12話 魔王城にて
そして魔王城の敷地内に入ってすぐ。
ガリアが近くにいた兵士に向かってこう言った。
「リリスはどこにいるか、ご存知ですか?」
「恐らく救護所に‥‥」
「ここにいますわ。兄様。」
「あ、リリス。ちょうど良かった。こちらのお客様二人を診てくれますか?」
「え?このお二人をですか?」
「ええ。街の民を守って下さった恩人です。なので救護所ではなく客室で診察をお願いしますね。」
「分かりました。ではハウレス様、陛下。申し訳ありませんがそのまま運んで頂けますか?」
「「ああ。」」
そしてリヒトとルリは城内の一室に通され、別々のベッドに寝かせた。
すると、リリスはまずは起きてはいるリヒトから診察を始めた。ルリは怪我の形跡がなかった為、後回しでも大丈夫だろうと判断した為だ。
そして。
「えっと‥‥‥リヒト様でしたよね?」
「ええ。」
「リヒト様は一度お腹辺りや背中に怪我をされていた様ですが、ご自身で治癒を?」
「いえ。治してくれたのは隣にいるルリです。」
「そうなのですか!?」
「リリス。驚くことなのか?」
「はい。陛下、リヒト様の怪我は恐らくあと一歩治療が遅くなっていたら亡くなっていてもおかしくない程のものだったかと思われます。それをルリ様は一度、治癒を掛けただけで完璧に傷を塞いでしまった様なのです。これは私でもできません。」
「そうなのか!?」
「はい。しかも完璧に傷を塞いでいますので私がすべき事は何もありません。あとはリヒト様に体力の回復に専念して頂くだけです。」
「すげぇな‥‥‥ルリ。」
「ルリ様は怪我は無い様ですが、診察しますか?」
「ああ。念のため頼む。」
「畏まりました。陛下。」
そう言ってリリスはルリの方に向き直り、診察を始めると。
「‥‥‥‥‥リヒト様。」
「はい?」
「ルリ様に封印術が施されている様ですが?」
「ええ。ルリの力は大き過ぎるので術で封印されてます。」
「そうですか。そんな中でご自身の力を行使した為に‥‥‥お疲れでしょうからこのまま寝かせて差し上げましょうか。」
「大丈夫なのか?」
「ええ。特に体に異常は無い様ですので休息をとればその内お目覚めになりますよ。」
「そうか‥‥‥良かった。」
「ありがとうございます。」
「いえ。私は自分に出来ることをしただけです。では、私は失礼しますね。」
そしてリリスが去った後。
「リヒトさん。」
「何だ?」
「ルリに封印術が施されてるって本当ですか?」
「ああ。さっきも言ったが、ルリの力は大き過ぎるんだ。封印術を掛けても溢れる位にな。」
「ルリは知ってるんですか?」
「知らない。封印の模様は浮き出てるから分かるだろうが、その模様の意味は知らない筈だ。」
「え?浮き出てるってどこに?」
「手のひら。見てみな。」
優人がルリに近付いて片方の手のひらを確認すると。
「‥‥‥‥‥本当だ。」
「だからルリが俺の傷を治してくれた時は驚いた。しかも過去に一度使ったことがあるみたいでな。それは俺も知らないが。」
「そうですか‥‥‥とりあえず二人が無事なのは確認出来たので俺も部屋出ますね。リヒトさんもゆっくり休んでください。」
「いいのか?見張らなくて。」
「リヒトさん。俺、魔王っすよ?見張りなんてしたくてもさせてくれませんよ。それにリヒトさんは逃げないでしょ?」
「ふっ。ああ。じゃあお言葉に甘えてゆっくり休ませてもらうよ。」
「はい。二人共起きてからでいいんで、昨日の話とか聞かせて下さい。」
「ああ。分かった。なあ、優人。」
「はい?」
「優人も呼び捨てで敬語なしの方が喋りやすいならそうしていいぞ?」
「え?それは嬉しいですが、本当にいいんですか?」
「ああ。」
「う~ん。じゃあ、リヒトさんって呼び方に慣れてきちゃったんで呼び方はこのままで、敬語なしだけお言葉に甘える感じでも?」
「勿論。いいぞ。」
「じゃあ早速。リヒトさん。ちゃんと休めよ。」
「ああ。」
そして優人もそう言い残し、部屋から出ていった為部屋にはルリとリヒトだけになった。
‥‥‥‥ん?よく考えたらルリと二人だけ?
何か普通に一緒の部屋に通されたな。
あ、ルリに離さないから安心しろって優人が言ったからか。
でも‥‥‥この状況で休めと?
横を向いたらルリが寝ているこの状況で?
「‥‥‥ん‥‥‥」
「ルリ?」
「‥‥‥‥」
「寝てるか。俺も余計なことは考えず、まずは休息だな。」
そう言ってリヒトも再び眠った。
そしてその日のお昼頃。
目を覚ましたリヒトはそのまま何気なくルリの方を見ると、ルリと目が合った。
「「‥‥‥‥。」」
二人共寝ぼけていて頭が働いてませんでした。
そして数秒後、いち早く頭が覚醒したのはリヒトの方だった。
「ルリ?大丈夫か?」
「‥‥‥‥リヒトさん?‥‥‥‥ここ、どこですか?」
「魔王城だよ。今朝城に着いたんだが、ルリが起きなかったからそのまま運んでもらった。」
「そうですか‥‥‥‥あ!リヒトさん。怪我、大丈夫ですか?」
「ああ。ルリの治癒は完璧だったそうだぞ。」
「え?診察してもらったんですか?」
「ルリもしてもらってるぞ?」
「あ、そうなんですね。」
「俺は体力の回復に専念しろって。ルリも特に異常はないから大丈夫だって。」
「そうでしたか‥‥‥良かった。」
と、話していると頃合いを見計らった様に。
コンコン
部屋の扉をノックする音が鳴った。




