2話 助けてくれたのは‥‥
固まってしまった私に対して化け物はゆっくり近付いてくる。
ど、どうしよう‥‥‥このままだと殺される。
でもだからって「あれ」が発動したらまた周りの人達を傷付けちゃうし‥‥‥で、でもこのままじゃ、私が‥‥‥って私の体!動いてよ!
そしてよく見ると狼の様な姿をした化け物はいよいよ私に襲い掛かろうとしていたので思わず目を閉じると。
「ルリ!そのまま動くなよ!」
え?
ドガッ
そして恐る恐る目を開けると目の前にいた化け物が砂の様にサラサラと風に乗って消えていくところだった。
「え?‥‥え?」
私が目の前のことにパニックになっていると、先程私を助けてくれたであろう人が近付いてきた。
「ルリ、無事か?」
そしてその人を見た瞬間、また私は固まった。
その人は青みがかった銀髪に青い目をした格好いい人だったから。
「ルリ?」
「へ!?え、えっと、ど、どちら様でしょうか?」
「とりあえず落ち着け。俺はリヒトっていうんだ。家名はまだ言えないんだ。ごめんな。で、ルリで合ってるよな?」
「は、はい。戸隠ルリです。先程は助けて頂き、ありがとうございました!」
ガバッと頭を下げてお礼を言った私を見てリヒトさんは。
「おう。とりあえず頭上げてくれ。」
「は、はい。」
と、私が頭を上げたと同時に更に近付いてきて。
「うん。やっぱり。」
「へ?な、何がですか?」
「ルリ、両親から聞いてるだろ?本当の両親のところに行く時迎えが来るって。」
「はい。」
「それが、俺。実はルリのいとこなんだぞ?ちゃんと血の繋がったな。」
「え!?」
「ほら、俺の目の色。ルリと同じだろ?」
「あ、本当だ‥‥‥。」
「さて、とりあえず帰ろう。ルリ。」
「は、はい。」
そして私達は一緒にうちに帰った。
「ただいま。」
「あ、おかえり。ルリ。ちゃんと会えた?」
「う、うん。」
「会えましたよ。迎えに行って正解でした。」
「え‥‥ルリ、出たの?」
「うん‥‥‥でもリヒトさんが助けてくれた。」
「そう‥‥‥リヒトさん。ルリを助けて頂き、ありがとうございました。」
「いえいえ。当然のことをしたまでです。」
「とりあえず2人共上がって。ルリは着替えておいで。」
「うん。」
そしてルリが着替えに去って行くと。
「リヒト様。気をつけていたつもりだったのですが、申し訳ありません。」
「いえ。先程も申し上げましたが、当然のことをしたまでです。ルリは私の大切な人でもありますから。」
「そう言って頂けると有難いです。さ、どうぞ。うちの他の家族達ももうじき帰ってくるかと思いますので。」
「はい。お邪魔します。」
そしてリヒトがリビングに通されてソファーで寛いでいると、着替えたルリが入ってきた。
「‥‥‥‥‥。」
そして入り口でルリが再び固まった。
「どうした?ルリ。」
「‥‥‥い、いえ。日本の一般家庭に似合わないなと思っただけです。」
「ああ、銀髪なんて日本にいないからな。」
「はい。」
『『ただいま。』』
2人の義姉が帰ってきた。
そして続いて
『『ただいま。』』
義父と義兄も帰ってきた。
『あ、義兄ちゃん、義父さん。おかえり。』
『おかえり~。』
『『ただいま。』』
『2人もおかえり。』
『『ただいま。』』
と玄関で言い合っていたので義母が。
『みんなおかえり。ほらほら、いつまでも玄関にいないで着替えたりしてきなさい。』
『『『『はーい。』』』』
そして義兄と義姉は着替えに上がり、義父がそのままリビングに来て私と同じく固まった。
「義父さん?」
「る、ルリ‥‥‥その方は‥‥」
「おかえりなさい、義父さん。この人は今日襲われそうになったところを助けてくれたの。」
「あ、ああ‥‥ただいま。そ、そうか。なんというか‥‥‥日本の一般家庭に似合わない方だな。」
「はは!ルリと同じこと仰るのですね。」
「え?」
ガチャ
「わっ!父さん、何で突っ立って‥‥‥」
「わっ!兄ちゃん。何で突っ立ってんの‥‥‥」
「え?何でみんな突っ立って‥‥‥」
「「「誰!?」」」
「えっと、とりあえず3人共おかえりなさい。この人は私が学校帰りに例の化け物に襲われそうになった所を助けてくれたリヒトさん。」
「「「「え!?」」」」
「ただいま‥‥ルリ、また出たの?」
「うん。」
「リヒトさん。妹を助けて頂き、ありがとうございました。そして恐らくですが、ルリを迎えに来て下さった方ですよね?」
「ええ。そうですよ。」
「そうですか‥‥‥よろしくお願いします。」
「はい。」
そして夕食を食べ終えた後。
「ルリ。明日早速向かうつもりだが、準備出来てるか?」
「は、はい。一応は。」
「そうか。」
「リヒトさん。今日はここに泊まっていかれますよね?」
「はい。申し訳ありませんが、お願いします。」
「はい。勿論。」
「じゃあ、朝出るから早く起きてきてくれ。ルリ。」
「はい‥‥‥分かりました。」
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
「ご案内しますね。こちらです。」
「ありがとうございます。」
とリヒトさんは必要なことだけ話して部屋へ向かった。
そして翌朝。
今日から本当の両親に会いに行く為、行動開始だ。