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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第五章 もう一つの故郷へ
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101話 眠り姫の目覚めとその後

ルリとリヒトが魔岩や魔物達を消した翌朝。


やっぱりルリは起きることはなかった。

春花やリヒトが起こしにいっても全く反応がなかったので、「寝かせといてあげよう」ということになった。


そして朝食後。

なんとなくだろうが、全員がリビングに揃っていたので、樹が何気なくテレビをつけると。


『一体、何が起こったというのでしょうか!?一晩で魔岩とあの動物達の姿をした異形の者達が全て姿を消しました!~』


「「「「「「‥‥‥。」」」」」」


「えっと‥‥これが、ニュースとやらなのか?」

「え、ええ‥‥そうよ‥‥」

「えっと‥‥二人で全部?」

「まあ‥‥ほぼルリだけど‥‥。」


「「「「「‥‥‥。」」」」」


『なお、夜中に中に入る二人の不審人物をカメラが捉えておりましたが、マスクやフードで顔を隠しており、人物の特定には難航している模様です。』


「「「「「だろうね‥‥。」」」」」

「まあ、それ狙いだしな。」


『また、この二人が身に付けていた服は量産型の物で購入者から人物を特定するのも難しいとされ‥‥』


「ふふっ。これは狙い通りだわ~!」

「母さん、本当に狙ってあのジャージにしたの?」

「勿論。分かりにくい様に二人共、真っ黒だったでしょ?この後、出掛けるにしてもジャージとパーカーを着なければ分からないわ。」

「なるほど。」


向こうから持ってきた服を着た方がバレなかったんじゃ?とは敢えてなのか誰も言わない。


と、話している間にニュースが変わり。


『修学旅行中に行方不明になった小鳥遊優人さんですが、三年が経った今もご家族には何の情報も入っておりません。』


「あ。本当に優人のニュースやってたんだな。」

「本人はニュースになってるの、知ってるの?」

「ああ。ルリが話していた。その上で家族には悪いが、帰るつもりはないって言ってたな。」

「そう‥‥‥代わりに家族に教えてあげる訳にもいかないしね‥‥。」

「だな‥‥。」


異世界に召喚されただけだから無事だよ。と言って信じる訳がないからだ。

言ったところで信じてもらえないどころか、頭のおかしなやつ認識が生まれるだけだ。意味がない。


「それで?みんなは今日、どうするの?」

「「「「「‥‥‥。」」」」」


春花以外の全員が黙ってしまった。

予定は決めてなかったからだ。


「はぁ‥‥まあ、ルリが起きないのは想定外よね。」

「「「ああ‥‥。」」」「「うん‥‥。」」


そんな家族の反応を見た春花は、ニヤリとして


「予定がないなら家事とか手伝ってもらおうかしら。ルリの世話は私と鈴花と舞花の3人でやるから、男共は他のことをやってもらうわ。」

「「「「「え!?」」」」」


普段、基本的に家事の手伝いとか何もしない男性陣に加え、ルリがいる間はこちらも何もしなかった姉妹も驚いた。


え‥‥仕事、与えられるの‥‥?と。


「何よ?暇ならいいでしょ?こんなしんみりした空気でいる方が頭がおかしくなりそうだわ。」

「「「「「確かに‥‥。」」」」」


その後、春花の手足と化した家族が年末の大掃除並みのことをやらされた。

リヒトにはさすがにと気を使って簡単なことだけだが。



2日後の朝。

朝食の席にまだルリはいなかった。

春花以外の4人が仕事や学校に向かった後のお昼頃。

昨日と同じく様子を見に来たリヒトは、ルリの手を握って寝顔を見ていた。


ルリ‥‥そろそろ起きてくれないかな‥‥

可愛い寝顔はどれだけ見ても飽きないが、話したい。

向こうにいる時みたいに離れてるから話せないならまだしも、こんなに近くにいるのに倒れて‥‥寝たままで話せないのはさすがに心配なんだ‥‥

ルリの可愛くてしょうがない笑顔が見たいんだ‥‥

頼むからもう起きてくれ‥‥ルリ。


そう思いながら見ていると、リヒトの思いが届いた様に


「‥‥‥ん‥‥。」

「ルリ?」

「‥‥ん‥‥?」


ゆっくりと目を開けたルリは周囲を見渡したあと、


「‥‥‥リヒト‥‥?」

「ルリ!」

「‥‥‥私の部屋?」

「ああ。そうだよ。」

「そっか‥‥運んでくれてありがとう、リヒト。」


にっこり笑ってお礼を言ったルリを見て、リヒトは見たかった笑顔が見れた安堵から涙が溢れてきた。それをルリに見せまいと俯きながら


「ああ‥‥それぐらい、いくらでもするさ‥‥」

「リヒト?‥‥‥私、どれぐらい寝てたの?」

「3日。」

「また3日!?‥‥‥ごめん。心配掛けちゃったね‥‥。」


と言うと、涙が流れるのも気にせずガバッと顔を上げたリヒトは


「全くだ!‥‥もう、こんな思いはたくさんだ‥‥。」

「‥‥リヒト、体起こしてくれる?」

「え?‥‥大丈夫なのか?」

「うん。」


そしてリヒトはルリの首とベッドの間に腕を差し込んで体を起き上がらせたあと、枕の位置をずらし、ヘッドボードを背もたれに座れる様にした。


「ありがとう、リヒト。」

「ああ。」


リヒトがベッドの側に椅子を持ってきて座ると、ルリの手がリヒトの顔に伸びて、涙の跡を拭った。


「ごめんね‥‥。」

「起きてくれたからもういいよ。」

「でも、これで分かった?リト君がいた街でしたリヒトの無茶で私がどんな思いしたか。生きた心地しなかったんだよ?」

「ああ‥‥ものすごく。」

「そう‥‥ならもうリヒトも無茶はしないかな‥‥‥で、話は変わるけど、リヒト。まさかまた私の寝顔見てたの?」

「い、いや‥‥?」


と言いながらも明後日の方向に視線が泳ぐリヒト。


「ふふっ。相変わらず、嘘が下手だね。まあ、今回は心配掛けちゃったから文句はやめとくよ。」

「そうか‥‥。」

「安心した?」

「ああ。起きてくれたし、また笑ってくれた。今はそれだけで十分だ。‥‥それで、動けそうか?もうすぐ昼食らしいんだが。」

「あ~‥‥ちょっと難しいかも。義母さんを呼んできてもらっていい?」

「ああ。」


そしてリヒトが春花を連れて戻ってくると、


「義母さん。お腹空いたけど、ちゃんと食べれる気がしないからお粥食べたい。」

「ふふっ。はいはい。いいわよ。ちょっと待ってなさい‥‥‥あ。」


と何かに気付いた様に春花が近付いてきて


「(ルリ、トイレ平気?)」

「(じゃない。実はすごくいきたい。)」

「(分かったわ。)」


そして、振り返った春花はとんでもない提案をした。


「リヒトさん。お願いがあるんだけど。」

「?」

「お手洗いの前まで、ルリを運んでもらえないかしら?」

「え!?」「義母さん!?」

「ふふっ。二人共、「前まで」って言ったでしょ?」

「「‥‥‥。」」

「‥‥リヒト、お願いしていい?」

「あ、ああ。勿論。」


そして、無事お手洗いを済ませて戻ってきた二人は。


『『中に一緒に入った訳じゃないけど、気まずかった~!』』


と心の中で悶えていた。


その後、お粥を作ってルリの部屋を訪れた春花に。


「義母さん。」「春さん。」

「ん?なに?」

「「気まずかった!」」

「ふふっ。でも、私の腕力でルリを抱えるなんてできると思う?」

「「‥‥‥」」

「リヒトさんがいてくれて助かったわ~。それよりルリ。自分で食べられそう?」

「う、うん。それは大丈夫。」

「そう。なら、食べ終わった頃にまたくるわね。」

「うん。ありがとう。」


そして春花は持ってきたお粥をサイドテーブルに置いたあと、自分も昼食を食べにリヒトと一階に降りていった。


ルリは一人、ベッドの上で茶碗に移したお粥をちみちみ食べていた。


ああ~‥‥義母さんのお粥だぁ‥‥これ食べると安心するんだよね~。

作り方教わってるから作れる筈なのにこの味は再現できないんだよね‥‥‥

いつか再現できる様になりたいな‥‥


そんなことを思いながら。



夕方過ぎ。


ダダダダダ


ルリの部屋へ向かってくる、激しい足音二つ。


バン!!


「「ルリ!!」」

「‥‥鈴姉、舞姉。おかえり。ノックぐらいしようよ。」

「「た、ただいま‥‥。あと、ごめん。」」

「ふふっ。いいよ。」

「ルリ、大丈夫なの?」

「うん。大丈夫。」

「「良かったぁ~!」」


と言ってへなへなとその場に座り込んでしまった義姉達。

そこに。


「「ルリ!!」」

「ふふっ。義父さんと義兄ちゃんもおかえり。」

「「ただいま‥‥。」」

「‥‥鈴花と舞花は何してるんだ?」

「「安心したら力抜けただけ‥‥。」」


「はぁ‥‥あなた達、ルリは起きたばっかりだし、近所迷惑だから静かにって言ったでしょ?」

「「ごめんなさい‥‥。」」

「それで、ルリ。調子はどう?」

「うん。大分良くなったよ。もう自分で動けそう。」

「そう。ならもう夕飯食べれるから降りてらっしゃい。鈴花と舞花は着替えてからね。」

「「はーい。」」


そして夕食後。

この日もリビングに全員集合した。


「えっと、確認だけど私達の正体がバレたりは‥‥?」

「してないわ。‥‥やってるかしら?」


と、春花がテレビをつけると。


『私は今、魔岩隔離施設の前にいます。ご覧の通り、破壊された入り口の扉は撤去されたものの、依然規制線は張られたままです。また、侵入者の目星もついておらず、情報提供が呼び掛けられています。』


「おお~‥‥なんかすごいことになってるね‥‥」

「それはそうよ。20年以上鎮座していた物が突然消えたんだもの。」

「そうだね。‥‥魔物も、もう出てきてない?」

「大丈夫みたいよ。ほら。」


『~なお、侵入者が中に入っていったあと、魔岩と共に忽然と姿を消した化け物達はそれから発見されていません。現場からは以上です。』


そして画面が切り替わり、スタジオの映像が映る。


『あの二人はどうやって消したのでしょうか?』

『謎は深まるばかりですね。外の監視カメラにすごい光のあとが映ってるそうですが‥‥中にも監視カメラを付けられたら分かったのでしょうね‥‥』

『ええ‥‥化け物達が破壊してましたからね‥‥』

『魔岩の隔離施設に現れた光の目撃情報は上がってますが‥‥関連があるのかどうか‥‥中を映す監視カメラが無かったことが本当に悔やまれます。』

『そうですね‥‥しかし、あの二人はどうして未だに名乗り出てくれないのでしょうか?』

『自分達の正体を知られたくないとかでは?』


「あ。正解だね。」

「ふふっ。そうね。」


『一応、不法侵入ですから捕まるのを恐れてるのでは?』


「それも正解。」

「ふふっ。」


『とはいえ、脅威だった物を退けてくれた方々ですから、お礼ぐらいは申し上げたいところですね。‥‥続いてのニュースです。~』


「今の言葉だけで十分ですよ。‥‥元々は向こうにあったのが来ちゃっただけだからね。」

「だな。」

「安心した?ルリ。」

「うん。」

「なあ、ルリ。聞いていいか?」

「うん。なに?」

「破魔の力を使ってる途中で魔岩の下に魔術陣みたいな模様が浮かんだだろ?」

「うん。」

「あれを破壊してくれって言ったのは何故だ?」

『え?』

「ほぼ直感だよ。向こうの世界から日本に移動してきたならさ、日本からまた移動できてもおかしくないな。って思って。だからあの模様が転移陣の類いかもって予想して、陣が完成しなければ転移陣は発動しないかもってね。」

「なるほどな。見た限りは、正解だったみたいだな。」

「うん。」


「ルリ。」

「なに?舞姉。」

「それを戦闘中に考えてたの?」

「ん?これは周りの魔物達を一掃して魔岩に集中し始めてからの話だよ?」

「一掃‥‥?」

「うん。」

『‥‥‥』


『産まれ故郷に帰った家族(ルリ)がものすごく強く、逞しくなって戻ってきた‥‥。』


と改めて実感した戸隠一家だった。

サブタイトルですが、「そのまんまじゃん!」というのは自覚してます。

某童話の様に毒りんごを食べた訳でも、キスで目覚めるなんてこともありませんが、リヒトとルリはリアル王族だからいっか。と「眠り姫の目覚め」としました。

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