105話 家族と別れ、そして家族のところへ
そして再び女性陣。
ルリ達も着替えて髪を乾かしたりした後、女湯側から出てきた。
すると、
「どこから来たんですか?」
「どなたか待ってるんですか?」
と休憩スペースに僅かに聞こえた声を含む人だかり発見。
「‥‥なに、あれ。」
と私が呟く間も色んなところから人が集まっていた。
ほぼ女性。
「銀髪の格好いい人がいるんだって!」
と言ってまた人だかりに合流する人がいた。
「「「「‥‥‥。」」」」
「もしかしなくても、リヒトだよね?」
「「「だろうね。」」」
どうするかと思っていると、
「おい、見ろよ。こっちにはピンク髪の美少女がいるぞ。」
「本当だ。声掛けてみるか?」
「「「「‥‥‥。」」」」
「‥‥私かな?」
「ルリしかいないでしょ。」
「もう突っ込んで合流しちゃいましょ。」
「「「うん。」」」
そして人だかりに向かっていき、私達がその合間を縫っていくと、その先にいたのはやっぱりリヒト達で。
「「ルリ!!」」「春花!」
「ふふっ。お待たせ。リヒト、義父さん、義兄ちゃん。」
「ああ。なんかずっと声掛けられてどうしようかと思ってたんだ。」
「ふふっ。あなた、春樹、リヒトさんも。遅くなったわね。」
「「お待たせ~!」」
「ああ。鈴花達もやっと来てくれたか。」
「ルリ。」
「ん?なに?リヒト。」
「髪‥‥おろさないか?」
「え?まだ暑いからやだ。」
「‥‥‥。」
ルリは髪を乾かした後、長い髪をおろしたままだと暑いと後ろで纏めていた。
「それよりソフトクリーム食べない?」
この公衆浴場はお風呂の受付と同じ空間に食事処もあるため、そこでソフトクリームも食べることができる。
お風呂から上がってそのまま買いにいけるし、室温も調整されているので湯冷めの心配もないのだ。
「あら。いいわね!行きましょうか。」
「やった!‥‥ほら、行こ。リヒト。」
と言ってルリがリヒトの手をとると、リヒトは嬉しそうに「ああ。」と言ってやっと人だかりから脱出した。
一連のルリ達の会話を聞いていた、人だかりを形成していた人達ー主にリヒトを狙っていた人達ーは
『ルリには勝てないな‥‥あの嬉しそうな顔はあの子じゃないと引き出せないだろうし。』
と呟いていた。
そして。
「どうしよう‥‥迷う。」
「なにが?」
「ソフトクリームの味が色々あってね、毎回悩むんだよ。」
「‥‥候補は?」
「ニつで迷ってる。」
「なら二つ共買えばいい。俺達でそれぞれ半分ずつ食べたらいいだろ?」
「‥‥いいの?」
「ああ。日本語が読めない俺には選びようがないからな。元々ルリのおすすめにしようと思ってたからいいよ。」
「やった!」
ということで、ルリが買ったのは白桃と青リンゴ。勿論、家族も食べてる。だが。
「「食べ辛い‥‥。」」
勿論ソフトクリームのことではない。
青みがかった銀髪と薄いピンク髪の二人組ということで、かなり目立っているだけだ。
仲良く分けあって食べている二人を微笑ましく見てるのは家族だけ。
「ふふっ。珍しい色の髪してるんだもの。仕方ないわ。でも‥‥」
「「うん。」」
「な、なに?」
「「「絵になる二人だなって。」」」
「そう?」
「「「うん。」」」
「それは嬉しいな。それで、ルリ。まだ暑いか?」
「ん?もうさほど暑くないかな。」
「ならいいな。」
「え?」
リヒトはルリの後頭部に手を伸ばして、後ろで纏めていた髪をおろした。
「わ!‥‥そんなにおろした方が良かった?」
「いや。どっちの髪型も可愛いかったからいいんだけどな‥‥」
「?」
「ふふっ。16歳にしては色気がちょっと出てたから心配なのよね?リヒトさん。」
「え?そうなの?」
「‥‥ああ。まあな。」
ちょうどその頃には全員食べ終わっていたので、帰ることになった。
そして帰りの車の中。
「ふふっ。リヒトさん。いいこと教えてあげようか。」
「ん?なんだ?」
「ルリね、出るとこ出てるのに程よく締まってて綺麗な体だったよ。」
「そうそう。ルリ、いい体してたよ~。あ。抱き締めたら分かるか。」
「「!!!」」
「‥‥‥確かに最近、理性との戦いだな‥‥。」
「‥‥義姉ちゃん達もリヒトも何言ってるの‥‥。」
「ルリ。リヒトさんもいい体つきしてたぞ。」
「何なの‥‥兄妹揃って‥‥言われなくても分かってるよ‥‥。」
「ふふっ。みんな。ルリが真っ赤よ?折角お風呂の熱が引いたところだったのに。」
「そうだよ!」
その後は和気あいあいとした空気のまま帰宅した。
そしてリビングに集まって、
「で、リヒト。明日、いつ出発する?」
「う~ん。樹さん達は仕事とかあるよな?」
「うん。あるね。じゃあ、また早朝?」
「だな。」
「見送らせてくれるのか?」
「勿論。ここはルリにとってもう一つの故郷だからな。ルリも家族に見送ってほしいだろ?」
「うん。」
なら今日は早めに寝ようということになり、各々部屋に戻り就寝した。
翌日、早朝。
「ルリ、起きろ。」
「‥‥ん‥‥。」
「ルリの可愛い寝顔は見飽きることはないが、起きてくれ。」
二年前と違い、すっかり耳に馴染んだ声。
‥‥この声‥‥リヒトか‥‥
と思いながらゆっくり意識が覚醒してきたところで、今回はリヒトにキスされた。
「!!!」
驚いて目を開けたルリの目に、ものすごく嬉しそうな顔のリヒトが映った。
「お。起きたか?ルリ。」
「‥‥‥やってくれたな‥‥リヒト。」
「え?」
ゆっくり体を起こしたルリはリヒトに両手を伸ばして
「いひゃい!」
またもや頬を引っ張った。
「リヒト‥‥私が二年前何て言ったか忘れたのかしら?折角仕返ししてあげたのにまだ分からないか!」
「ひょ、ひょひはへふはふぁひふぇ。」
※と、とりあえずはなして。
と言われたのでルリが手を離すと。
「痛かった‥‥‥ルリの寝顔が可愛いからついな。でも、結婚したら毎日同じベッドだぞ?」
「え!?‥‥一緒に寝て、毎朝リヒトに寝顔見られるの?」
「そういうことだ。」
「‥‥なんということだ‥‥恥ずかしすぎる‥‥‥ん?ということは、私が先に起きたらリヒトの寝顔が見れる?」
「そうなるな。」
「あの綺麗な寝顔を‥‥」
と言いながらリヒトの顔を見て思い出した。
「あ。まだ言ってなかった。おはよう、リヒト。」
「ああ。おはよう、ルリ。」
「‥‥そういえば、しれっとキスしたよね?」
「ああ。」
「あっさり答えた‥‥」
「俺は仕返しじゃなくてもこうしてほしかったなって思ってな。」
「私は今のをされるのはしばらく遠慮したいかな‥‥びっくりして心臓に悪い‥‥。」
「「しばらく」か。じゃあ、そのしばらくは結婚後ぐらいかな?」
「‥‥都合のいいところだけ切り取ったね‥‥そして嬉しそうだね。」
「勿論。あ、そろそろ着替えて準備してくれるか?」
「うん。先に下にいってて。」
「分かった。」
そしてリヒトが去ったあとにルリも着替えて、昨日粗方してあった準備を改めてした荷物を持ち一階に降りて、リビングに入ると
「「「「おはよう、ルリ。」」」」
樹、春樹、鈴花、舞花がいた。
二年前もそうだが、今日も先に春花が四人を起こした様だ。
「おはよう。義母さんは?」
「勿論、台所。」
それを聞いたルリが台所に行くと。
「おはよう、ルリ。」
「おはよう、義母さん。手伝いは?」
「大丈夫よ。」
そして、全員でいつもより早い朝食を食べた後。
荷物を持ったルリとリヒトと共に、玄関から靴を持って地下に移動した一同。
地下に到着すると、ルリも今度はあっさり靴を履いて降りてきた。
そしてそのままリヒトと共に扉の前に移動した所で振り返った。
「じゃあ、義父さん、義母さん、義兄ちゃん、鈴姉、舞姉。一週間、お世話になりました。」
「俺も。一週間、お世話になりました。」
「いってきます!」
『!!!‥‥‥いってらっしゃい!』
二年前と同じ様に家族からの『いってらっしゃい!』を受けてルリは扉を開けた。
そして二年前のあの時と同じ様に光の先へと向かって踏み出した。
二年前と違うのは、実の両親に文句を言うためではなく、帰るために再び旅をするということ。
そして今のルリには「家族」が二組いるということ。
日本編終わりです。
次、いつ日本に行かせてあげるかはまだ考えてません。
とりあえず、魔岩の心配はなくなったのでいつでもいいのですが‥‥。
候補としてはやっぱり‥‥新婚旅行でしょうか?
‥‥‥おいおい考えます。何せ計画性のない作者なので。




