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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第三章 決意とこれから
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38話 洗礼

洗礼の日当日。城近くの大聖堂。


その入り口近くにセピオライトとラズライトの王族が勢揃いしていた。


「では、いってきます。」

『いってらっしゃい。』


洗礼は祈りを捧げるだけだが、一人で入ることが義務づけられている。他には何人たりとも入ることは許されない。神官でさえ。

なので、ルリは一人で大聖堂の中に入っていった。


えっと‥‥この建物、大聖堂って言ってたよね?

‥‥‥キリスト教ないよね?異世界だし。

これは深く考えちゃいけない類いかな?


とか考えつつ奥に進み、祭壇の前に着いて見上げると。


あれ‥‥‥ステンドグラス?

綺麗だけど‥‥‥

これも何故あるかは気にしない方がいいんだろうな‥‥。


そしてルリが当初の目的である祈りを捧げると、最初はステンドグラスから光が挿し込み、ルリを照らした。

差し込んだ光は徐々に範囲を広げ、大聖堂のあらゆる窓から差し込む程の広範囲のものだったが、目を閉じているルリ本人は気付いてない。

本来はある程度祈りを捧げた後は目を開けてステンドグラスから差し込む光を確認する手筈だったのだが‥‥


あ、あれ?祈り捧げた後ってどうしたらいいんだろ?

聞くの忘れてた‥‥。

‥‥‥終わっていいのかな?


と考えていると、声が掛かった。


《おい。もう目、開けていいぞ。》

「え?」


あれ‥‥?今私一人の筈じゃなかった‥‥?


恐る恐る目を開けて声が聞こえた正面を見ると、一人の男性が祭壇に座っていた。


「‥‥‥どちら様でしょうか?」

《分からないか?》

「えっと‥‥‥もしかして原初の精霊さんですか?」

《ああ。名前はオリジンだ。呼び捨てしていいぞ。》

「オリジン?あ。私はルリと申します。」

《ルリか。まず、その堅っ苦しい話し方やめないか?》

「え?いいんですか?」

《ああ。》

「じゃあオリジン。何でそこに?」

《ルリの洗礼を見るためだな。》

「見て何かあるの?」

《いや?何もない。ところでルリ、外で家族が待ってるんじゃないのか?》

「あ!えっと、オリジン。」

《いいから早く行ってやれ。》

「うん。分かった。またね。」

そう言ってルリは大聖堂から出た。


「すみません。お待たせしました。」

「「「ルリ、可愛い!!」」」「!!!」


あ。駄目だ。女性陣とリヒトは話にならなそうだ。


と瞬時に判断し、父様と伯父様の方に駆け寄った。


「父様、伯父様。中に原初の精霊がいました。」

「「え?」」

「本当に原初の精霊がいたのか?」

「はい。」

「そうか。」

「あ。髪の色は母様と同じみたいです。」

「ああ。そうみたいだな。」

「で、ルリ。あの光何だったんだ?」

「あの光?」

「ルリが入った後、すごい光が大聖堂を包んだんだよ。」

「そうなんですか?」

「あ。もしかしたらもう巫女になってたりするんじゃないか?」

《正解だ。》

「わっ!オリジン、いたの?」

「「え?」」

《おう。今言っていた大聖堂を包む程の光はルリが巫女になる為の光だ。》

「え?じゃあ私、もう巫女?」

《ああ。》

「今のところ変化を感じないよ?」

《手のひら、見てみな。》

「え?‥‥‥‥嘘、模様がない‥‥‥封印、解けたの?」

《ああ。》

「「ルリ!?」」


と、父様と伯父様が私を見て驚いていたので、自分を見下ろすと、私の体が光を纏う様に光っていた。


「な、何‥‥これ?」

《ルリの封印されていた分の力が溢れてるんだよ。》

「え?えっと、収まるの?」

《ルリ次第だ。抑え込んだら問題ない。抑え込まないと周囲を傷付けるかもしれんぞ。》

「え!?ど、どうやって抑えるの?」

《それはルリにしか分からない。俺はここまでを説明する為にルリの前に姿を見せたんだ。あとは自分で頑張れ。じゃあまたな。》

「ちょっと!?」


嘘でしょ!?どうしろと‥‥?


「ルリ、原初の精霊がいるのか?」

「もういなくなってしまいました。それで、私の体が光ってるのは封印されていた分の私の力が溢れているそうです。」

「え!?封印、解けたのか?」

「そのようです。手のひらの模様も消えてますので。」

「そうなのか?」

と、私の手のひらを確認する為か、父様が近付いて来ようとしたので。


「だ、駄目です。父様。近付いたら。この光、もしかしたら傷付けるかもしれないので。」

『え!?』

「ルリ、抑えられるんだよな?」

「それが、オリジンは私にしか抑え方は分からないと言っていたのですが、私自身いまいち抑え方が掴めなくて困ってます。」

そう話している間に光が強くなっていき広がり始めていた。


「えっ。ど、どうしたら‥‥」

と私がパニックになってきたときに。


「ルリ。落ち着け。」

「リヒト!?近付いちゃ駄目だってば。」

「大丈夫だ。」

と言いつつ近付いてくるリヒトの体に光が当たると小さく怪我ができていく。


「大丈夫じゃないよ!これ以上怪我させたくないから来ないで!」

「はは!ルリに来ないでって言われるのはちょっと寂しいな。」

「だから来ないでってば!」


と言っても聞いてくれずに私に近付いてきて、遂に抱きしめられた。


「な、何で‥‥何で来るの?怪我させたくないって‥‥言ってるのに‥‥‥今も怪我増え続けてるんだよ?」

「ああ。だろうな。さっきから痛いからな。」

「なら、何で来るの!?」

「ルリが困ってるから。」

「えっ‥‥?」

「ルリが困ってるし、今は泣き出しちゃったからな。なのに何も出来ないなんてそれは嫌だからな。」

「だ、だからって‥‥無茶‥‥しないでよ‥‥。」

「ルリ。俺は大丈夫だから落ち着け。ゆっくり深呼吸して。」

「え‥‥う、うん。」


すぅ~‥‥はぁ~‥‥すぅ~‥‥はぁ~‥‥


「‥‥‥‥リヒト‥‥落ち着く‥‥。」


やがてゆっくり光が収まっていき、ルリの体を光らせていたものはなくなった。


「ルリ。大丈夫か?」


リヒトが体をちょっと離してルリに問いかけると、ルリは自分の体を見下ろし、力を抑えることに成功したことを確認した後、リヒトの様子を見てからキッと睨んだ。


「私より自分でしょ!?何で無茶するのよ!?」

「えっ‥‥と‥‥ごめん。」

「‥‥‥‥‥‥ううん。謝るのは私の方。ごめん‥‥私のせいで‥‥怪我させちゃった‥‥‥。」

「だから大丈夫だって。」

「私が自分を許せない。怪我治すからじっとしてて。」

「は、はい。」


そしてルリの手から光が出て、リヒトの傷が塞がっていった。


「おお‥‥‥ありがとな。ルリ。」

「ううん。私のせいだから‥‥‥‥ごめんなさい‥‥。」

「ルリ‥‥泣かなくていいって。無事なんだから。」

と言いながらリヒトは再度ルリを抱きしめ、ルリの頭にポンポンと宥める様に触れた。


「だ、だって‥‥。」

「前にルリに泣かれると弱いって言っただろ?泣き止んでくれないか?」

「‥‥‥ごめん。安心したら‥‥泣き止む以前に‥‥‥立ってられない‥‥みたい‥‥。」

「え!?」


と言ってルリは突然、気を失った。

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