11話 向かう先は
私とリヒトさんは魔族の王様ご一行について行くことになったが。
「ところで優人さん。どこに向かうんですか?」
「そりゃ決まってるだろ。」
「ええ。魔王城に決まってます。」
魔王城‥‥‥って!
「お城ですか!?」
「そりゃそうだろ。近いから大丈夫だ。」
と言っていつの間にか着いていた馬車の前でガリアさんが扉を開いてくれた。
「さ、どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
手を貸してくれるの、めっちゃ自然だったよ。
あ。家名ある人が貴族ならガリアさんもか。
すごいな‥‥‥貴族。
そして私、リヒトさん、優人さん、ガリアさん、ハウレスさん、ファクスさんが同じ馬車に乗り、バラクさんは外で馬に乗ったところで馬車が動き出した。
「おお‥‥。」
「陛下と同じ反応ですね。」
「だな。ルリもやっぱり馬車乗ったことなかったか?」
「はい。これが初めてです。」
「やっぱり?ってどういうことだ?優人。」
「どういうことも何もさっきルリが俺を見て日本人って言ってたじゃないですか。一目で日本人って出てくるのは同じ日本に住んでいた人だけです。ルリは日本人っぽくないので不思議ではありますが、日本に住んでいたのは事実でしょう?」
「まあな‥‥‥。」
「あれ?あっさり認めてくれるんですね。」
「もうしらばっくれても遅いだろ。」
「すみません‥‥‥リヒトさん。」
「いや。言ってしまったのはしょうがない。」
「あの‥‥‥話を変えることになりますが、伺いたいことがあるんです。いいでしょうか?」
「ああ。何だ?」
「避難していた人達に会うことは可能ですか?」
「ん?いいよな?ガリア。」
「ええ。構いませんよ。後ろからついてきてる筈ですしね。あのまま街に戻しても住む家がありませんし、安全確保してから街の復興もするつもりです。その間好きなだけお会い頂いて構いませんよ。」
「本当ですか!?」
「ええ。」
「良かった‥‥。」
「ルリ、会いたいやつがいるのか?」
「はい。先程避難させた子供がいると言いましたよね?その時にその子のご両親にも会ったのですが、街に引き返す私を心配してくれていたので無事をお知らせしたいなと。」
「なるほどな。」
「ルリさん。リヒトさんも。城まではまだ時間が掛かりますので、よろしければお休み頂いても構いませんよ。」
「え‥‥でも‥‥。」
「疲れてるだろ?何もしないから休んでくれ。」
「は、はい。それは有難いのですが‥‥」
「ああ。このままでは寒いですね。あと寝顔、見られたくないですよね。これをどうぞ。」
と毛布の様な暖かいブランケットを貸してくれた。
しかも私とリヒトさんの二人共に一枚ずつ。
「重ね重ねすみません。ありがとうございます‥‥‥リヒトさん。」
「何だ?」
「私にももたれていいので肩、貸してもらえますか?」
「お、おう。いいぞ。」
「ありがとうございます。」
ご厚意に甘えてルリがブランケットを被って、リヒトの肩を借りる様に頭を乗せる。するとあっという間に眠気が襲ってきたルリはすぐに寝てしまった。
「ルリ、寝ちまったみたいですね。」
「ああ。」
「リヒトさんもいいですよ。」
「‥‥‥‥。」
「何もしませんて。」
「いや、そこはもう疑ってない。ただ、ルリはこの世界に来たばっかりだ。あまり質問攻めしないでくれ。あと、ガリア殿。私の正体にお気付きですよね?」
「ええ。」
「え?正体って?リヒトさん何者?」
「ルリ様には伝えてないのですか?」
「ええ。ルリの両親に口止めされてますので。私の正体も含めて。なので、皆さんもどうかルリに知らせないで下さい。」
『分かりました。』
「え?そんなあっさり?」
「拒否されると?」
「ええ。少し。脅しの材料にもなるかと。」
「民の命を救ってくれた方々に不利益なことは致しませんよ。」
「そうだな。だからリヒトさんが何者でも関係ない。それに俺はリヒトさんとルリを気に入ってます。だから信じてください。余計なことは言わないし、聞きません。リヒトさんの正体は気になるけど、ルリの前では聞かないから安心して下さい。みんなもいいな?」
『はい。』
「ありがとうございます。」
そしてその後、安心したようにルリにもたれて、リヒトも眠りに落ちた。
そして翌朝。
「リヒトさん。」
「‥‥‥ん‥‥。」
「朝です。そして城に着きましたよ。」
「‥‥‥ああ。」
そこでようやく目を開けたリヒト。起こしたのは優人だった。
「優人‥‥?」
「ええ。優人ですよ。リヒトさんが起きないとルリを起こせないでしょ?」
「あ‥‥‥そうだったな。」
そう言ってルリの頭にもたれていた自分の頭を起こして、今度はリヒトがルリを起こしにかかった。
「ルリ、起きろ。朝だぞ。」
「‥‥‥‥。」
「ルリ。城に着いたぞ。」
「‥‥‥‥。」
「起きませんね。」
「起きないな。」
「いつもこうなんですか?」
「いや。寝起きはいい方の筈なんだが‥‥。」
「‥‥‥‥。」
「どうします?」
「俺もまだ完全には回復しきれてないからな。誰かに運んでもらうか。」
「じゃあリヒトさんも誰かに運んでもらわないとですね。ルリは軽そうだし、俺が運びますよ。」
「‥‥‥‥頼む。」
「今すごい格闘してましたね。」
「そりゃ本当なら俺が運んでやりたいぐらいだからな。」
「でしょうね。ちょっと待ってて下さいね。」
と、優人が人を呼びに行くと馬車を出てすぐ昨日と同じくハウレスを連れて戻って来た。そして二人でリヒトとルリを城内に運んだ。




