19話 出港と変化
そして私達が大陸を渡る船に乗り込む前。
私は船の乗船口近くで固まっていた。
何故か。船に乗る機会がなかったので正直恐い。
しかも意外と大きめな船だったので、「この船に乗るの!?」と更に恐くなっているのだ。
「どうした?ルリ。」
「船に乗るの初めてなので‥‥」
「恐いか?」
コクン
「大丈夫だよ。2日の航海の為に丈夫に造られてる船だからな。」
「え!?2日も海の上なんですか!?」
「おう。」
「おう。って‥‥‥。」
「大丈夫だぞ、嬢ちゃん。そこの兄ちゃんも言ってたが、丈夫に造ってあるからな。信用してくれ。」
と、男性の声が私の後ろから聞こえてきたので振り返ると、そこにはいかにもな感じの船乗りさんっぽい男性がいた。
「えっと、船乗りさんですか?」
「おう。」
「一緒に乗る方ですか?」
「おう。」
「‥‥‥‥‥なんとなく大丈夫な気がしてきました。」
「そうか。なら早く乗ってくれ。そろそろ出港するぞ。」
「はい。」
「‥‥‥何だろう。なんか負けた気がする‥‥。」
「え?」
「何でもない。行こうかルリ。」
「はい。」
ールリが船乗りの男性を見て「あ、この人がいるなら大丈夫な気がする。船に乗り慣れてそうだし。」と思って大丈夫そうだと判断し。
リヒトは自分では説得(?)しきれなかったことに敗北感を抱いた瞬間だった。ー
そして私は恐る恐る船に乗った後、船室に先に入って休憩を取ることにした。
ちなみにリヒトさんも同室だ。何故か広めの船室しか空いてなかった為、なら一緒でいいやと同室になった。
そして船が出港したのか、動き出したので船室の窓から外を見ると綺麗な海が見えた。
さっきは船に乗ることが恐くて海を眺める心の余裕がなかった為、今更まじまじと見ることになったのだった。
「わっ!海綺麗~。綺麗な青だ‥‥。」
「その様子だと、もう恐くないか?」
「はい。乗ってしまえば不思議と恐さが無くなりました。」
「なら良かったよ。」
「‥‥‥リヒトさん。」
「ん?」
「これから向かう大陸に私の両親がいるんですよね?」
「ああ。いるよ。」
「そうですか‥‥‥。」
「あ、ちなみに大陸にある国は一つじゃないからな。」
「え!?」
「大陸だからな。勿論、元を辿ればみんな先祖は渡ってきた人達だぞ。で、土地を分けて統治するために最初は2つに国を分けて、その後もう一つ公国が出来たんだ。」
「え!?じゃあ今は三か国あるってことですか?」
「ああ。そうだ。それぞれの名前がセピオライト王国、ラズライト王国、フローライト公国だ。で、ルリの両親がいる国。目的地はセピオライト王国だ。」
「セピオライト王国‥‥‥そこに私の本当の両親がいるんですね‥‥‥。」
「ああ。」
「やっと‥‥会える。私の本当の家族‥‥‥やっと文句が言える。」
「あ。文句言うのは変わらないんだな。」
「勿論です。」
「そ、そうか。ルリ、後で甲板に出てみるか?」
「はい。もう少し船の感じに慣れたら行ってみたいです。」
「ああ。分かった‥‥‥‥なあ、ルリ。」
「はい?」
「まだ呼び捨て敬語なしは無理か?」
「リヒトさんに対してですか?」
「ああ。」
「‥‥‥‥‥リヒト?」
「!!!」
「自分で言っておいて何で照れてるんですか?」
「いや、予想以上の破壊力だったから‥‥‥。」
「は?」
「好きな子に名前呼び捨てにしてもらえるって嬉しいんだぞ?」
「‥‥‥嬉しかったんですか?」
「ああ。すごい嬉しかった。敬語がないと更に。」
「うっ‥‥‥‥頑張って‥‥みる。」
「!!!本当か!?」
「は‥‥うん‥‥。これでいい‥‥かな?リヒト。」
「‥‥‥か。」
「か?」
「可愛すぎて‥‥困る。」
「は!?‥‥‥私にどうしろと‥‥‥?」
「嬉しいからそのままで!是非ともそのままで頼む。」
「うっ‥‥うん。分かった。」
「やった‥‥!やっとルリが呼び捨て敬語なしにしてくれたよ‥‥‥ああ~長かった‥‥。」
「ご‥‥ごめん。」
「いや。少しずつでいいからな。船を降りてもまだ歩かないといけないからゆっくり休めよ。」
「うん。」
そしてその後はわりと沖に出るまで二人共無言になっていた。




