42話 共通認識が生まれたらしいです
色々あったパーティー会場から出た後。
「ねぇ、リヒト。」
「ん?」
「リヒト達が来てすぐ私達の婚約が決まったじゃない?」
「ああ。」
「私、父様と伯父様。最初からパーティーで発表するつもりで婚約を決めた様な気がする。」
「「正解だ。」」
と、私達の後に会場を出てきた父様達が背後から答えた。
「発表するこれ以上ない機会だろ?」
「確かにそうですね。」
リヒトの受け入れが早い‥‥。
「ルリ?」
「いえ。戸惑った私が馬鹿らしくなっていただけです。」
「そうか。」
「なあ。折角のルリの成人だ。皆で食堂に行かないか?ルリ、果実水しか飲んでないんだろ?」
「そうですね。行きましょうか、兄上。」
と言って二人が歩き出した後に、何も言わずついていく母様達。
これは私達もか?
「ルリ?行くぞ?」
とリヒトに言われたので、私も歩き出した。
やっぱり私もか。って私が主役か。
そして食堂に着いた。
一つのテーブルを7人で囲んで、各々が席に着くと私以外全員の前に次々とお酒が運ばれてきた。
全員の好みが把握されてるのか‥‥
私は勿論飲んだことがないので、どうするべきか迷っていると。
「ルリは軽いやつから飲むといい。お酒、試してみたくないか?」
日本ではお酒も20歳からだからちょっと迷ったが、「ここは異世界」と暗示の様に考えることにした。
「は、はい。試してみます。父様。」
「無理するなよ?」
「うん。大丈夫。駄目だと思ったらやめるよ、リヒト。」
そして運ばれてきたのは果実酒。
一口飲んでみると。
「あ。飲みやすいですね。美味しいです。」
「そうか。」
と、ここら辺で止めておくべきだったと思う。
談笑しながら飲んでいたのだが、ルリの異変に全員が気付いたのはルリが一杯目を飲み終わる頃。
無言で持っていた空のグラスをテーブルに置いた後。
「リヒト。」
「ん?なんだ?」
「椅子ごとこっち向いて。」
「え?何で?」
「いいから。」
「?」
全員が頭に?を浮かべていたが、リヒトが言われた通り隣に座っていたルリの方に椅子ごと向くと、あろうことかルリはリヒトの足の上に向かい合わせに座ってきた。
『え!?』
ちょうど肘おきがない椅子だった為、座れたのだ。
リヒトは咄嗟にルリが落ちない様にルリの腰に手を回して支えた。
「ふふっ。リヒト。」
「な、なんだ?」
「私のこと好き?」
「あ、ああ。勿論。」
「本当に?」
「ああ。」
「へへっ。私も好きだよ~。」
と言ってルリはリヒトに抱きついた。
『なに、この可愛い生き物!!!』
※食堂内にいる全員の心の声。(ルリ以外。)
「そ、それは嬉しいが‥‥酔ってるみたいだな、ルリ。」
とリヒトが言うと、ルリはリヒトから体を少し離して。
「酔ってないもん!」
『いや、酔ってるでしょ。』
※再び全員の心の声(ルリ以外。)
「むぅ‥‥‥そういえばリヒトは私のどこが好きなの?」
「え?」
「私の写真を見て一目惚れしてくれたのは聞いたけど、実際の私を見ても幻滅する要素がないって言ったでしょ?」
「言ったな。」
「私にはリヒトのどこを好きになったか言わせておいて、リヒトは一目惚れしか聞いてない。ずるい。教えて。」
「それは今話すことじゃないな。」
「なんで?」
「多分、明日起きた時に今のことをルリは覚えてないからな。」
「そんなことないもん!覚えてるもん!」
「それでも今は話さない。二人っきりになった時な。」
「むぅ‥‥‥。」
「主役がこれじゃあな‥‥部屋で飲みなおすか?ルエル。」
「そうしましょうか。兄上。」
「じゃあ私達も。リヒト君、そのままルリを部屋に送ってあげてね。」
「え!?」
「私の妹を襲わないでよ?リヒト。」
「リヒトはそんな人じゃないよ、お姉ちゃん。」
『え?』
「なに?」
『何でもない‥‥。』
そう言ってルリとリヒトを残して全員食堂を去っていった。
「ルリ。一旦降りてくれ。」
「やだ。」
「なんで?」
「リヒトの顔、こんなに近くでまじまじと見ること無いからまだ見てたい。」
「そう言われると恥ずかしいんだが‥‥。」
とリヒトが言うと、ルリは両手でリヒトの頬に優しく触れた。
「こんな綺麗な顔でこんなに魅力に溢れた人、他にいないよ。リヒトなら引く手数多だろうに、本当に私でいいの?」
「ああ。何度も言うが、むしろルリじゃないと嫌なんだよ。」
「へへっ、そっか‥‥‥ありがと。大好きだよ、リヒト。」
そう言ってルリはリヒトに軽く触れるだけのキスをしてからすぐにリヒトの肩に頭を預けて動かなくなった。
「っ!‥‥‥‥ルリ?」
反応がない。
と、間もなく肩辺りから寝息が聞こえてきた。
「寝ちゃったか‥‥まあ、しょうがないよな。」
そう言ってリヒトは片腕でルリの腰を支えたまま立ち上がり、もう片方の腕をルリの膝裏に回し横抱きにした。
「‥‥‥私もあなたが大好きですよ。ルリ姫様。」
そう呟いた後、ルリの部屋に向かった。
この時のルリを見るリヒトの顔は慈愛に満ちていた。
※実は最後まで壁の花と化して見守っていたマリー談。
そしてあの場にいた全員はとある共通認識を持った。
それは。
『人前でルリにお酒を飲ませてはならない。』
ルリが酔ってるところは作者が書いてみたかっただけです。
やっぱり20歳からですね。お酒は。
あと、疲れてるところに飲むべきではないですね。酔いが回るのが早まりますから。
なのでルリには最悪な条件下でした。
なんせ緊張が半端ないパーティーからの初飲酒ですからね。




