8話 私の力2
さて、久しぶりに「あれ」をする。
ちなみに治療のことを言っている。
さて、雅の時以来だな。あの時のイメージを思い出して‥‥‥‥ってあの時無我夢中だったからな‥‥。
えっと‥‥‥
「ルリ?」
「えっと‥‥過去に一度だけある人に怪我を負わせてしまったことがあって‥‥。その時、私怪我を治せたんですよ。その時のことを思い出してました。」
「そうなの‥‥か?」
「リヒトさん?」
「まだ‥‥一応‥‥意識はあるが‥‥そろそろ‥‥まずいかな‥‥。」
「はい。頑張ります!」
えっと‥‥‥確かあの時、力が‥‥‥いけそう。
ルリはリヒトを抱き抱えたまま目を閉じて集中してやっていた為、またしても見てなかったが、リヒトの体が徐々に光り出して傷がどんどん塞がっていった。
それは背中の傷も最後に正面から受けてしまった時の傷も。
すげぇ‥‥‥ルリ‥‥。
ってあれ?傷、塞がったの気付いてないんじゃないか?
目、閉じたまま集中してるみたいだし‥‥‥
可愛いな‥‥‥‥‥じゃないだろ、俺!
ポンポン
腕をポンポンされたので目を開けると、リヒトさんが告げた。
「ありがとな、ルリ。もう傷塞がったからいいぞ。」
「え?あ‥‥‥せ、背中は!?」
「見てくれるか?」
「は、はい。」
そしてリヒトさんの上半身を抱き起こして背中を確認すると。
「塞がってる‥‥‥成功‥‥‥した?」
「ああ。ルリのお陰で助かった。」
「私?‥‥‥良かっ‥‥た‥‥リヒトさん‥‥。」
「なんで泣くんだよ。」
「安心したら出たんです‥‥」
あぁ~くそっ!こういう時、どうしたらいいんだ?
泣いて欲しくないんだけどな‥‥‥でも心配掛けたのは俺だしな‥‥‥
リヒトが心の格闘をしているとルリが抱きついてきた。
「ルリ!?」
「リヒトさん‥‥‥いなくなったら‥‥私、どうしたらいいんですか‥‥?両親の居場所も‥‥‥どんな人かも‥‥何をしてる人かも‥‥‥知らない‥‥のに。」
「そうだな。ごめんな。ルリ。」
リヒトは自分に抱きついたままのルリの頭を自然と撫でていた。
「なかなか泣き止んでくれないな。ルリ。」
「しょうがない‥‥‥じゃ‥‥ない‥‥ですか‥‥一瞬‥‥リヒトさんが‥‥‥本当に‥‥死んじゃ‥‥ったって‥‥思って‥‥」
とここでルリはリヒトから体を僅かに放して顔を上げ、正面からリヒトを見て。
「怖かったんですからね!もうあんな思いしたくないのでやめて下さい!」
と言った。変わらず涙を流しながら。
「ああ。俺もルリに泣かれると弱いみたいだし、痛いからもうこんなことはごめんだな。」
「‥‥リヒトさん。」
「なんだ?」
「涙‥‥‥止めたいのに‥‥止まらないんです。」
「え?えっと‥‥‥どうするかな‥‥?」
「リヒトさん。リヒトさんになら‥‥何されても文句はありませんので‥‥‥涙、何とかして止めて下さい。」
な!‥‥‥とんでもない殺し文句言うな‥‥ルリ。
「何されても文句ないのか?」
「はい。」
「言ったのはルリだからな。」
「え?」
と言ってリヒトさんが私にしたのはキスだった。
ちょっと失敗しかけまして遅れました。