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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第四章 精霊術と破魔の力
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84話 鈍い姉妹

今度は広場に向けて歩き出した私達。


「なあ、ルリ。」

「ん?なに?」

「公園に行きたいって言ったのはあの子達の為か?」

「うん。気にしてたりするかな~って思って。実際、あの子達がイリスを私達から離した隙に誘拐されたんだしね。責任を感じたままなのはやだなって。」

「確かにな。」


そうしてリヒトと話したりしながら歩いていると。


《ルリ様!ルリ様!》

ウンディーネの眷属の子がいきなり焦った様に呼び掛けてきた。


「な、なに?どうしたの?」

と聞くと、私の肩に再び座り、


《広場に早く向かってください!》


『え?』


「わ、分かった。」


とりあえず私達がルクスの案内で広場に急ぐ。

たどり着いた先に見えたのは人だかりだった。


「‥‥‥人だかりだね。」


《ルリ様、ただの人だかりじゃないです!その向こうで人質とって喚いているのがいるんです。》


『はあ!?』


「‥‥‥私かな?騒動に愛されてるのは。」


『‥‥‥』


《ルリ様。そんな悠長なこと仰ってる場合じゃないです!人質は子供なんです!》


「!!‥‥ほう。」


『!!』


ルリが纏う気配が変わったことに気付き、驚く周囲。

実際、人質が子供だと知ったルリはその瞬間、怒りがこみ上げていた。


「水、風、土の子達。手伝って。」


《《《はい!》》》


そう言ってルリはそのまま人だかりに真っ直ぐ突っ込んでいく。

そして少し遅れてリヒト達は慌ててルリを追った。


その間にルリは人だかりを通り抜け、騒ぎの中心に出た。

そしてそこには本当に小さな女の子に短刀を突き付けて喚いている男がいた。


「あら?本当に子供を人質にとってるわね?」

「なんだ?お前‥‥ん?何かその見た目の特徴に覚えがある様な‥‥?」

「うわぁぁぁ~!」

「うるせぇな!ちょっと黙ってろ!」

と言って短刀を女の子に向けて振り下ろそうとしたので。


「ー風よ。彼の者を撃つ弾丸となれ!【エアバレット】ー」


私が放った真空弾は男の短刀を持つ手に当たり、短刀を落とすことに成功したが、男は無傷の為女の子を離さないまますぐに短刀を拾おうとしていた。


《ルリ様、あの子を守らないとです!》


「うん。ー水よ彼の者を守護する盾となれ!【ウォーターピラー】ー」


すると、女の子を包む様に水柱ができた。

その瞬間、突然現れた水柱に男が戸惑いをみせ、女の子から離すことができた。

次の行動、男が他の人質確保に移る前に。


「ー彼の者を縛りし鎖となれ。【アースバインド】ー」


男の拘束完了だ。


『すご‥‥』

周囲の人だかりからそんな声が上がる中、


『ルリ!!』「「姫様!!」」

とリヒト達の声が聞こえて振り返ると、私に近付いてきた。


「ルリ。無事か?」

「うん。大丈夫だよ。‥‥ラウルさん、お願いします。」

「はい。」


そしてラウルさんは、騒ぎを聞き付けてやってきた騎士と共に男を拘束し直した。

それを確認できたところで土の鎖と水柱を解除した。


その瞬間、女の子がその場に座り込んでしまい、再び泣き出した。


「うわぁぁぁ~!」


私は女の子に近付き、しゃがんで女の子の頭に手を置いて話し掛けてみた。


「もう大丈夫だよ。」

「うわぁぁぁ~!」


うん。聞こえてないな。

やっぱり怖かっただろうし‥‥‥どうしようかな。


とりあえず頭を撫で続けていると、ようやく落ち着いてきたのか、徐々に泣き止んできた。


「ぐすっ‥‥あれ?‥‥お姉ちゃん‥‥誰?」

「私はルリって言うの。」

「ルリお姉ちゃん?」

「うん。もう大丈夫だよ。あの怖い人、捕まったからね。」

「‥‥‥ほんと?」

「うん。どこか痛いところとかある?」

「‥‥‥ない‥‥大丈夫。」

「そっか。良かった。‥‥立てる?」

「‥‥うん。」


そして二人で立ち上がったあと。


「お母さんは?一緒じゃないの?」

「うん。待ってたらあの男の人に捕まった。」

「そっか。じゃあ、お母さんが来るまで私達と一緒に待ってる?」

「いいの?」

「うん。‥‥‥リヒト、姉様達もいいでしょうか?」

「勿論。」

「ふふっ。私達もいいわよ、ルリ。」

「ありがとうございます。リヒト、姉様。」

「さて、ちょうど広場にいることですし、目立つでしょうからこの子の母親もすぐに来るでしょう。それまで休憩してましょうか。」

「そうだね。まさか、精霊術3連発することになるとは思わなかったよ。」

「ふふっ。姫様。お飲み物を調達して参りましょうか。」

「うん。お願い、イリス。」

「はい。少々お待ち下さいね。」


そして私は女の子を挟む様に姉様と広場にあったベンチに3人並んで座った。

すると、今度は普通に声を掛けられた。

わりと綺麗な顔した男性に。


「そちらにいらっしゃる麗しいお嬢様方。不躾ではありますが、よろしければお名前を教えて頂けませんか?」

「「‥‥‥。」」

姉様と二人で固まる私。


「‥‥姉様。もしかして私達に言ったんですかね?」

「‥‥かもしれないわね。」

「「かも」ではなく、お二人に申し上げたのですよ。」

「‥‥私達らしいですよ。姉様。どうします?」

「う~ん。どうしようかしら?」


ちなみにリヒト達男性陣はラウルの手伝いで周囲で人だかりと化していた人達に経緯を聞くべく、共に事情聴取をしていた。視界の範囲内にいるため、大丈夫だろうとルリ達からちょっと離れている。


ただ、離れているのは「ちょっと」なので、目の前の男性より綺麗な顔をしている二人が間に入ってきた。


「駄目ですよ。この二人は。」

「おや?何故でしょうか?」

「二人共、それぞれ俺達の婚約者ですので。」

「それは失礼しました。‥‥‥ってま、まさか。スヴェート殿下でいらっしゃいますか?」

「ああ。そうだ。」

「‥‥一緒にいらした方は‥‥ラズライトの王太子殿下でいらっしゃいますか?」

「ああ。」

「!!‥‥お二人の婚約者ということは‥‥‥麗しいお嬢様方はまさか‥‥セピオライトの二人の美姫でいらっしゃいますか‥‥?」

「美姫って‥‥確かに王女ではありますが‥‥。」

「美姫って初めて言われました‥‥‥王女には違いないですけど‥‥。」

「!!‥‥‥失礼しました!!!」

と勢いよく一礼したあと男性はすぐさま脱兎のごとく去っていった。


「なんだったの?あれ。」


ただのナンパである。


「ふふっ。でも、ちょっと面白かったわね。」

「ふふっ。確かにそうですね。でも、なんで私達の名前なんて聞いて来たんでしょうか?暇そうに見えたから話そうとしたとかですかね?」

「そんなところでしょうね。しかも私達だけじゃなくてこの子もいるのにね。」

「話し掛けるのが私達二人だけとは、この子に失礼でしょうに。‥‥同じ女の子なのにね~?」

「ね~。」

女の子はよく分かってない様で私に合わせて答えただけだった。


ただ、二人は自分のことにはとんでもなく鈍い。

ナンパされたと気付いてないかもしれない。


それはスヴェートとリヒトにとって安心材料ではあるが、同時に「道理でなかなか自分達の気持ちに気付いてくれなかった訳だ。」と妙に納得させられたのだった。


そこに飲み物を持って戻ってきたイリスとルクス。


「お待たせしました。姫様。」

と言ってルリ、ユリに飲み物を渡し、ルクスが女の子に飲み物を渡した。


「ありがとう。イリス。」

「お兄ちゃん、ありがとう。」

「ふふっ。どういたしまして。」

「ああ。‥‥ところでユリ姉、ルリ。今のやつなんだったんだ?」

「さあ?私達の名前を聞きたいって言ってたけど、リヒト達が来たら「失礼しました」ってどっか行っちゃったから。」

「‥‥‥え?それ、な‥‥」

「気にしなくていいんじゃないか!?」

「「リヒト?」」「‥‥‥」

「失礼しましたって去って行ったんだ。もう関係ないだろ?」

「まあ、それもそうだね。」


その様子を見たルクスがリヒトに近付き、

「リヒトさん。ルリ達、ナンパされたことに気付いてないんじゃ‥‥?」

「だろうな。」

「なら、ちゃんとこういう時はこう返せって教えといた方がいいと思いますよ?二人共、自分のことには鈍感ですし。危ないですよ?」

「‥‥‥‥確かにそうだな。」

「‥‥‥‥俺もユリに言っといた方がいいかもな‥‥。」


という訳でナンパ男のことなど綺麗さっぱり忘れて、女の子と楽しそうに話していたユリとルリに男性陣からの説明が開始された。

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