17話 休息とルリの決意
「「え?」」
「い、今何と?」
「だから、まだ旅に出るなど駄目だと申し上げました。」
「「何で!?」」
「リヒト様の体力が完全に戻ってからでないと危ないでしょう?」
「「うっ。」」
さあ、旅に戻ろう!‥‥‥と思ったらこうしてリリスさんに止められた私達。
「ははは!二人共息ピッタリだな!」
「優人さん‥‥‥。」
「俺を睨んでも変わらないぞ~ルリ。」
「ええ。その通りです。」
「むぅ‥‥‥あ、なら。誰か私に剣教えてもらえませんか?」
『え?』
「何で急に剣なんだ?ルリ。」
「今まで私は戦えない足手纏いでしたから。自分の身は自分で守れる様になりたいんです。」
「前にも言ったが、俺はルリを足手纏いとは思ってないぞ?」
「それでも、ただ守られてるだけじゃ嫌なんです。」
「なら何で剣なんだ?ルリには力があるだろ?」
「あれはあれで訓練します。ちゃんと使える様になりたいので。でも今は咄嗟に反応出来るぐらいには剣とか武術系を少しずつ身に付けていきたいなと。」
「なるほどな。」
「駄目でしょうか?リヒトさん。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥いいんじゃないか?」
「今すごい迷いましたね。」
「そりゃそうだよ。ルリは女の子なんだから剣とか持たせたくないし、俺が守ってやりたいし。」
「「‥‥‥‥。」」
「リヒトさんって天然たらしか?」
「多分。私を可愛いとか言いますし、戦ってる時は格好いいのに変なところで天然出しますからね。ギャップにやられるかと。」
「やっぱりルリにのみ発動する天然たらしか。」
「え?」
「二人して何言ってんだ?俺は思った通りに言って、行動してるだけだぞ?」
「そうか‥‥。」「そうですか‥‥。」
「では、陛下と一緒にやってみますか?」
『わっ!』
「び、ビックリした‥‥ガリア、驚かすなよ。」
「申し訳ありません。ちゃんとお声掛けしてから入って来たのですが。で、ルリ様は剣を教わりたいのでしょう?陛下も剣を教わってるところにご一緒してはいかがですか?」
「いいんですか?」
「俺はいいぞ?」
「では早速参りますか?私も元々陛下を呼びに参りましたので。」
「え?優人さん、魔王の仕事は?終わったんですか?」
「うっ‥‥‥‥終わってない。」
「え~。いいんですか?魔王がそんなんで。」
「そんなん言うな。いいんだよ。ガリアが書類仕事を後で俺がやり易いようにしてくれてるからな。」
「へ~。ちゃんとやってるんですね。魔王様。」
「おう。という訳で問題ないから行こうぜ。ルリ。」
「はい!では行ってきます。リヒトさん。」
「おう。」
そしてルリ、優人、ガリアが連れ立って部屋から去って行ったあと。
「良かった。リヒト様まで行くと仰るかと思いました。」
「ええ。言おうと思いました。でも、そもそも俺の休息の為に旅が止まることになってるので諦めました。」
「ふふっ。陛下にルリ様を取られるとは思われないのですか?」
「へ?‥‥え!?‥‥‥‥‥ルリは優人をお兄ちゃんみたいだって言ってたので大丈夫かなと。」
「そうでしたか。ふふっ。では、私も退散しますね。ゆっくりお休みください。」
「‥‥‥‥はい。」
俺ってそんなに分かりやすいか‥‥‥?
確かに隠す気は全くないし、ルリしか見てないけど‥‥
優人にルリを取られるとは思ってないんだよな‥‥
でも当のルリがみんな平等に接してるから分からないんだよな‥‥‥ルリに俺はどう映ってるんだろ?
と一人悶々と考え込んでしまったリヒトであった。
一方その頃、ルリは。
ハウレスに見守られながらファクスと優人と共にバラクに剣を教わっていた。
勿論ファクスと優人は日頃からやっていた為、二人で打ち合ったりしている。
ルリはいきなり剣を持つのはさすがに無理なので木刀で基礎から教わっていた。
そして数日後。
そろそろリヒトが動いても大丈夫だろうと、確認の意味も込めて剣術訓練に参加しに来ると。
「え?」
「あ、リヒトさん!」
「お。リヒトさん、驚いたか?」
「そりゃ驚くだろ。木刀でも打ち合いしてたら。」
「だよな?ルリ、飲み込み早すぎだろ。」
「だな‥‥‥。」
ルリはまだぎこちなさはあるが、少しぐらいなら打ち合いもできるまでになっていた。
「リヒト様は手練れとお見受けします。是非、私がお相手をさせて頂きたく。」
「バラク殿か。是非頼む。」
「はい。」
そして二人がやり易いように広く場所を開けて離れたルリ達は全員で見守っていた。
「リヒトさん!ルリが見てるからって格好つけようとするなよ!」
「分かってるよ!というかバラク殿相手にそんな余裕出せないだろ!」
「それは光栄ですね。では。」
「はい。」
そう言った瞬間二人同時に動き出し、激しい打ち合いが始まった。
す、すごっ!二人共すごっ!動きが見えない‥‥‥!
私があの境地まで行けるかは分からないけど、ちゃんと見とかないと。あれほどのいい見本、なかなか見れないだろうし。
と思いながらリヒト達を見ていたルリを見ていた周りは。
『ルリ(様)の目が輝いてる‥‥‥。』
と一同に思っていた。
そして数分後。
元々リヒトの調子を見るための一戦だった為、決着を着けずに終わった。
「すごいな!リヒトさん。」
「そうか?」
「ええ。バラクといい勝負の方を見たのは久しぶりでした。今まではバラクといい勝負なのはハウレスぐらいでしたので。」
「そうなんですか?」
「ああ。俺もバラクといい勝負できるやつ初めて見たけど、やっぱりすげえな。リヒトさん。めっちゃ格好良かったよな?ルリ。」
「はい!」
「え?」
「え?」
「良かったな。リヒトさん。ルリが格好いいってよ。」
「「な!?」」
「ゆ、優人さん!今のは‥‥」
「でも格好いいとは思っただろ?」
「‥‥‥‥‥‥‥はい。」
「!!!」
「‥‥‥照れた。ルリが照れた‥‥‥リヒトさんがルリを可愛いって言う理由が分かった気がする。」
「「‥‥‥‥‥‥。」」
「陛下。お二人を弄っては駄目でしょう。」
「だな。で、バラク。どうだった?リヒトさんは。」
「ええ。大丈夫かと。」
「そうか。」
「リヒト様、ルリ様。お二人共、すぐに旅立たれてしまいますか?」
「そうですね。目的地は遠いですから。」
「そうですか‥‥‥ならルリ様。」
「はい?」
「こちらをどうぞ。旅の餞別に差し上げます。」
と、ガリアさんが差し出したのは一本の細剣だった。
「え?そ、そんな。」
「折角剣術を教わったんです。続きはリヒト様に教わるのでしょう?」
「は、はい。そのつもりです。」
「なら剣がないと教われないでしょう?」
「そ、そうですが‥‥」
「ですから餞別です。受け取って頂けませんか?」
「う。じゃあ‥‥‥ありがとうございます。」
「いえ。丁度よく武器庫に眠っていた物ですので、ルリ様に合うか分からなかったのですが。」
「じゃあ着けてみてくれよ。ルリ。」
「え?は、はい。」
そして、腰に細剣を下げてみると。
「お?丁度いいぐらいじゃね?」
「はい。重くないですし。」
「おや。完全に目測で選んだのですが‥‥それなら良かったですよ。」
「ありがとうございます!これで自分を守れる様にする努力ができます!」
『!』
「はは!努力か。確かにな‥‥‥ルリ、リヒトさん。いつでも遊びに来ていいからな。」
「ああ。」「はい!」
そしてようやく私達は再出発することができた。




