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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第三章 決意とこれから
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35話 それぞれの今

そしてリヒトがラズライトに向けて出発した後のとある日。

国王の執務室。


国王が書類にサインをしていると、一人の男性が訪れた。その男性の名前はグラス・シャンデル。ルリの座学講師であり、他の各講師をまとめている人物だ。


「失礼します。お忙しいところ、申し訳ありません。陛下。」

「いいさ。ルリのことだろ?実際どうなんだ?」

「正直驚きました。読み書きは既に旅の間に王太子殿下に教わったそうで、問題ありませんでした。なのですぐに歴史等からと思いましたが、それも王太子殿下に建国辺りまでは教わっており、それはほぼ補足説明ぐらいでした。なので、建国以降の歴史やそれ以外にもお教えしなければならないことはありますが、一先ず必要なこと以外は成人のパーティー以降にゆっくりやっていけばいいでしょう。その分の時間をダンスやマナー教育の時間に当てられるかと。」

「ほう!そうか。やるな、ルリ。」

「はい。マナーやダンスの講師から聞いたところ、そちらも飲み込みが早いようで、このままいけば一先ず成人のパーティーで礼儀作法にうるさい貴族達の前に出しても問題ないぐらいにはなりそうです。」

「そうなのか!?確かに食事の時のマナーが徐々に改善されていたような‥‥娘は天才か‥‥?」

「親バカ出さないでください。ルリ姫様は努力家なのです。」

「そ、そうか。」


*****


一方、セピオライトを出発して一週間。

この日リヒトはラズライトに帰ってきた。


「おかえり。リヒト。」

「おかえりなさい。リヒト。」

「ただいま戻りました。父上、母上。」

「リヒト、ルリは?」

「王女に戻ると決めてくれました。俺がセピオライトを出る前に王女教育が始まりましたよ。」

「本当か!?」「本当に!?」

「はい。」

「「良かった。」」

「それもあり、もう一緒にいなくても大丈夫だと思って戻って参りました。」

「そうか。ならリヒトも頑張らないとな。」

「はい。」


リヒトもまた、次期国王になるための学びに戻る。


*****


時を同じくしてセピオライトの城では、ルリが休憩時間を利用して中庭とは別にある庭園にユリと共に向かっていた。


「それでどう?ルリ。順調?」

「恐らく。」

「何で恐らく?」

「先生達は褒めるばっかりで、王女として合格なのかが分からないんですよ。」

「あ~なるほどね。私が父様に聞いた時は順調みたいだって言ってたけどな?」

「そうなんですか?」

「うん。だからルリの体感としてはどうなんだろ?って思ったから聞いてみたのよ。」

「う~んどうなんでしょう?帰ってくる前までは、今教えてもらってることから程遠い生活だったので正直分からないですね。」

「まあ、そうだよね。あ、着いたわね。」

「え?‥‥わあ~!中庭も綺麗でしたが、ここは更に綺麗ですね!!」


目の前には複数の花壇に色とりどりの花が咲いている見事な光景が広がっていた。

その中心には噴水もあった。


「でしょ?ルリは中庭の方ばっかり行ってたからね。」

「はい。こっちの方に足を向けてなかったので知らなかったです。」


そしてルリが噴水に目を向けると、淡い水色の光がふよふよしていた。


「‥‥‥。」

「どうしたの?ルリ。」

「姉様。確認なんですが、噴水のところに水色の光がふよふよ浮いてるの見えます?」

「ううん。見えない。もしかして精霊?」

「恐らく。」

「本当!?近付いてみようよ。」

「は、はい。」


そして二人が噴水に近付くと。


「あなたは水の精霊?」

《ん?私が見えるの?》

「うん。見えるし声も聞こえる。」

《本当!?わあ~人と話すの、久しぶりだ!名前は?》

「ルリ。」

《じゃあルリ。一緒にいるのは?》

「私のお姉ちゃんだよ。」

《そっか。道理で似てるわけだね。》

「ルリ、ここに精霊いるの?」

「はい。いますよ。目の前に。」

《お姉ちゃんには見えてないみたいだね。》

「うん。あなたを見せてあげることはできる?」

《できるよ。ルリに触れるだけで大丈夫だよ。見せてあげたいの?》

「うん。お願い。」

《いいよ。》


そう言うと精霊はルリが差し出した手のひらの上に乗った。

すると。


「わっ!この子が精霊?」

「見えたんですか?」

「うん。」

《初めまして。水の精霊だよ。》

「わっ!声も聞こえた。水の精霊だから噴水にいたの?」

《うん。そうだよ。あなたはルリのお姉ちゃんなんだよね?》

「うん。ユリっていうの。」

《ユリか。ユリとルリ、名前が似てるね。》

「ふふっ。そうだね。」


と話していると。


「ユリ姫様、ルリ姫様。こちらにいらしたんですね。」

「どうされました?副団長。」

「ルリ姫様。マナー講師の方がお待ちですよ。あと、ユリ姫様は妃殿下がお呼びでした。」

「あら?母様が?お茶のお誘いかしら?」

「恐らく。」

「すみません。私もすぐいきます。じゃあまたね、精霊さん。」

《うん。またね。ルリ。ユリも。》

「うん。ルリと一緒じゃないと話せないけどね。」

《ふふっ。そうだね。》

「ひ、姫様‥‥精霊‥‥なのですか?」

「はい。水の精霊さんです。」

「初めて見ました‥‥。」

「あ、やっぱりそうなんですね。また今度一緒に来て話してみましょう?」

《私もいつでもいいよ~。》

「は、はい。‥‥‥こほん。では参りましょうか。」

「「はい。」」


そしてユリとルリもそれぞれの場所に向かって分かれていった。


ルリをマナー講師の元に送り届けた後。

副団長はそのまま国王の執務室へと足を運んでいた。


「陛下。お忙しいところ、申し訳ありません。」

「構わんよ。どうした?」

「ルリ姫様のことです。」

「何かあったのか?」

「先程ユリ姫様と共に庭園にいらっしゃったのですが、水の精霊と話しておいででした。ルリ姫様の手の上にいて、私も初めて姿を見ました。」

「ほう。本当に見えるのだな。」

「はい。しかもルリ姫様と精霊が触れることで姫様以外の人でも話すことが可能の様です。」

「ほう。ではそなたも精霊の声を聞いたのか?」

「はい。」

「そうか。私も精霊を見てみたいものだな。」

「姫様に頼んでみては?」

「そうだな。報告ありがとな。」

「いえ。では、失礼致します。」

「ああ。」


そして副団長が去った後。


「ルリは精霊と友達にでもなりそうだな。」


と顔に笑みを浮かべながら呟いていた。

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