30話 似てる?
ラズライト王国の国王一家との会話は続き。
「ルリ。」
「はい。」
「マノカに言われたかもしれんが、俺はルリに王女に戻ってほしい。そしてリヒトの嫁としてラズライトに来てもらいたいと思ってる。」
「確かに王妃様にも言われました。」
「ルリは迷っているのか?」
「はい。私が戻ってきてからみんなが王女復帰を願ってくれます。誰一人として否定的な人がいないんです。」
「そうだろうな。ルリはいい子だし、優しいからな。」
「そう言って頂けるのは嬉しいのですが、王女らしさなんてないだろうに何でみんなそんなに望んでくれるのか不思議で‥‥‥。」
「「「‥‥‥。」」」
「ふむ。これは外堀を埋めたらなんとかなりそうだな。」
「そうね。ルリなら王女に戻っても努力次第で王女らしくなるでしょうしね。」
「え?あ、あの。陛下?王妃様?」
「何だ?」「なに?」
「えっと‥‥‥私の迷いは無視される感じですか?」
「ああ。」「うん。」
「え!?」
「ルリは考え方を変えたらすぐにでも決断しそうだぞ?」
「え?考え方ですか?」
「ああ。そんなに望んでくれるなら頑張ってみようかと思い始めてないか?」
「え‥‥‥分かりやすいですか?私。」
「そう思ってたのね。」
「はい。」
「あと一歩踏み切れないだけみたいね。」
「‥‥‥はい。」
「まあ、すぐに答えを出す必要はない。まだ成人まで時間はあるんだろ?」
「はい。」
「なら、ゆっくり考えるといい。俺達の希望は言ったからな。」
「はい。」
「さ、折角揃ったんだからお茶でも頂きましょ。」
「「はい。」」「ああ。」
そして四人共座ってお茶を飲みながらゆっくりしていると。
「そういえばルリ、街を歩いたって一人で歩いたの?」
「そんな訳ないでしょう母上。俺が一緒に行きましたよ。」
「よくやったわ、リヒト。」
「ルリから誘ってくれたんですよ。」
「あら、そうなの?」
「はい。さすがに一人は駄目だからリヒトか騎士を連れて行くならいいよって言って頂けたので。」
「そう。ラズライトの街も歩いてみる?」
「いいんですか?」
「ああ。構わないよ。リヒトを連れて行くならな。」
「リヒト限定ですか?」
「駄目か?」
「いえ。そんなに王太子を連れ回していいものかと。」
「構わんよ。むしろ騎士に任せたらリヒトがいじけそうだ。」
「いじけますね。」
「‥‥‥‥‥なるほど。確かにそっくりですね。」
「「ん?」」
「陛下とリヒトもですが、両国の国王夫妻は兄弟姉妹でそっくりです。」
「例えば?」
「親しみやすさですね。とても話しやすいです。そしてすごく優しいです。」
「「‥‥‥。」」
「あなた‥‥どうしましょう。優しさの塊の様なルリに優しいって言われてしまったわ。」
「そうだな‥‥‥。」
「え?」
そうして話していると、一人の騎士が近付いてきた。
「ご歓談中申し訳ありません。陛下、そろそろ‥‥‥」
「む。もうそんな時間か。しょうがない。国王に戻るか。」
「いってらっしゃい。あなた。」
「妃殿下もですよ。」
「あら、そうなの?むぅ‥‥‥ルリ。またお茶しましょうね。」
「はい。」
そして陛下と王妃様が去って行くと。
「ふふっ。私も陛下達に似てるってことになるのかな?」
「ああ。そうだよ。似てる。」
「似てますか?私達。」
と、ずっと側で紅茶の用意やおかわりを入れてくれていたメイドさんに聞いてみると。
「ええ。似てらっしゃいますね。それに今のお二人を見ているとかつての陛下と王妃様を見ている様です。」
「「え?」」
「私はメイドとしてお仕えして長いので陛下が今の殿下ぐらいの時も存じ上げております。」
「そうなんですか?」
「ええ。今のお二人の様に隣同士で座って談笑してらして。今はお美しいですがあの頃は可愛いという感じだった王妃様を必死に陛下が口説いてましたね。」
「ぷっ‥‥ふふっ。お、親子揃って一緒とはね‥‥。」
「笑わなくてもいいだろ。ルリ。」
「あら、ルリ姫様はやっぱり口説かれたのですか?」
「ああ。頑張って口説いたな。俺。」
「まあ!‥‥‥ルリ姫様。申し訳ありませんが、先程のお話も聞いておりました。私としてもルリ姫様には殿下のもとに嫁いで来て頂きとうございます。」
「私にリヒトの隣に立つ程の魅力がありますか?」
「ええ。ありますわ。むしろ姫様以外は殿下の隣には立って頂きたくありません。」
「そこまでですか。」
「はい。」
「そうですか‥‥‥陛下、王妃様に頂いた言葉と共に覚えておきます。」
「はい。ありがとうございます。」
そしてこの日は国王夫妻は忙しかったらしく、夕食は別だった。客室に案内された私は疲れからか、あっという間に眠りに落ちた。
今日の1話目です。




