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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第三章 決意とこれから
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34話 別々の暮らし

さて、私が王女に戻ると言ったその日から座学やらマナー教育やらダンスレッスンやらが始まった。


救いだったのは、旅の間にリヒトに読み書きを教わっていたので、すぐに座学の勉強を開始できたことだった。

マナー教育もまずはテーブルマナーからだったが、テレビか何かで見たことあるな~ぐらいの知識だったものが意外と役立っていた。身に付いてるかは別だが。


そして一番不安なダンスレッスン。

一人でピシッとした姿勢のまま踊る練習から。先生が見て色々指摘してくれる。


そんな日々を過ごしながら一週間が経った。


この日、リヒトがラズライトに帰るべく出発する。

私はダンスレッスンに向かう前だったので練習用のドレス姿のまま城の入り口まできた。

馬車の前で父様達と話すリヒトを見つけた私は。


「リヒト!」

「ん?‥‥‥ルリ!?」


リヒトと父様達の近くまで駆け寄った。


「リヒト、今日帰るの?」

「あ、ああ‥‥‥。」

「ん?どうしたの?」

「いや、ドレス着てるから‥‥。」

「でも練習用だよ?」

「ふふっ。それでも可愛いわよ。ルリ。」

「え?あ、ありがとうございます。母様。」

「先に言われた‥‥‥。」

「え!?」

「ふふっ。心配しなくてもパーティーの時にもっと可愛い姿を見せてくれるわよ。」

「それもそうですね。」

「‥‥‥‥。」

「ルリ?」

「リヒトは私の洗礼の時までにまた来るの?」

「ああ。だから洗礼の時もいるよ。」

「そっか。ならいいや。」

「‥‥ルリ。ちょっとこっち来て。」

「え?何ですか?姉様。」

「いいから。」

「?はい。」


と、姉に連れられリヒト達から少し離れると、ルリはとあることを耳打ちされた。


「え!?‥‥‥本当ですか?」

「ええ。絶対喜ぶわ。」

「‥‥‥やってみます。」

「うん。」


そして二人で戻ってくると。


「ユリ、ルリ。何話してたの?」

「秘密ですわ。母様。」

「‥‥‥同じく。」

「ルリの様子が変なのは?」

「‥‥‥気にしないでください。」

「「「?」」」

「ま、まあとりあえずリヒト。またな。」

「またね。リヒト君。」

「はい。叔父上、叔母上。ユリ姉も。」

「ええ。またね。リヒト」

「ルリ?大丈夫か?」

「だ、大丈夫。」

「じゃなさそうに見えるけど?」

「も、もう出ちゃう?」

「ん?ああ。出るけど。」

「じゃ、じゃあ目、閉じて。」

「へ?何で?」

「いいから!」

「?‥‥分かった。これでいいか?」

「うん。そのまま動かないでね。」

「?‥‥‥っ!」


ルリがユリに吹き込まれたことをやった。

ルリがリヒトの顔を両手で挟んで、ちょっと背伸びしてリヒトにキスをした。

そして数秒後に離れた後。


「る、ルリ!?」

「えっと‥‥姉様がこうしたらリヒトが喜ぶって言ったから‥‥‥。」

「すごい嬉しい!!!‥‥‥ユリ姉!ありがとうございます!」

「どういたしまして。」

「う、嬉しい?」

「ああ!」

「良かった。ここに着くまで守ってくれて、ずっと側にいてくれたお礼のつもりだったんだけど、これでお礼になる?」

「なる!十分過ぎるぐらいだ。」

「そ、そっか。ふふっ。姉様の言った通りでした。」

「でしょ?」

「ルリ。もしかして変だったのは今のが原因?」

「は、はい‥‥その、人前でするのやっぱり恥ずかしいので‥‥‥。」

「「「「‥‥‥‥。」」」」

「抱きしめていいか?ルリ。」

「え?‥‥‥い、いいよ?リヒト。」

「やった!!」

と言ってすぐに抱きしめられ、リヒトは私の首辺りに顔を埋めた。


「‥‥‥ああ~本当に可愛すぎて困る‥‥。」

「え!?」

「気持ちは分かるが、そろそろ出ないといけないんじゃないか?」

「は!そうでした!‥‥すごい名残惜しい‥‥‥。」

「ふふっ。また会えるんでしょ?リヒト。」

「ああ‥‥‥ルリ。」

「ん?」


リヒトが再び私の耳元に顔を寄せて。

「(大好きだ。)」

「!!!‥‥‥そんなこと囁かないでよ‥‥‥。」

「何言われたの~?ルリ。」

「は、恥ずかしくて言えません!」

「「ええ~。」」

「王太子殿下。そろそろ‥‥」

「くっ。」

「リヒト。」

「ん?」

私も一瞬、ぎゅっとリヒトに抱きついて耳元に顔を寄せて。


「(私も大好き。)」

「!!!~~~~っ!離したくなくなるだろ‥‥‥。」

「ふふっ。でも離して。リヒト。」

「くっ‥‥。」

そこでやっと苦渋の決断の様に渋々ながら私を離してくれた。


「ルリも何言ったの~?」

「ふふっ。秘密です。姉様。」

「これはリヒト君、結婚したらルリの尻に敷かれるわね。」

「だな。」

「では陛下、妃殿下、ユリ姫様、ルリ姫様。我々は失礼致します。‥‥ほら、参りますよ。殿下。そろそろ馬車に乗ってください。」

ラズライトの近衛騎士団副団長のメル・グリンゼルさんだ。


「あ、ああ‥‥。では、叔父上、叔母上、ユリ姉、ルリ。今度こそ本当に失礼します。」

リヒトはものすごく渋々と馬車に乗った。


「またね。リヒト。」

「ああ。」


そしてリヒトが乗った馬車を見送る。


私は出会って初めてリヒトと離れて暮らすことになる。

これから頼るなら新しい、本物の家族。新しい暮らし。

全てが日本にいる時とは違う。でも自分の足でちゃんと立って前を向いて歩く。


去っていく馬車を見送りながらルリはそう考えていた。



一方、馬車の中のリヒトは。

ルリが言った『私も大好き。』が頭の中で延々と繰り返されているようで。


なんだよ‥‥さっきのルリ、可愛すぎだろ‥‥‥

大好きか‥‥‥そういえば初めて言われたな。

まずい‥‥‥嬉しすぎて顔がにやける‥‥


と一人悶々としていた。

リヒトとルリの掛け合いは無性に書きたくなっただけです。こんな定番の様なのを一度は書いてみたかったので‥‥。

それにしてもルリはもうすぐ15歳だというのにどうしても可愛い寄りになってしまいます。

‥‥‥成長させてあげたいんだけどな‥‥。


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― 新着の感想 ―
[一言] うん、ルリは可愛く成長すれば良いんですよ。(´∀`*)ウフフ
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