83話 これからのこと
そして再び歩き出した私達。
「なあ、なんでいきなりルリに攻撃させたんだ?」
《え?ウンディーネ様から攻撃術をやらせてあげてって言われたからだけど?》
《あ。私もノーム様に何か使わせてあげてって言われた。》
「え?いつ?」
《今朝ですよ。もっと精霊達と仲良くして精霊術を使いこなせる様にと。いきなりウンディーネ様と精霊術使ったら危ないですから。》
「ああ~。アスカの時は治癒の対象がいたから大丈夫だったってだけか。」
《そういうことです。それもあって姿を見せたんです。》
「なるほどね~。」
「じゃあルリ、セピオライトに帰ったらその練習もする?」
「そうですね。城にいる子達に協力を頼んでみます。」
《ルリ様。ラズライトに来て私の力をお貸しするのでもいいですよ?》
「え?‥‥まあ、遊びに行った時はお願いするよ。」
「ふふっ。ルリ、精霊を口実にリヒトに会いにおいでって言ってるのよ。」
「「え?」」
《ふふっ。》
「「‥‥」」
「むぅ‥‥また弄りますか‥‥精霊まで‥‥あ。そういえば姉様。」
「ん?なに?」
「いつ結婚するんですか?」
「「え?」」
「だって私達が決まってて、姉様が決まってないってことはないですよね?」
「えっと‥‥一応私が20歳になったらよ。」
「一応?」
「ルリが帰ってくる前も後も、ルリが私達の結婚嫌がったらどうしようか?って話してたのよ。」
「私、関係あります?」
「無いんだけど‥‥ルリが王女に戻ってくれた後、リヒトと結婚してラズライトに行ってもセピオライトが実家な訳じゃない?帰ってきにくくなるかなって‥‥勿論、今はもうそんな事ないって分かってるわよ?」
「‥‥‥私が帰ってくる前はどんな風に成長したか分からないから判断できなかった。帰ってきたあとは魔素の塊の話を聞いてどうなんだろ?ってことだったんですね?」
「うん。そう。だからなかなかフローライトの話ができなかったのよ。ごめんね、あの時気分悪かったよね。」
「確かに釈然としないものはありましたが、ちゃんと話して頂けましたし、分かってくれてるなら大丈夫ですよ。‥‥ということは約2年後ですね‥‥頑張らないと。」
「何を?」
「なるべく早く強くなって日本に魔素の塊を破壊しに行かないと、と思いまして。私が嫁ぐ前までにとは思ってましたが、姉様の結婚式に被ったら私は一生後悔しそうですし、向こうのことも気になりますのでとっとと壊しに行かないとなと。」
『‥‥‥』
「皆さん、そこなのか。って言いたげな顔しないでください。」
「いや‥‥うん。でもルリはそう考えるよな。」
「そりゃそうだよ。姉様の晴れ姿、見ないと一生後悔するもん。絶対。向こうからこっちに戻ってくる時は出るところがランダムだからね。人間の国に出たらゲートで速攻で帰ってこれるけど、魔族の国ならまた徒歩から船で帰るか、人間の国の土地まで歩いて行ってからゲートで帰るかすることになるからね。余裕もって行かないと。」
「あ。確かにそうだな。」
「まあ、一番いいのはこの大陸に一発で出ることだけどね。」
「まあ、そう上手くいかないよな。」
「ルリ、リヒトさん。話してる間に公園に着きましたよ。」
「「あ。」」
いつの間にか公園に着いていた。
そして私達が誘拐された時と同じく、子供達が遊んでいた。
『あ!』
とあの時の子供達が私達に気付いて声を上げた。
そして私達に近付き、
「お姉ちゃん。前に騎士さんを連れ出してごめんなさい。」
『ごめんなさい!』
「あの時、一緒にいたお兄ちゃんと連れて行かれたのを見てどうしようって‥‥」
そう言いながら俯いてしまった。他の子達も。
私は代表して謝ってくれた子の前にしゃがんで目線が合うようにしてから話始めた。
「とりあえず怒ってないから顔、上げて?」
と言うと、素直に上げてくれた。泣きそうな顔だったが。
「私もこのお兄ちゃんもこうして無事だから、気にしなくていいよ。それにあの時は、おじさんのお願いを叶えただけなんでしょ?」
『うん。』
「なら、尚更気にしなくていいよ。私、あの時のおじさんとお話したから。おじさんも私達に謝ってくれたからね。」
「そうなの?」
「うん。私にお願いがあっただけだったんだって。無理矢理連れて行ってごめんねって。」
「そうなんだ。」
「‥‥ってことで、イリス。この子達のこと、怒らないよね?」
「ふふっ。はい。ルリ姫様が怒らないのを私が怒る訳にはいきませんから。」
「ふふっ。良かった。‥‥みんな。あの騎士のお姉ちゃんも怒ってないって。」
『良かった~!』
「‥‥ねぇねぇ。お姉ちゃんの肩にいるの、なに?」
「この子達は精霊だよ。」
『え?』
「精霊なの!?初めて見た~!」
《こんにちは。》
「!! 聞こえた!」
そうして精霊と子供達の会話がここでも始まった。
少しの時間が経ったあと。
ようやく子供達も満足した様なので。
「さて、私達そろそろ行くね。」
「また会える?」
「う~ん。このお兄ちゃんールクスーはこの国の人だから会えるだろうけど、私はこの国の人じゃないんだ。だからなかなか会えないの。ごめんね。」
「じゃあ、またこの国に遊びに来てくれる?」
「うん。たまには遊びに来るね。」
「うん!待ってる!」
「うん。あ、私の名前言ってなかったね。ルリっていう名前だよ。」
「ルリお姉ちゃん?」
「うん。そうだよ。」
と、話していると離れたところから女性達が走ってやってきた。
「ちょっとあなた達。また人様に迷惑掛けてるんじゃ‥‥‥ルクス殿下‥‥?」
「ん?ああ。そうだが?」
「失礼しました!うちの子達、何か粗相はなかったでしょうか!?」
「ふふっ。大丈夫ですよ。お話してただけですから。」
私が立ち上がりながら母親らしき人に声を掛けると。
「!!!‥‥その髪‥‥その瞳の色は‥‥セピオライトのルリ姫様でいらっしゃいますか‥‥?」
「あら?フローライトでもそれで分かるんですね。」
「ということは‥‥」
「はい。セピオライトの第二王女、ルリです。」
『!!!』
他の母親達にも驚きが広がった。
「ふふっ。私達だけじゃないですよ?」
と言いながらリヒト達の方を見ると、私の視線を追った母親達が固まった。
「ま、まさか‥‥スヴェート殿下にセピオライトのユリ姫様にラズライトの王太子殿下でいらっしゃいますか‥‥?」
「「「はい。」」」
『!!!』
やっぱりまた固まった。
その時、袖をくいくいっとされたので見てみると、
「ん?どうしたの?」
「ルリお姉ちゃんってすごい人なの?」
『!!!』
母親達が衝撃を受けている‥‥。
「う~ん。立場は確かにすごいね。」
「そうなの?」
「うん。でも、変わらずお姉ちゃんって呼んでくれると嬉しいな。」
「うん!」
「る、ルクス殿下!姫様に対してお姉ちゃんって‥‥大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫だろ。ルリ姫本人が許可してるんだからな。」
「‥‥‥ならいいのですが‥‥。」
「ふふっ。大丈夫ですよ。ルリ姫様はセピオライトでもあんな感じでしたから。」
「え?そうなのですか?」
「ええ。」
と母親達とルクス、イリスが話していた。
そして子供達に「またね。」と母親達に「気にするな」という旨を伝えてから今度は広場に向けて、再び歩き出した。




