10話 やってきた人達の正体
私の目の前にいる黒髪の男性。
私が名前教えてくれないんですか?と聞くと。
「あ。そういえば俺が名乗ってなかったな。なあ、ガリア。俺の身分も言ってもいいよな?」
「はぁ‥‥‥やはりですか。あなたは私の言うことなどまともに聞いては下さらないではないですか。私に聞くだけ無駄では?」
「たまには聞いてるだろ?」
「たまにではないですか。今も身分を明かすなと申し上げても無視されるのでしょう?」
「ああ!正解だ。」
「はぁ‥‥‥。」
以上。黒髪の人と最初に話し掛けてきた人との会話でした。
そして再びこっちを向いた黒髪の人。
「俺はこの魔族の国、メフィストの王。つまり魔王の小鳥遊優人だ。」
たかなしゆうと?どっかで聞いたことあるような‥‥‥
って!
「「魔王!?」」
私とリヒトさんの声がハモった。
そしてこの時に私の眠気が一気に吹っ飛んだ。
「おう!」
「おう!って‥‥‥。」
「はぁ‥‥‥陛下が名乗ってしまいましたので私達も名乗りますね。」
と、最初に話し掛けてきた薄紫の髪に紫の目をした人が。
「私はメフィスト国において宰相を仰せつかっております。ガリア・ヴェントと申します。」
続いて二人の後ろに控えていた人達の中から、まず茶色の髪と目の人。
「私はハウレス・スオーロと申します。」
次に金髪に水色の目をした人。
「私はファクス・フロウと申します。」
「え?ファックス?」
「だよな?ルリ。ファックスって思うよな?」
「お二人共。僕はファクスですよ。」
「ごめんなさい。ファクスさん。」
「いえ。」
最後は紺色の髪に黄緑色の目をした人。
「私はバラク・イグニスと申します。」
今自己紹介してくれた人達の後ろにも人はいるが、全員兵士さんとのこと。
あれ?じゃあ今名乗ってくれた人達は?
と聞くと。
「家名がある三人は貴族家の者であり、陛下の護衛でもあるのですよ。」
と宰相のガリアさんが教えてくれた。
貴族は格好いい人しかいないとかか?
と思う程、全員綺麗な顔のスラッとした人達だった。
「ところで、ルリ。俺が名乗った時、何か考えてなかったか?」
「えっと、陛下の名前をどっかで聞いた様な気がしただけです。」
『え!?』
私以外の全員がハモった。
だよね。
「優人でいいぞ。で、どこで聞いたんだ?」
「あ、はい。ではゆうとさん。の名前‥‥‥どこで聞いたんだっけ‥‥‥‥?」
『‥‥‥‥。』
全員が私の言葉を待つように静かになった。
「あ!ゆうとさんの名前、小鳥遊に優人って字ですか?」
「え?ああ。そうだけど。」
「じゃあやっぱりそうだ!」
「詳しくお聞きしたいところですが、いつまでも地べたに女の子を座らせたままというのも気が引けますので、皆様。移動しませんか?」
「あ、そうだよな。ルリ、リヒトさん。一緒に来てもらえますか?」
「ルリ。どうしたい?」
「え?リヒトさん。私が決めるんですか?」
「いや。意見として聞きたい。」
「‥‥‥私は一緒に行っても大丈夫だと思います。何よりリヒトさんは怪我した後です。ちゃんとしたところで休んで欲しいです。」
「そうか。では、陛下。俺もルリをちゃんと休ませたい。信じていいんですね?」
「はい。リヒトさんも優人でいいですよ。呼び捨てで、敬語もいりません。」
「なら優人。ルリに何かあったら許さないからな。」
「はい。リヒトさんは立てますか?」
「多分‥‥‥‥っと。」
ゆっくりリヒトさんが立ち上がると、ふらついたのを優人さんが咄嗟に支えてくれていた。
「っ。大丈夫ですか?」
「ああ。ありがとな。」
「いえ。誰かリヒトさんを運んでくれ!」
と、優人さんが言うとハウレスさんが「自分が。」とこちらに来てリヒトさんを背負ってくれた。
そしてその様子をまだ座ったまま見ていた私に向かって優人さんが手を差し出してこう言った。
「ルリ。いつまで座ってんだ?立てるか?」
「え?あ‥‥は、はい。ありがとうございます。」
その手を借りて立ち上がりながら答えると
「どういたしまして。行くぞルリ。」
「はい。」
私が立ち上がってすぐに手を離してくれたので、足などに着いた砂を落としてからみんなの後について行った。




