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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第五章 もう一つの故郷へ
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100話 魔岩のところへ

ルリと友人達が話している間のリヒトは。


へぇ~‥‥こいつがちょっとの間でもルリの彼氏とやらになっていたやつか‥‥


と思いながら黙って様子を見ていた。

そして友人達が去った後、すぐにルリに話し掛けられて考えを中断した。


「リヒト。今の人達は私の中学校の同級生達。あ、同い年の友達って認識でいいよ。」

「そうか。最後にちょっと話したのが例のミヤビってやつか?」

「うん。そうだよ。」

「まだルリのことが好きだったみたいだな。」

「え?そう?」

「ああ。でもルリの話で諦めてくれそうだな。」

「えっと、まあ、それならいいんだけどね‥‥。」

「さて、これからどうする?」

「ん?う~ん‥‥そろそろ合流の時間だから、行こっか。」

「ああ。」


そして私達が駐車場に着くと既に家族は集まっていた。

全員車に乗り込み、発進すると。


「「ルリ~。」」

「な、なに?」

「デート楽しめた?」

「やっぱりそういうことか‥‥うん。楽しかったよ。向こうでは二人でゆっくり回るなんてできなかったから。」

「え?なんで?」

「舞、ルリは王女なんだから出歩くのも護衛がいるでしょ。」

「確かにいるんだけど、リヒトがいるなら二人で出歩く許可は出してくれるの。だからそっちじゃなくて、街の人達の視線が集まるんだよ。」

「あ、そっちなんだ。大変だね~。」

「まあ、街の人達も優しいから基本、ほっといてくれるけどね。」

「「「へぇ~!」」」

ー以上、女性陣のみの会話でした。ー


そして家に到着すると。


「ルリ、夕飯の準備手伝って。」

「はーい。いいよ~。さっき義姉ちゃん達と買い物もしてきたの?」

「うん。」

「そっか。」


ショッピングモール内にあるスーパーで両親が最後に買い物をしていると義姉達が合流してきたそうだ。


そして、夕食後。


「義母さん。突入するなら夜だよね。やっぱり。」

「そうね。」

「じゃあ、もう少ししたら出る?リヒト。」

「ああ。」

「え?今日行くの?」

「うん。鈴姉も見たでしょ?化け物。今まで被害者が私達だけなのが奇跡だよ?早くやっちゃわないと。」

「そっか‥‥。」

「でも、気をつけてね。色々と。」

「うん。勿論。」

「色々と?」

「リヒト。私達は日本の基準だとまだ未成年なんだよ。向こうでは騎士達がやってくれてる見回りを、こっちでもやっててね。日本は騎士じゃないけど、夜遅くに出歩くと補導されちゃうんだよ。」

「ん?ほどうって?」

「えっと‥‥向こう風に言うと、騎士達に詰所に連れて行かれて、厳重注意される。終わったら親を呼び出して連れて帰ってもらうの。」

「へ~!それを俺達もされかねないと。」

「そういうこと。あと、多分監視カメラあるよね?」

「あるはずよ。」

「リヒト。監視カメラって特定の場所を映像として保存できる機械でね。そこに映った人の顔を遠くても解析できちゃうの。特に私は14年間をここで育ったから、近所の人達も私のことは知ってる。探されたら義母さん達に迷惑が掛かるの。だから顔を見せる訳にはいかないし、見つかってもまずいの。」

「剣も持って行くからだな?あと、ルリの力は日本では異常だと。」

「うん。そういうこと。異空間収納が使えたらやり易かったけど、日本に精霊はいないからね。」

「だな。」


剣や着替えなど、必ず必要になる物は異空間収納に入れず、出して持ってきた。剣も今はそれぞれの部屋に置いてある。


「だから隠密行動だよ。」

「ああ。それはいいが、楽しそうだな。ルリ。」

「だって夜中に出歩くなんて初めてだもん!なんかワクワクしてきちゃって!」

「そ、そうか‥‥。」


「逞しくなったわね‥‥ルリ。」

「そうだな‥‥。」


その後、行動計画を練るための話し合いを開始した。


そして夜更け。


一応帯剣せず、布などでぐるぐる巻きにした状態で背負い、ショッピングモールで買ってもらったジャージ姿の二人。

カツラも勿論つけている。

そして、顔を隠せる様にとジャージの上からパーカーを着てフードを目深に被り、マスクまでしている。完全に不審人物である。


「ねぇ‥‥これ、逆に目立たない?」

「大丈夫よ。そもそも人が少ないもの。それもあって夜中なんでしょ?」

「そうなんだけど‥‥。まあ、いっか‥‥。」

「行くか、ルリ。」

「うん。‥‥じゃあ、行ってきます。」

『いってらっしゃい。』


そして、私達は玄関から出ずに庭から出た。

玄関側より庭からの方が人通りが少なく、暗い。闇に紛れるならこちら側なのだ。


それからは無言で周りを窺いながら進み、入り口に到着した。

魔物が外に出ない様にと壁を築いていて、他に侵入できそうなところがないのだ。この一ヶ所だけ。勿論監視カメラがある。なので、上を向けない。


「(行こうか、リヒト。)」

「(ああ。でも、どうやって中に入るんだ?)」

「(勿論、扉を破壊するんだよ。)」

「(‥‥ちなみにどうやって?)」

「(まあ、見ててよ。)」


勿論、音声も記録されるので気を付けないとだ。


魔物は根絶させる気でいるので扉を破壊する。

魔素の塊がそこにあり、魔術なら使えるということで利用させてもらう。


「(【アースバレット】)」


威力を抑えたやつを打ったので扉のみ破壊した。


「(よし。行くよ。)」

「(あ、ああ‥‥‥なるほどな‥‥。)」


そしてあっさり中に入った私達を待っていたのは、やっぱり魔物の大群。

元は猪や熊、鹿などだっただろうと思われる者達だ。


「うわ~‥‥やばいね‥‥これは。」

「だな‥‥。」


とは話しているが、勿論入った瞬間から戦闘開始していて、二人共剣と魔術で応戦している。


「これはある程度片付けながら進むしかないね。」

「だな。魔岩は‥‥‥あれか。」

「‥‥‥‥初めて見るけど‥‥大きすぎない‥‥?」


目の前の魔物の大群の向こう側に正しく「岩」と言っていいサイズの魔素の塊が鎮座していた。

禍々しい感じの雰囲気を漂わせて。


「あれは‥‥大変そうだな‥‥。」

「うん‥‥あ。土壁作ったら逃げにくいよね?」

「そうだろうけど‥‥大丈夫か?」

「うん。魔術と破魔の力は別だから。【アースウォール】」


そしてルリは破壊した扉の内側に土壁を作ると、振り返り再び魔物達に応戦しながら、今度は前進していく。


「リヒト。魔岩にもう少し近付いたら始めるね。一応周りも消していくけど、土壁破壊して逃げようとするやつを食い止めててくれる?」

「分かった。ルリ、今日は無茶するなとは言わない。けど、俺のところに無事に戻ってきてくれ。」

「!!‥‥うん。リヒトもね。」

「ああ。じゃあ、一発やるか。」

「うん。」


「「【ストリーム】」」


二人分の水流を起こす魔術で魔物を押し流そうということだ。

だが、やはり熊などもいるためさほど意味はなかった。

でも、さほどで十分だ。水流と共に前進し、魔岩までの距離はおよそ2メートルぐらいか?


「ルリ。頑張れよ!」

「うん!」


その会話のあとに二手に分かれた。


「さて、やりますか!‥‥ー我が身に宿りし、破魔の力よ。この地に産まれし命に救済を。害するものに裁きの光を撃ち落とせ!ー」


その瞬間、魔岩に空から光が落ちた。その光を一旦、この隔離された空間一杯まで拡げる。

しばらくすると、その様子を見ていたリヒトが近付いてきた。


「ルリ。周りはいなくなった。もう、魔岩に集中していいぞ。」

「分かった。」


そして光を再び集束させ、魔岩に当て続ける。


「ああ~‥‥危なかったな‥‥これは。帰ったらクレアに思いっきり感謝しないとだな‥‥。」

「え?」

「今、私の破魔の力が空っぽになった。で、ブレスレットに貯めてた分が流れてきた。」

「そ、そうか‥‥ルリ。俺にできることはなにかあるか?」

「う~ん‥‥じゃあ、一気に終わらせるね。多分倒れるから運んで。」

「‥‥‥分かった。」

「ありがとう。じゃあ、遠慮なく!」


と言った瞬間、破魔の力の光が強くなった。

眩しくて、思わず目を瞑ってしまったリヒトに、


「!! リヒト!魔岩の下!」


すぐさま目を開け、なんとか言われたところを見ると


「え?下?‥‥‥!!‥‥魔術陣か?」

「リヒト、それ壊してきて!」

「え!?どうやって?」

「多分だけど、その模様に傷つければいいよ!」

「分かった。やってみる。」


そして魔岩の下の地面に浮かび上がった模様の一部にリヒトが剣を突き立てると、光を帯始めていた模様が再び光を失った。


「さあ、魔岩。もう逃げられないわよ~!」


すると、魔岩が破魔の力の光に溶けていくように上から消え始めた。


「‥‥‥ギリかな‥‥。」

「え!?」

「リヒト。私、確実に倒れるわ。帰る時の手筈、大丈夫だよね?」

「ああ。大丈夫だ。地図も頭に入ってる。」

「さすが。じゃあ‥‥お願い‥‥ね。」


と言いながらルリが倒れていった。

既にルリの側に戻ってきていたリヒトがすぐさま支えた。


そして魔岩があった場所には何もなく、今度こそ消すことに成功した。


「‥‥‥リヒト。」

「ルリ?」

「消えた?」

「ああ。今度こそ消えたみたいだ。」

「そっかぁ‥‥‥良かったぁ‥‥」

「俺が家まで連れていくから休んでいいぞ。」

「うん‥‥。」


そして、気を失ったルリを横抱きにして振り返ると、ルリが気を失ったことで土壁が消えていた。


「さて、ルリの話だともうすぐここに人がくるんだよな。‥‥急がないと。」


そう言いながらリヒトはルリを抱えたまま駆け出し、来た道を戻り、周りに人がいないのを確認してから再び庭から家の中に戻った。

すると、


『ルリ!?』

「大丈夫。破魔の力を使いすぎただけだ。もしかしたら3日ぐらい起きないかもしれないけど、無事だよ。」

「「そうか‥‥。」」「「「そう‥‥。」」」


一先ずルリは無事だということで、家族に安堵の空気が流れる。


「リヒトさん。もしかして、前にも同じことが?」

「ああ。俺は話を聞いただけだけど、前にも魔素溜まりを消して倒れてる。その時は初めてだったかららしいけど、今回はそれ以上だったから‥‥。」

『‥‥‥。』

「大丈夫だ。今のルリは体力と破魔の力を回復させるために寝てるだけだから。」

「‥‥‥ルリが?」

「ああ。前に倒れた時もそうだったらしい。」

「そう‥‥とりあえず、リヒトさん。そのままルリを運んでくれる?」

「勿論。」

「ルリを運び終わったらリヒトさんも休んでね。私達も寝るわ。」

「分かった。」


そしてリヒトは家族と分かれ、ルリの部屋へ向かった。

ルリがジャージの上から着ていたパーカーを脱がし、カツラとマスクも取って寝やすい様にした。

そのあと、ルリをベッドに寝かせてから


「お疲れ、ルリ。ゆっくり休んでくれ。」


そう言ってルリの頭を撫でてから、そっと部屋を出た。

気付けば100話!


なのですが‥‥‥もう一つの作品も読んで頂いてる方(いらっしゃるんだろうか‥‥?)ならお分かりかと思いますが、100話だからといって内容に特別感はないです。

こっちは最後に主人公が倒れてますし、もう一つの方もなんとも言い難い内容の時。


作者は100話になってから「100話じゃん!」と気付くタイプです。切りのいい話数にこの話を持ってきたいという計画性が皆無です。すみません。

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