68話 話は続く
公妃様がルクス殿下に対して、私に謝らないとまともに話してもらえなくなるよ?と言った言葉に反応したのは、ルクス殿下でも他の誰でもなく。
《え~!?それは困ります!ルリ様とお話したかったのに。》
「あれ?あなた、色からしてシルフの眷属?」
『え?』
《そうです。ルリ様。手に乗せてもらえますか?》
「うん。いいよ。」
そして風の精霊シルフの眷属の子が、差し出した手の上に降り立った。
「「「「‥‥‥。」」」」
フローライトの方々が固まってます。
「で、私と話してみたかったの?」
《はい。巫女様になられたルリ様がどんな方か直接話してみたかったのです。》
「そっか。それで、実際に会ってみてどう?」
《まずはやっぱりシルフ様に伺っていた通りしっかりされていて、可愛らしい方だな。と。》
「そ、そう?」
《はい。あとは、ルリ様の雰囲気が温かいので落ち着きます。》
「え?そう?」
《はい。》
「‥‥あ。それであなたはどうして謁見の間に?」
《ルクスに力を貸してるからですよ。》
「え!?」
「あら?ルクス殿下、風の精霊術が使えるのですか?」
「あ、ああ。まあな。」
「へ~!」
「る、ルリ姫。手の上にいるのは風の精霊か?」
「はい。そうですよ。陛下。」
《ルリ様。やっとルクスとも話せる機会なので近づいてもらえますか?》
「‥‥‥ルクス殿下が嫌なんじゃ‥‥?」
《ああ。大丈夫ですよ。ルクスは天の邪鬼なところがあるので、気に入った人には逆に冷たい態度になるんですよ。》
「「「あ。」」」
母様、公妃様、ルクス殿下の声が重なったけど、
「え?そうなの?じゃあ私、嫌がられてる訳ではないの?」
《はい。むしろ好きだと思いますよ。》
「うわ‥‥‥ルリ姫相手だとすんなり口を割るんだな‥‥精霊って‥‥。」
「え?」
ルクス殿下が何か呟いた様な‥‥?
「ふふっ。とりあえず大丈夫だから、フローライトの方々に精霊さんを見せてあげなさい。」
「え?は、はい。母様。」
そして私が玉座に更に近づくと、公妃様と二人の公子達も席を離れて集まってきた。
「「「「おお~。」」」」
「可愛いわね。精霊さんって。」
「この子は小精霊さんなので、そうですね。」
『え?』
「え?なんですか?」
「小精霊?他に種類が?」
「え?はい。えっと、まずは原初の精霊オリジン。公妃様は見たことがありますよね?」
「ええ。」
「それから四大や光、闇など、名前がある精霊達が大精霊。その眷属がこの子達です。」
『へ~!!』
「この子達小精霊ならこうして私と精霊が触れあっていたら、私以外の方も見えますし、声も聞けます。でも大精霊達は今は私にしか見えないそうです。」
『へ~!!』
「ほら、ルクス殿下と話したかったんでしょ?いいよ。」
と私が言うと、陛下達の視線が一気にルクス殿下に集まった。
「え?えっと、なんだろうか?」
《ルクス。今のルリ様に対してもだけど、その天の邪鬼を直さないと困るのはルクスだよ?》
『ぷっ。』
再び私達以外の全員が吹き出した。
「‥‥‥分かってる。」
《じゃあルリ様にもちゃんとした態度があるでしょ?》
「ぷっ。」
今度は私が吹き出す番だった。両手がふさがっているので顔だけ反らして笑いを堪えながら。
せ、精霊に諭されるって‥‥!
「ルリ姫?」
「いえ‥‥失礼しました‥‥‥。」
「はぁ‥‥みんなして‥‥確かにこのままは失礼ですね。ルリ姫、私の話を聞いて頂けますか?」
「はい。どうぞ。」
「まずは先程の無礼な態度と言葉、お詫び致します。」
「ふふっ。はい。理由は教えて頂けるのでしょうか?」
「えっと‥‥‥」
「ルクス。まずはさっき言葉選びを間違えたことを言わないと。」
「母上!?‥‥‥私、そんなに分かりやすかったですか?」
「ええ。ルクスはどこかに必ず本音が出てるもの。」
「???」
「ほら、ルクス。説明。」
「‥‥ルリ姫。先程、ちっこいのとか言ってしまいましたが、本当はリヒトさんが相手だと敵わないなと言おうとしてたんですよ。それが心の中で思っていたもう1つの方を悪い言葉で口走ってしまいました。」
「え?すみません、ますます意味が分かりません。」
と話してる間にルクス殿下の顔が徐々に赤くなってきてる。それに陛下達がずっと笑いを堪えてる。多分、私の背後の家族達も。
‥‥‥何故だ?
《ルクス。どんなに頑張ってもルリ様をルクスのものにはできないからハッキリ言っちゃった方がいいよ?》
『ぷっ!‥‥くっ。』「え?」「‥‥‥。」
また私達以外が吹き出した。
「‥‥‥確かにな。ルリ姫。」
「はい?」
「私はルリ姫に一目惚れしてしまっただけですよ。」
「へ?‥‥‥‥‥え!?えっと‥‥え?」
「ふふっ。大丈夫です。リヒトさんには敵いませんからあなたを狙ったりしません。ただ、先程はどう対応したものかと勝手に混乱していただけです。申し訳ありません。ちっこいのとか言ったのは小さくて可愛いと言おうとしたんですが、口が悪くなりました。」
「え!?えっと‥‥‥こほん。ま、まずはルクス殿下のご好意、嬉しく思います。ですが、私には先程も申し上げた様にラズライトの王太子殿下という婚約者がいます。なので、ルクス殿下のお気持ちにお答えできません。申し訳ありません。」
「ふふっ。分かってますよ。でも誠実にお答え頂き、感謝します。」
「それと、私も先程の言葉を撤回致します。」
「え?」
「陛下にフローライトは大丈夫かと、ルクス殿下に対して失礼でした。申し訳ありません。」
「ふふっ。先程の私は言われて当然です。お気になさらず。」
「ありがとうございます。」
《良かったね~ルクス。ルリ様と仲直りできて。》
「ああ。君のお陰だ。」
《へへっ。》
「ところでルクス殿下。」
「はい?」
「敬語ない方が話しやすかったりしますか?」
「どちらかというと、そうですね。」
「では、私に敬語は無くして構いませんよ。私の方が年下ですし。よろしければ皆さんも呼び捨てで呼んで頂ければと思います。」
「え?いいの?」
「はい。」
「じゃあ、ルリ。私のことも呼び捨てにしてくれないか?」
「え?私、年下ですよ?」
「1個だけだろ?」
なんか前にもこんな会話をしたな‥‥‥
あ。優人さんだ。
優人さんと同い年か。ルクス殿下。
「‥‥‥‥‥失礼では?」
「本人からの要望なのにか?」
う~ん‥‥‥結局優人さんもさん付け取れなかったし、敬語のままで終わってるからな‥‥‥でも殿下は姉様が結婚したら縁戚になるんだよね‥‥。
と私が無言で考えていたのが気になったのか、ルクス殿下がこう言ってくれた。
「すまない。すぐにとは言わないから考えておいてくれ。」
「は、はい。」
「ふふっ。とりあえずセピオライトの皆様は到着したばかりですから、ゆっくり休んでください。」
「ああ。そうさせてもらうな。」
ということでやっと謁見の間から出ることになった。




