87話 精霊達の所へ
真っ赤な顔のまま戻ってきたルリ。
それを見てピンと来た母と姉。
「ルリ~。リヒトに何かされた~?」
「え!?」
「顔、真っ赤よ~?ルリ。リヒト君に何されたの~?」
「な、何でもないです!ってなんでリヒト確定なんですか!?」
「だってルリの顔を真っ赤にできるのはリヒトだけじゃない。」
「そうそう。ルリ~リヒト君に何されたの~?」
「い、言えません!ただ‥‥」
「「ただ?」」
「リヒトの笑顔の破壊力‥‥半端じゃないって改めて実感しました‥‥。」
『え?』
「私に言えることはそれだけです!ちょっと城内を散歩してきます!」
「「いってらっしゃーい。」」
と母と姉に見送られ、ルリは去っていった。
「ふふっ。あれはちょっとの間、戻ってこないわね。」
「ええ。顔の熱、なかなか引かないでしょうから。」
「リヒトさん、すごいですね‥‥。」
「ああ。ルリの顔を真っ赤にさせるとは‥‥今度、機会があったら聞いてみようかな‥‥。」
「兄上‥‥。」
そしてルリが散歩している間に帰り支度を着々と進め、それが終わる頃ようやくルリは玄関口に姿を現した。
「あら、ルリ。もういいの?」
「はい。すみません、何もしないで。」
「いいのよ。ルリも忘れ物ない?すぐに出れる?」
「はい。大丈夫です。母様。」
「なら、馬車に乗ってていいぞ。もう出発するからな。」
「はい。父様。」
そしてセピオライトの王族が全員馬車に乗り、いよいよ出発だ。
「皆様、またいつでもいらしてくださいね。」
「はい。陛下。今度はゲートでひょっこり来るかもです。」
「ふふっ。待ってるわ。ルリ。」
「はい。」
「またな、ルリ。」
「いつでも来ていいからな。また街を案内するから。」
「ふふっ。はい。スヴェート殿下、また。ルクスも、またね。」
そして挨拶を終えたセピオライト一行はフローライト城を出発し、帰国の途についた。
一週間後。
セピオライトに何事もなく無事に着いた一行。
城門を潜り、玄関口で馬車を降りると。
「あ!リアン、マリー、クロエ、アンヌ。ただいま!」
「「「お帰りなさいませ。ルリ姫様。」」」
『お帰りなさいませ。皆様。』
他にも騎士達を含めた留守番組が出迎えに揃っていた。
その中から宰相のカドル・アリストクラットが前に出てきた。
「カドル。私達がいない間、何事もなかったか?」
「はい。陛下。陛下がある程度、前倒しで仕事を終わらせてから出発してくださいましたので、滞りなく。」
「そうか。」
そしてそのまま二人で城の中に去っていった。
「ルリ。あの人のことはほっといて片付けちゃいましょ。」
「はい。」
そしてセピオライトでの日常に戻る。
それから数日後。
思い立ったが吉日とばかりに私は行動することにした。
「よし。」
「「「姫様?」」」
ルリが突然「よし。」と言ったのでマリー達は当然、きょとんだ。
「マリー、クロエ、アンヌ。ちょっと山登りしてくる。」
「「「は?」」」
いきなり何を言い出すんだ。と言わんばかりの反応をする三人。
「巫女だけが入れる御神木がある城の裏山。あそこを登ってくる。」
「え?何故突然?」
「オリジンや精霊達と話してくる。私はどうしたら今よりもっと強くなれるかを。あと、破魔の力を使いすぎて倒れるとかもうしたくないから聞いてくる。また倒れたら心配掛けちゃうし。」
「「「姫様‥‥。」」」
「だからオリジンを連れて行ってくるから、誰か来たら裏山行ったって言っといて。」
「いつお戻りに?」
「どれぐらい掛かるか分からないけど、なるべく早めに帰ってくる。」
「畏まりました。」
「姫様。お気をつけて。」
「うん。行ってきます。」
そして私は一番動きやすい服。剣術の訓練着に着替えて、まずはオリジンを迎えに大聖堂へ行こうと思ったのだが。
《行くのか?御神木のところに。》
ルリが部屋を出ようとしたらオリジンの方から来てくれた。
「うん。行く。オリジンも来て。」
《分かった。近道がある。ついて来てくれ。》
「え?う、うん。」
そしてルリの部屋を出て、オリジンの後をついて行くと
「あれ?祈りの間に行くの?」
そう豊穣の祈りの時と同じところを通っているのだ。
《いや。途中で違うところを通る。》
ということでそのままついていくと、確かに階段を登っている途中の踊り場のところで違う道に反れて進んだ。
ひたすらオリジンについていき、たどり着いたのは廊下の突き当たりにある扉。
そしてまたしても横にずれるオリジン。
ああ、また私に扉を開けてみてってことか。
と考え、扉の取っ手に手を掛けると今度は「シャン」と鈴の音の様な音がした。
今度はルリも予想出来ていたので驚くこともなく、扉を開けた。
そしてその先の景色は‥‥
勿論山だ。
近道って言ってたしね。
ただ、振り返ると扉は消えていた。どうやら一方通行の様だ。ルリ達が扉を通った後、すぐ消えたので徹底的に巫女と精霊以外を排除する様に出来ているみたいだ。
そして振り返った先。扉は消えたが、代わりに見えた景色は新鮮だった。何せ城の背後を見てるのだ。そして城の先には城下の街。今はまだ山の中腹辺りなのであまり見えないが、頂上に着いたら絶景だろうと想像できる。
一先ず頂上に向け、登り始めたルリ。
しばらく経って、頂上に着いたルリは予想出来ていてもやっぱり驚いた。
四大、アスカ、ラウムが揃っている。他にもルリが呼んだことがない精霊達も含めて一同に介していた。
《あ!ルリだ。》
《《《《《え?》》》》》
《本当にいらしたんですね‥‥ルリ様。》
「‥‥うん。」
《ルリ?どうした?》
「みんなが揃ってるの、初めて見たから‥‥」
《はは!なるほどな。で、ルリ。強くなりたいのか?》
「うん。アスカと集団治療してふらついたりしたからね。周りにこれ以上心配掛けたくないし、本当に必要な時に何もできないなんて嫌だから。」
《ふふっ。だから大好きなのよね~私。優しい心を持つルリが。》
《ふふっ。だからこそ巫女になって頂けた訳ですから。》
《そうね。シルフ。》
と話していると、
《あの‥‥あなたが、今代の巫女ですか?》
と灰色の長い髪を靡かせた女性が話し掛けてきた。
「は、はい。ルリ・セピオライトです。」
《私は時の精霊、クロノスです。どうやらみなさん、砕けた話し方の様なので、私のこともみなさんと同じく呼び捨てで敬語も無くして構いません。》
《あ。じゃあ‥‥僕も。》
こちらは真っ黒な短髪の男性。加えて超美形。
だが、暗い。雰囲気が。
《ちょっと、あなた自己紹介してないわよ?》
《あ。僕はシャドウ‥‥です。》
「クロノスとシャドウ‥‥。」
と言いながら二人をまじまじと見る私。
《《‥‥‥》》
そしてその私の様子を伺うクロノスとシャドウ。
「二人共、すごい美形‥‥羨ましい‥‥。」
私は正直な感想を言ったんだけど、二人は予想外だったのかきょとんとして、
《《え?》》
《ぷっ。‥‥最初に言うことが羨ましいって!おもしれぇな!ルリ。》
「え?だってみんなもだけど、この二人も負けず劣らずすごい美形じゃない。あ、クロノスとシャドウも私のこと、呼び捨てで敬語もない方が話しやすいなら無くていいからね。」
《う、うん。》《は、はい。》
《で、ルリ。話を戻すが、ここに来た目的は強くなりたいだったか?》
「うん。精霊達に手伝ってもらっても倒れない様にしたいし、破魔の力もなんとかしたいなって。」
《だからオリジンも連行して来たのか。》
《何言ってる。俺が近道を案内したんだぞ?俺は自ら来たんだ。》
《はいはい。分かった分かった。》
サラマンダーとオリジンはまさか友達かな‥‥?
《ルリ。サラマンダー含め全員悪友だ。昔から一緒にいたのは話しただろ?だから友人じゃないからな。》
「何で考えてること分かったの!?」
《分かりやすいぞ?ルリ。》
なんということだ!
ちょっと前に作者はやっと気付きました。
「宰相出してない!」と。国において重要ポストの一人を出し忘れるとは‥‥!ラズライトとフローライトも出してないですが、自国の宰相が出てないのは駄目だろうと‥‥やっと出せました。でも出たのはちょっとだけ。
‥‥‥ごめんよ。カドル。




