80話 和やかな会話
さて、場所を移動してフローライト城の敷地内にある庭園。
途中、廊下を歩いているとリヒトを見た騎士達やイリス達に会い、全員が驚いていた。
そして何故か「私が連れて来た」の一言で納得された。
‥‥‥私は周囲にどう映ってるんだろ?
とちょっと複雑な気持ちで紅茶を飲んでいると、顔に出ていたのか隣に座っているリヒトが、
「ルリ。巫女になった時点である程度、色んなことができるだろ?なら巫女であるルリが俺を連れてきたって言えば「ありえるな」って納得できるんだよ。」
「‥‥‥そういうもの?」
「おう。」
「そっか‥‥。で、姉様。」
「!!‥‥な、なに?ルリ。」
「そんなにビクッてしなくても‥‥スヴェート殿下をいつから愛称で呼び始めたんですか?」
「ユリ姉が兄上の熱意に負けた辺りかな?」
「ルクス~!」
「姉様。ルクス殿下を責めるのは違いますよ。先程も申し上げましたが、私達を弄ったんですから当然返ってくるお覚悟はあったんでしょう?」
「うっ‥‥もう弄らないから許して‥‥。」
「むぅ‥‥スヴェート殿下、先程姉様が呼んだ愛称は殿下の方から?」
「いや。スヴェートって呼びにくいってユリが言い出した。」
「へぇ~。姉様達が結婚しても私達にとっては兄なので、兄様とお呼びすることになるでしょうから、本当に姉様だけの愛称ですね。」
「そうなるな。」
「婚約者がいないのは俺だけだな。」
「ルクス殿下もモテるでしょう?婚約者がいないことの方が不思議ですけど?」
「ルリ。ルクスは初対面のルリにあんな態度をとったやつだぞ?ルクスが気に入っても、相手が逃げる。」
「ああ~‥‥勿体ないですね‥‥。」
「だよな?」
「ルクスから逃げる?何でだ?」
「リヒト。私に対するルクス殿下の最初の態度を教えてあげよう。」
「お、おう。」
そしてフローライトに着いて、謁見の間での一連の会話を伝えると。
「それ、ルクスか?」
「ルクス殿下だよ。」
「ルリと今は普通に話せてるのは精霊のお陰か。」
「うん。」
「良かったな、ルクス。ルリが巫女で。」
「はい‥‥精霊があんなにルリに口が軽いとは衝撃でしたが。」
「それにルクスはルリに呼び捨てでいいって言ったのもまだ受け入れてもらってないしな。」
「ん?ルクスにも言われたのか?呼び捨てがいいって。」
「うん。でも、婚約者のリヒトは別として私はこの中で最年少。呼び捨てなんて失礼かなって思って。」
「ああ。確かにそうだな‥‥ってそういえば綺麗に一個ずつ歳が違うよな。俺達。」
「だね。」
上から順に
スヴェート殿下→姉様→リヒト→ルクス殿下→私だ。
《ルリ様~私達も話したいです!》
「ん?」
「どうした?」
「精霊。‥‥ウンディーネの眷属の子?」
《そうです。でも私だけじゃないですよ。みんな~!》
「え!?」
水の精霊に呼ばれてわらわらと精霊達が集まってきた。
「‥‥‥みんなどこにいたの?」
「「「「え?」」」」
《この辺りにずっといましたよ?》
《ルリ様やみんなと話したいから出て来ちゃいました~!》
「みんなとってことは私以外の4人と契約してる子達?」
《正解です。私はリヒトに引っ付いてルリ様のゲートを通らせて頂きましたが。》
「‥‥‥リヒトが使える精霊術って水?」
「ん?ああ。そうだよ。」
《あ、リヒトなら私もですよ。》
「えっと白は‥‥ラウム?」
《はい。空間の精霊です。》
「リヒト。ゲート通る時に水と空間の精霊もついてきたって。」
「え!?そうなのか?‥‥ってここにいるのか?」
「うん。いるよ。」
《ルリ様。リヒトと話してみたいです。》
「ふふっ。いいよ。おいで。」
私が手を差し出すと、その手に二人が降り立った。
《初めまして。リヒト、見える?》
「あ、ああ。見えるし、聞こえる。」
《良かった。私達はリヒトに特に文句はないけど、一つだけ。》
「なんだ?」
《ルリ様が何回も言ってるけど、無茶しないで。リヒト一人の命じゃないんだから。》
《そうそう。ルリ様が言ってくれた時、スッキリした。》
「そ、そうか。ごめん。」
《私達は基本見守るだけだったからルリ様と一緒にいても姿を見せなかったけど、さっきのみんなの話を聞いて私達も言っとこうって思ってね。》
《だから今になって姿を見せることにしたのよ。》
「そうか。空間は‥‥異空間収納か?」
《うん。リヒトはルリ様を迎えに行くって言ってたから必要かなって。でも私の力じゃ、ラウム様みたいに空間移動はできないからね。》
「そうか。でも助かってるよ。ありがとな。」
《ううん。ルリ様をちゃんと守ってね。その為の手伝いならいくらでもするから。》
「ああ。勿論。」
《ルリ様。ありがとうございました。》
「ふふっ。いいよ。また話したくなったら遠慮なく言ってね。」
《《はい!》》
《ルリ様~!》
「あれ?ルクス殿下の側にいたシルフの眷属の子だよね?」
《はい!ルリ様、ルクスの望みを叶えてあげてくれませんか?》
「ルクス殿下の望み?」
「え?」
《はい。ルリ様に呼び捨てしてほしいって言ってたでしょう?あれです。ルリ様と友達になりたいんじゃないかと。》
「‥‥‥。」
友達‥‥?とルクス殿下を見ると、シルフの眷属は私に触れてないので、見えてないルクス殿下は首を傾げた。
「なんて言ってるんだ?精霊は。」
「ルクス殿下が私と友達になりたいんだと思うから、殿下の望み通り呼び捨てにしてあげてほしいと。」
「「「ぷっ!」」」
私達以外の3人が吹き出した。
「な!‥‥な、何を言ってるんだ!?精霊は。」
「ですよね?私が殿下の友達なんて失礼ですよね?」
「いや、そうじゃないだろ。ルリ。」
「え?違うの?」
「ユリ姉とスヴェートさんが結婚したらルクスとも縁戚になるんだ。気安く話せた方がいいだろ?」
「あ、そっち?でも、それでも歳上には違いないからやっぱり抵抗があるかな‥‥。」
「ああ‥‥そういえば優人の時もそう言って結局呼び捨てせずに終わったな‥‥。」
「ん?ユウトって誰だ?」
「今の魔王陛下ですよ。ルクス殿下と同い年です。」
「「そうなのか!?」」
知らなかったフローライトの兄弟も姉様達の時と同じく驚いていた。
「え‥‥っと、何もされなかったのか?」
「はい。リヒトが一緒でしたし、優人さんだけじゃなく、宰相さんや優人さんの護衛の方々も優しい人達でしたよ?」
「「そうか‥‥。」」
「スヴェートさん、ルクス。ルリに驚かされるばかりでしょ?」
「ああ‥‥。」「はい‥‥。」
「多分、これで話してないことは無いと思いますよ。」
「いや、もう他にあっても「そういう子だ」と受け入れられる自信があるぞ。」
「同じくです。」
「ははは‥‥確かに。‥‥さて、話を戻すがルリ。」
「ん?」
「ルクス本人が望んでるんだから呼び捨てしてやったらどうだ?」
「え?」
「そうしてあげたら?ルリ。」
「俺からも頼む。失礼じゃないから。」
「え?姉様とスヴェート殿下もですか?じゃあ‥‥‥ルクス?」
「!!」
「敬語も無くていいぞ。ルリ。」
「何故兄上が言うんですか!?」
「いいんですか?」
「あ、ああ。」
「じゃあ‥‥ルクス。なるべく敬語を無くしていける様にしま‥‥するね。」
「やった!!ありがとな。ルリ。」
「ううん。」
「微笑ましいわ~。」
「だな。」
「‥‥俺より早かったな。呼び捨てにするの‥‥。」
「あ、リヒトがいじけた。」
「本当ですね、姉様。自分で言ったくせに。」
「うっ。」
和やかな会話は続く。
書いてみるとこの5人の会話。
作者的に楽しかったです。なのでちょっと長くなりました。




