳ないですから。」
「真面目ね~。ルリ、たまには思いっきりやりたいことをやってもいいのよ?ラズライトやフローライトに遊びに行ってもいいし。」
「‥‥‥遊びに‥‥なるほど。そういえば、フローライトに上位精霊のことを情報共有してなかったですね。」
「あら、なら行ってきたら?」
「そうですね。あまり長くいても迷惑かもしれないので、午前中に行ってサッと帰ってきますね。」
「え?じゃあ、午後からどうするの?」
「‥‥‥‥決めてないです。イリスに言ったら休めって言われそうで、街にも行けないかもしれませんし‥‥。」
「う~ん‥‥‥なら空の散歩してきたらいいんじゃない?」
「あ。それいいですね!セピオライトだけでも行ったことがない街とかもありますし。」
「‥‥降り立つなよ?」
「ええ~‥‥でも確かに、近頃の私は騒動に愛されてるみたいなのでやめておきます。」
そしてその後、父様達と分かれた私はフローライトに文字通り飛んでいった。
そしてフローライト城の上空まで来ると、まずルクスを見つけたので、声を掛けてから降り立ったのだが、ルクスを盛大に驚かせてしまった様で、しばらく固まっていた。
そしてフローライトの公族全員に上位精霊の存在と、私が空を飛べる様になったから、そのことを忘れないでねという旨を伝えて、さっさと帰ってきた。
そして昼食後。
私は空の散歩を楽しんでいた。
時々街ではなく街道に降りて森の入り口付近の木陰で休憩し、また飛ぶを繰り返した。
そして街道の途中で止まっていた幌馬車を見つけた。
休憩場所ではないところに止まっていた為、不思議に思い降り立って近付いてみると、護衛っぽい人達を含めて8人ぐらいが全員傷だらけで地面に倒れていた。
「何があったんですか!?」
「‥‥‥?あ‥‥あなた様は‥‥まさか!?」
「一先ず、治療しますから。ー光を司りし精霊アスカ。巫女ルリの名の元にその姿を現せー」
《‥‥話してる余裕はなさそうね。》
「うん。手伝って、アスカ。」
《ええ。勿論。》
「ーこの地に集いし光の眷属達よ、彼の者達に命の祝福を。【リザレクション】ー」
しばらくして、治療が終わると。
「このお力‥‥やはり第二王女殿下でいらしたのですね‥‥あ、私はルストと申します。お手数をお掛けしてしまい、申し訳ございません。」
「いえ。偶々通りかかっただけですから。それより、何があったんですか?」
「私は商人をしておりまして、隣の街に行く途中だったのですが、ここで魔物に襲われまして‥‥。幸い、積み荷が食料だったので、それを食べて満足したのか魔物達は森に帰り、難を逃れた次第です。」
「そうでしたか‥‥。これからどうされるのですか?」
「仕方ありませんので、一度引き返します。」
「でも、馬車の馬が‥‥」
「ええ。逃げてしまいましたが、押して行きます。大丈夫ですよ。殿下に拾って頂いた命です。無駄に散らすつもりはありません。」
「分かりました。ただ治療したとはいえ、流した血までは戻ってません。疲労もある筈ですし、ちゃんと休んでくださいね。」
「はい。重ね重ねありがとうございます。では、我々はこれで失礼致します。」
「はい。お気をつけて。」
そして見送ったあと。
「アスカ。」
《なに?》
「魔素溜まりがある?」
《いえ、まだそこまで濃くないわ。》
「じゃあ、帰ろうかな。」
《ええ。是非、帰って休んでほしいわ。》
「ふふっ。分かった。大人しく帰るよ。」
《うん。私も帰るわね。》
「うん。ありがとう、アスカ。」
《ふふっ。どういたしまして。またね、ルリ。》
そしてアスカが帰ったあと、私もゲートで帰った。
それから。
ルリは日々の王女教育、剣術や探知訓練を続けた。
休みの日は空の散歩をしたり、ラズライトやフローライトに遊びに行ったりして過ごした。
数ヶ月後。
ルリが16歳になる数日前。
この日ルリは魔素を消して戻ってきたあと、そのまま執務室へと向かった。
そして、ノックしたあと入室の許可を得てから中に入る。
「父様。ただいま戻りました。」
「ああ。ご苦労様。大丈夫だったか?」
「はい。問題なく。」
と再びノック音。来たのはイリス。
すると、私の方を向いたので、父様が「入れていいか?」と目線で聞いてきたのだと分かり、私は頷いた。
それを見て父様が「入れ。」と返事をすると、イリスと共に一人の男性が入ってきた。
あれ?この人‥‥どこかで‥‥?
「あ。ルリ姫様。お戻りでしたか。お帰りなさいませ。」
「うん。ただいま、イリス。」
「陛下。お目通りの許可を頂き、ありがとうございます。」
「構わん。で、ルリに渡したい物があるそうだな?」
「え?」
「ええ。その前に、第二王女殿下。数ヶ月前に殿下に拾って頂いたこの命を全うし、再び殿下にお会いできたこと、嬉しく思います。」
「あ。見たことある人だと思ったら‥‥あの時の商人さん‥‥ルストさんですよね?」
「ええ。覚えて頂いていた様で光栄にございます。」
「先程まであの時の場所にいたんですよ。魔素を消しに。」
「何と!そうなのですか!?」
「ええ。それに、あのあと大丈夫だったかと心配しておりました。」
「そうでしたか‥‥では、すぐにでも参上すれば良かったですね。」
「ふふっ。こうして無事な姿を見せて頂きましたから、それで充分です。」
「お心遣いに感謝致します。ああ!そういえば、殿下は数日後16歳の誕生日を迎えられるとか。」
「はい。そうですね。」
「私が本日、登城させて頂いたのは誕生日の贈り物を差し上げる為にございます。」
「え?」
えっと‥‥もらっていいのかな‥‥?
私が内心戸惑っていると父様が、
「とりあえず、見せてくれ。」
「はい。陛下、こちらにございます。」
と言ってテーブルの上に置いたのはまだ加工されていない原石だった。その原石の色は青。
「殿下のお名前と同じ、瑠璃色の原石を発見しまして。これは是非とも殿下にお渡しせねばとお持ちしました。」
「ほう。なかなかのものだな。」
「父様。私はこれを頂いていいのでしょうか?」
「ああ。折角持ってきてくれたのだ。受け取っておきなさい。」
「はい。‥‥ありがとうございます。ルストさん。」
「喜んで頂いた様で安心致しました。では、私はこれで失礼致します。」
そう言ってルストさんは去っていった。




