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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第三章 決意とこれから
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50話 遥か昔の歴史

オリジンから聞き捨てならない言葉が聞こえた様な‥‥?


「オリジン。今、何て言った?」


《ん?魔族と人間に分かれる前って言ったことか?》


「聞き間違いじゃなかった‥‥。」


《むしろルリは不思議じゃなかったか?魔族と人間。見た目同じだろ?》


「えっと実際に人間側の人達に会ったことないけど、人間っていうからには私達と見た目同じ筈だよね?でも魔族と国を分けて今もいがみ合ってる。私が聞いたのはあと寿命と使う術が違うからお互いを差別してるってこと。両方を受け継いだ先祖達にも寿命が長い人と人間と同じぐらいで亡くなる人もいるとも聞いた。だから不思議に思ってはいてもそういうものだぐらいに思ってた。」


《そうか。ならやっぱり俺の知る範囲で最初から歴史を語るべきだな。》


と言ってオリジンは歴史を語りだした。しかも魔族という種族が生まれる前からの話。



最初にオリジンが目覚めたのは遥か昔。

この世界自体が産まれてどれ程経った後かは分からない。

オリジンが目覚めた時は目の前に広がる豊かな自然と、そこに住む動物達。そこから離れた場所に住む僅かな人間がいるだけだった。

そしてオリジンの周囲には四大精霊を含めた精霊達。


俺達に何をしろと?


そう思った時、声が聞こえた。


ーその地に住まう人間達に協力し、世界を豊かにせよー


この声の主はこの世界を作った神だと直感で理解させられた(・・・・・)

そしてその声はその後、聞こえてくることはなかった。

たった一言。人間に協力して世界を豊かにしろ。


理不尽だな。


そう思ったが、かといって他にやることもないしと思い直し人間に話し掛けてみた。

だが、他の精霊達とは話すのに自分とは話さない。


何故だ?


そう思っていたらたった一人だけ話せる人物がいた。

当時は名前がなかったので、その人物が白髪だったことから「ハク」と勝手に呼ぶことにした。そしてハクも同じく名前がなかった自分に名前をくれた。「オリジン」と。

どこからオリジンなんて出てくるんだ?と聞くとなんとなく浮かんだと。


適当だな。

俺も白髪からハクって言い出したから同じか。


それから精霊達と人間は協力して、できるだけ自然を破壊しないように生活環境を整えていった。

そして数十年掛けて人口を増やしていき、大陸を歩き回って各地に村を興したりして拠点を広げていった。

そしてその途中でハクは寿命を迎え亡くなった。


ハクが亡くなったあとは、子孫しか自分の存在を認識できなかった為代々契約を交わし、他の精霊達も人間と契約を継続して協力関係は続いていた。



そしてその後、西側には住めないと徐々に精霊達が東側に移ってきたなと感じていたある時、大陸の西の方の街で不穏な動きがあると聞き付けたオリジンと東側の人間達はその街へと急いだ。

そして西に向かう道中。丁度大陸の真ん中辺りでオリジン達が目にしたのは黒い影に覆われた大地だった。

ここが境界線だとでもいう様に綺麗に一線が引かれ、その向こう側は陰鬱な雰囲気を醸し出していた。


すると向こうから一人の人物がやってきた。

その者は闇の精霊シャドウと時の精霊クロノスと契約をしていた人物だった。

そしてその者はこう言った。


ー人生が50年以下なんて自分はごめんだ。変えてやる。時間の概念を。それで俺達の寿命を延ばしてやる。そしてこの素晴らしい闇の力に気付かないお前達と同じ種族でいたくはない。ああ、種族名を考えないとな?‥‥‥そうだ。これから俺達は魔族(・・)だ。お前達下等な人間共と一緒にするなよ?そしてお前達は我々には必要ない。だが、せめてもの情けだ。生かしておいてやる。この場から去れ。去らなければこの場で全員殺す!ー


と言ったあと、その者は去っていった。


東側の人間達はこの境界線の向こう側に向かうのは危険と判断し、やむなく引き返した。


その後判明したこと。それはあいつはシャドウの力を借りて、西側の人間達の負の感情を高め、それを原動力に西側の土地全体を闇に染めた様だった。同時に高めた負の感情とクロノスの力を借りて西側の土地の人間全てに老化を遅らせるいわば呪いじみたことをやってのけた。


本当に寿命を延ばしたのだ。

ちなみにやつが言っていた闇の力とはシャドウのことではなく、後に魔素と呼ばれる様になるもののことだった。

それからやつは本当に魔族を語り、国を作った。それがメフィスト国。


そして数十年後あの時と同じ場所に呼び出されたオリジン達精霊と代替わりした東側の人間達。

その時に寿命を延ばすことに成功したと知った。やつ自身が100歳を過ぎても当時の若々しい姿のままだったのを確認できたからだ。

そしてやつはこう言った。


ーどうだ?素晴らしいだろう?数十年経っているというのに、この若々しさ。お前達も試してみるか?ー


だが、東側の人間達は拒否した。


ー限りある命を全うしてこそ人生は面白い。長く生きたところで虚しくなるだけだ。ーと言って。


ーそうか。ならいい。お前達は下等生物のままでいればいいんだ。いつか俺の申し出を断ったことを後悔するだろうがもう知らん。勝手にするがいい。だから俺達のことにも干渉するな。ー


そう言ってやつは去っていった。


俺にはやつが結局何がしたかったのかは分からなかった。前に来た時はこの場から去らなければ殺すと言ったのに、今回は呼び出した上で干渉するなと言って去った。意味不明だった。

人間達が言うにはシャドウの影響で精神がおかしくなってしまったんだろうと。さすがにやつにもいずれ寿命がくる。ほっとけばいいと。やつもそれを望んでいるのだからと。


それからまた年月が過ぎたある日。

やつの訃報が届いた。自慢していた魔素に侵された動物。魔物に殺られてあっけなく死んだそうだ。

その時、契約していたシャドウとクロノスも力尽きて存在が消えたと。

だが、シャドウとクロノスが消えたのに西側の人間達の寿命は延びたままだった。西側の土地全体に呪いだけが残ったのだ。

そして使う術も精霊がいなくなったことで魔素を吸収して放つ方法をいつの間にか編み出していた。それが魔術。やり方は精霊達の力を借りていた時と同じ様にしてみたらできるようになっていたと。

境界線近くに住む西側の者が教えてくれたことだ。



こうして西側の者達はたった一人の人間とシャドウやクロノスの力で長寿と魔術を得た代わりに精霊術を失い、精霊達との共存の道も失っていた。

まだ歴史語りは続きます。

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