23話 理由
目の前にいる国王一家が私の本当の家族。
何の冗談?って話だ。
という訳でフリーズしている私です。
「ルリ?大丈夫か?」
「‥‥‥大丈夫に見える?」
「ごめん。見えない。」
「だよねぇ?一個ずつ整理するから付き合ってくれるよね?」
多分今の私は黒い笑顔をしてると思う。
「は、はい。」
「まず、リヒトは隣国の王子?」
「うん。」
「私の両親、あの国王夫妻?」
「うん。」
「私、第二王女?」
「うん。」
「港で見てたのはリヒトと私が王族だと知ってる人達?」
「ああ。」
「検問の人や、城門にいた人も?」
「ああ。」
「他は陛下に聞いた方がいい?」
「うん。そうしてくれ。」
「分かった。」
すぅ~‥‥はぁ~‥‥
と深呼吸して落ち着かせてから。
「えっと、国王陛下。」
「何だ?」
「私の、父‥‥なのですか?」
「ああ。」
「‥‥‥‥本当ですか?」
「いやいや。本当にルリの両親だから!」
「だってリヒト。一緒なの、陛下の青い目だけだよ?髪の色も違うじゃない。」
陛下→青みがかった銀髪、青目
王妃→薄いピンク髪、赤目
王女→青みがかった銀髪、赤目
私→茶髪、青目
陛下の青い目しか同じじゃない。
「ああ。それが王族だけに現れる特殊なところなんだよ。」
「は?」
「リヒト。俺が説明する。」
「はい。叔父上。」
「ルリ。」
「はい。」
「大きくなったな‥‥‥もうすぐ15歳だろ?」
「はい。そうです。」
「ちゃんと説明するな。」
「はい。お願いします。」
そして陛下が話してくれた内容は。
まず、私は産まれてすぐに魔法を放ったそうだ。
通常、どんなに幼くても5,6歳からしか魔法は発動しないと。それは体内で魔力を練ることができないからだそうだ。
だが、私は魔法を放った。しかも魔力自体がすごくてとても抑えられなかった。このままだと私は自分の魔力に負けて死んでしまうと。
急いで魔力封印の方法を調べて試した。
成功して抑えられたが、いつ封印が外れてもおかしくないと思ったらしい。
「それが、この手のひらにある模様ですか?」
「ええ。そうよ。」
そして魔素もあり精霊もいるこの地にいたら危ないと思った両親はどこかに預ける相談を始めた。
その間、ルリは何故か空中をじっと見てることが多かったと。不安になった両親は神官に聞きに行くと、神官が『精霊が見えているのかもしれない』と言った。
この大陸にしかいないんじゃないかと言われている精霊が見える。
それは「巫女」の素養がある者だけだと。
「え‥‥‥巫女‥‥?り、リヒト。精霊が見えるのって本当に私だけなの‥‥?」
「ああ。」
「今も見えるのか!?」
「は、はい。この大陸に着いてすぐにいて、見えましたし、話しました。」
「なんと‥‥‥!本当に巫女となる者とは‥‥。」
「あの、巫女の説明は後でして頂けるんでしょうか?」
「勿論だ。‥‥続けるな。」
巫女の素養があるなら尚更死なせる訳にはいかないと、両親はある決定を下したという。
「日本」に。異世界にいる者達に預けようと。
何故異世界かはこの世界の情勢をみたら明らかだ。
とりあえずこの大陸にいる限り、ルリの封印が解ける可能性が高くなる。でも向こうの大陸は魔族と人間の地。先祖を虐げてきた者達の大陸。預ける国なんてあるわけがない。だから日本だったと。
かつて祖先が発見した扉の向こうの世界。一部がこちらから移住して向こうでも扉を守ってもらっている。その一族に預けようと。
「え?‥‥では、育ててくれた家族も元を辿ればこの世界出身なんですか?」
「ああ。そうだ。」
次に。
何故迎えに行くのが14歳なのか?
この地では15歳で成人だからということと、王族にはある決まりごとがあるからだと。
それは一度は自分の足で旅をして世界を学ぶこと。
しかも幼い時に行っても危ないだけなので物心ついてから、自分で物事を判断できる様になってからだと。
そして体がある程度成長して、自分の身は自分で守れる様になってからだと。
なので大抵は成人前後になるそうだ。
そういう意味もあって、わざわざルリとリヒトに旅をさせ、14歳で戻ってきてもらったと。成長した今なら封印が解けても自分で制御できるようになるだろうと。
そしてこれからどうしたいかの判断はさせてくれるそうだ。
でも成人の儀式。洗礼をしたら王女に戻ってもらうと。だからどうしたいかはそれまでに決めてくれと。
最後に髪の色が違うのは王族特有で、洗礼を終えるといつの間にか両親のどちらかと同じ色に染まっているそうだ。
その原理は分からないと。
「じゃあもしかしたらリヒトと同じ色になるかもしれないってこと?」
「俺としては叔母上と同じ色の方が可愛いと思うけど?」
「‥‥‥‥。」
「どうした?」
「何でそういうことサラッと言えるかなって思っただけ。」
「「確かに!!」」「‥‥‥。」
「え!?叔母上達もですか!?」
陛下だけ無言。父親同士兄弟って言ってたからな‥‥
あれは父親の血か‥‥
「‥‥‥陛下。」
「何だ?」
「色々文句言って差し上げるつもりでしたが、情報が多過ぎて頭が整理できてません。」
「ああ。そうだろうな。だが、本来はここがルリの家だ。ゆっくりするといい。ゆっくり考えてルリの思ったことを教えてくれ。」
「はい。ありがとうございます。‥‥‥‥リヒトはまだいてくれるの?」
「ん?何だ?いてほしいのか?」
すごい嬉しそうな顔だな‥‥‥。
‥‥‥でもいてくれないと不安だし、素直に言うか。
「うん。」
「そうか。いてほしいならまだいるぞ。いいですよね?叔父上。」
「ああ。帰ってきたばかりだ。頭の整理をする間も一人は心細いだろうから側にいてやってくれ。」
「はい。ありがとうございます。」
「‥‥‥‥陛下、王妃様、王女様。」
「「「ん?」」」
「本当は私の父、母、姉なんですよね?」
「ああ。」「「ええ。」」
「‥‥そう呼ぶのは私の中で整理がついて、ここに残る気になったらでいいですか?」
「「「勿論!!!」」」
「分かりました。それまでは陛下、王妃様‥‥姫様でも構いませんか?」
「な、何か妹に姫様って言われるの不思議な感じ‥‥。」
「別の呼び方がいいでしょうか?」
「そりゃ一番は姉様がいいけど‥‥‥ユリ様も違和感あるし‥‥‥やっぱり姫様でいいわ。」
「分かりました。」
「さて、疲れただろ?‥‥誰かいるか!?」
一応、私達五人だけにしてくれてました。
でも扉の向こうに控えていたらしく、すぐに。
「はっ!こちらに。」
「ルリとリヒトを部屋に案内してやってくれ。」
「畏まりました。では、ルリ姫様、王太子殿下。こちらへどうぞ。」
「‥‥‥姫様?」
「ルリは王女なんだから姫様だろ?」
「‥‥‥慣れる気がしない‥‥‥陛下、王妃様、姫様。失礼します。」
「あ、ああ‥‥。」「「ええ‥‥。」」
そして私達は部屋に向かうべく歩き出した。




