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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第四章 精霊術と破魔の力
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86話 勇敢で可愛い人

いつの間にか鬱憤晴らしが精霊術の練習に変わっていた王女二人。


‥‥‥‥周囲はそう思っていたのだが。


「姉様。あの土壁をそろそろ破壊しましょうか。」

「ええ。あれを破壊したら鬱憤晴らしになりそうだわ。」


『まだ鬱憤晴らしになってなかったんだ‥‥。』

※二人を見守る周囲の心の声。(イリス以外。)


「やっちゃって下さい!お二人共!できれば私も参加したいところですが。」

「え?イリスも?」

「私も女の身。姫様方と同じ意見です!」

「ならイリスもいいよ。」

「本当ですか!?」

「イリスがなに使えるか興味あるし。」

「私もいいわよ。私もイリスがなに使えるか見たいわ。」

「では、お言葉に甘えて三人で破壊しましょうか。」

「「うん。」」


『マジかよ‥‥。』

と心の中で呟き、苦笑いの男性陣。


「う~ん。破壊するなら何がいいかな?」


《なんならルリ様だけで破壊できますよ?》


『え?』

全員が驚いたが、


「駄目。三人で破壊する。」

「ふふっ。ではまず私がやってみますので、破壊できなかったらお願いしますね。」

「なにやるの?イリス。」

期待の目を向ける姉妹ににっこり笑うイリス。


そして土壁に向き直り、

「いきますよ。ー彼の者に裁きの(いかずち)を落とせ。【ライトニング】ー」


ドゴォォォォン


‥‥‥土壁の大半が壊れた。


「「すご~い!!」」

それを見てキラキラした目をイリスに向ける姉妹。


それを見て男性陣はちょっと引いていた。


「今のどうやったの!?」

「水の派生ですよ。雷の精霊術です。」

「私もできる?」


《ルリ様ならできますよ~。》


「やってみる!」

『え!?』

「え?駄目ですか?」

『どうぞ‥‥。』


「やった!‥‥ー彼の者に裁きの(いかずち)を落とせ。【ライトニング】ー」


ドゴォォォォォォォン


イリスより若干威力高めの稲妻が落ちた。


「できたぁ!」

「すごいわ!ルリ!」


《ユリは爆発させてみる?》


「やる!どうやるの?」


《ルリ様。お手本、お願いします。》


「え?なんで私?」


《ルリ様ならイメージできるでしょう?》


「うん。あ、口で説明するより見た方が分かりやすいから?」


《その通りです。》


「分かった。やってみる。えっと‥‥‥ーこの地に集いし火の眷属達よ。彼の者を屠りし爆炎となれ。【エクスプロード】ー」


ドガァァァァァン


『‥‥‥』

「す、すごぉ~い!ルリ!」

「姉様、これでイメージできますか?」

「うん。やってみる。ーこの地に集いし火の眷属達よ。彼の者を屠りし爆炎となれ。【エクスプロード】ー」


ドガァァァン


「「で、できたぁ!」」

『‥‥‥‥』

驚きで声が出ない男性陣。


それもその筈。雷二発、爆発二発で土壁は跡形もなく消え去っていた。それどころか地面が少し抉れている。

見てる者達からしたらドン引きものだ。


「姫様方。スッキリしました?」

「「うん!」」

「イリスは?」

「ふふっ。私もスッキリしました。久しぶりに思いっきり撃てたので。」

「良かった。‥‥ラウルさん、犯人にはきっちりお灸を据えてくださいね。」

「は!勿論です!」


『女性は怒らせたら怖い。特に目の前の三人。』

これをまざまざと見せられた男性陣だった。



そして既に夕方に近付いていたこともあり、城に戻ることになった。

そして今は歩いて帰る途中。


「結局、広場ではゆっくりできなかったな。」

「ですね。」

「やっぱり騒動に愛されてるのは私ですかね?」

「ふふっ。でも、私は楽しかったわよ?普段城下に降りることもなかったし。ルリの精霊術を存分に見れたしね。」

「ああ。それは確かにな。ルリはいい見本になった。」

「そうですか?」


《初めてにしてはかなり優秀ですよ!ルリ様。》


「そうなの?」


《はい!》


「‥‥‥できればこのまま四大を頼らなくて済む方がいいんだけどね‥‥。」


《でも、いつその時が来るかは分かりませんから。四大様は何も敵と戦うだけではありません。》


「えっと、ウンディーネに手伝ってもらって雨を降らせるとかだっけ?」


《そうです、そうです。》


なんせ四大。自然に影響を及ぼす存在だからね。気軽に「手伝って」って言っていい存在じゃない。


「う~ん。精霊術は今日みたいに精霊達に手伝ってもらって慣れていけばいいんだろうけど、肝心の破魔の力を強くというか、連度をあげるのはどうしたらいいんだろ?やっぱり魔素溜まりを地道に消すしかないのかな~?破魔の力が強くならないといけないんだけどな~。」


《そこはオリジン様に聞いてみてください。》


「うん。そうする。」



そしてその後は和やかに話ながら城に戻った。

夕食を食べ終わり、一息ついている時に今日のことを両国国王に報告すると、驚いていた。


翌朝、朝食後。

まずはリヒトをラズライトに送ることからだ。


「さて、リヒト。送るの、食堂でいい?」

「ああ。頼む。ルリ。」

「了解。ー彼の地に続く道を示せ。【ゲート】ー」


そして空間に人が通れる位の穴が開いたところで。


「フローライトの皆様。1日だけでしたが、お世話になりました。」

「気にしないでくれ。またいつでも来るといい。」

「はい。ありがとうございます。‥‥では、私はこれで失礼致します。」

「ああ。」


リヒトは挨拶が終わると、今度は躊躇なしにサッと穴を通っていった。


「ルリも行って姉様達に挨拶してらっしゃい。」

「あ。そうですね。ちょっと行ってきます。」


そして私もゲートを通ってラズライトに向かうと、伯父様達も朝食後の様だった。


「お。ルリ、おはよう。」

「おはようございます。伯父様。改めてすみませんでした。リヒトを連れ出してしまって。」

「構わないさ。ちゃんとこうしてまた送り届けてくれたしな。」

「ふふっ。ルリ、今度は遊びに来てね。」

「はい。またお邪魔しますね。」

「ルリ、もう帰るか?」

「うん。ちゃんとセピオライトに帰らないと。」

「じゃあ、その前にちょっとだけ俺に時間をくれないか?」

「へ?また来るのに?」

「ああ。今、少しだけ。」

「?‥‥いいけど、なに?」

と聞くと、手招きされた。


頭に?を浮かべつつリヒトに近付くと、手をとられて引き寄せられた。そしてそのまま流れる様に抱きしめられた。


「リヒト?」

「‥‥‥‥」

私が腕の中から問い掛けると、リヒトは無言のまま腕の力を緩め、私の顔を見た。


「??」


なんだろう‥‥?

と思ってきょとんとしながら首を傾げると、


「‥‥やっぱり可愛い。」

「へ?」


なに?突然。


しかも綺麗な顔でフワッと笑って言うんだから破壊力抜群だ。


「‥‥‥」

私が無言でリヒトを見ながら固まっていると、いつの間にかリヒトの顔が近付いていた。


「!!」

「‥‥‥久しぶりだな。キスしたの。」

すごく嬉しそうにリヒトは言ったが、私はそれどころじゃない。


やっぱりリヒトの笑顔の破壊力半端ない!


と思いつつ、恐らく真っ赤な顔で固まった私を見て、

「ルリ、顔真っ赤だぞ?‥‥やっぱり可愛いな、ルリは。」

「だ、誰のせいで真っ赤になったと‥‥」

「俺だな。」

「リヒト。我が息子ながらすごいな、お前。親の前で堂々と‥‥見せられてるこっちまで恥ずかしくなる。」

「あら。私はルリの可愛さを見れたから満足よ?でも、リヒト。そろそろルリを帰してあげなさい。」

「はい。勿論です。俺も満足ですから。」

と言いながらリヒトは私を解放してくれた。


「‥‥‥‥しばらく来れないかも‥‥」

「「え?」」


私はそのまま伯父様達に向かって「失礼します。」と言って開いたままだったゲートを通ってフローライトに戻った。


‥‥‥多分まだ真っ赤なままの顔で。

サブタイトルをちょっと変えましたが、これはリヒトから見たルリの印象かなと。

この言葉が作者の頭に自然と降りてきました。


さて、やっとフローライトから帰ります。

当初、こんなに長く書くつもりはなかったのですが、やっぱりちょっと楽しかったので長引かせてしまいました。

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