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あたらしいお日さま

誤字報告をいただきまして、ありがとうございました!

41行目: そうかんかえると、→そうかんがえると、

16.優しい鳥のおんがえし


 森がすっかりすがたをあらわして、ソナタは歌をおえました。

 すると、砂漠のそらをくるくると飛んでいた大きな鳥は、ソナタたちのそばにふわっと着地。ごめんなさいというようにソナタたちに頭を下げてきました。


「ええっと、……どうなってるの?」


 コユキちゃんは、大きな鳥をやさしくなでながら、何があったのかを教えてくれました。


「あのね、この鳥さんは、とても困っていたの。

 ひな鳥ちゃんの一羽が巣からおちて、けがをしてしまっていて……。

 こまってこまって、何とかできないかって、わたしをつれて行ったの。

 だからわたし、まほうとお薬で、ひな鳥ちゃんのけがをなおしてあげたの」


 なんと、大きな鳥は、悪い鳥ではなかったのです!

 シュナちゃんもいいます。


「あたしも謝ったんだ。悪い鳥とまちがえちゃって、ごめんねって。

 そしたら、許してくれた。ほんとは優しい鳥さんだったんだ。ね、鳥さん!」


 大きな鳥さんはてれくさそうに羽づくろい。もうすっかり仲良しみたいです。

 コユキちゃんは、さらに言います。


「『お礼に今日は、私の巣にとまっていってください』って言ってくれたわ。

『光の森』が育ちきり、『月の涙』ができるまでは、まるまるひとばんがかかるんですって。

 その間、さむい外でまつよりは、あたたかな私の羽のしたでおやすみくださいって」

「いいの? ありがとう!」


 ソナタとヒトミちゃんは、ぱちんと手をうちあいました。

 そうしてソナタたち四人は、ありがたく鳥さんのせなかにのせてもらい、大きな木の枝にあるあたたかな巣につれていってもらったのです。




17.『月の涙』、みつけた!


 大きな鳥さんの羽の下、かわいいひな鳥ちゃんたちといっしょにぬくぬくと眠ったソナタたちは、翌朝はやく出発です。

 もういちど、大きな鳥さんにのせてもらって、『光の森』へ行きました。

『光の森』は夜のうちにすっかりおおきく育って、『月の砂漠』をいちめん、かがやく森に変えていました。

 空の上からみても、すぐにわかります。

 きっと、島のほかのところからも、このようすは見えているにちがいありません。

 そうかんがえると、どきどきします。

 さあ、いよいよ旅もおおづめです。

 このふしぎの森で、めずらしい宝石、『月の涙』をみつけられるのでしょうか?


「いったい、『月の涙』ってどんなのだろう?」


 そう言いあいつつ森に入ったソナタたちでしたが、すぐにあ! と手を打ちました。

 ソナタたちの目のまえには、草のはっぱにも木のはっぱにも、きらきらかがやく、しずくがいっぱい!

 そう、『月の涙』とは――

『光の森』の葉っぱについた、朝つゆたちのことだったのです!


 お日さまがのぼりきれば、朝つゆは消えてしまいます。ソナタたちはヒトミちゃんがもってきていた、きれいなみずさしを手に、朝つゆをあつめはじめます。

『光の森』は、のぼりはじめたお日さまの光で、いっそう美しくかがやいています。

 その光をうけてきらめく朝つゆたちは、虹いろの光をいっぱい宿して、ダイヤモンドよりももっときれい。

 いつのまにか、森のそとから動物たちがやってきて、たのしい作業をみまもります。

 たぬき、きつね、ねこ、こぶた。

 ちいさなこいぬにみえるのは、おおかみのこでしょうか。

 うさぎやことり、しまりすもやってきて、かわいく話しかけてきたり、がんばれとおうえんしてくれました。


挿絵(By みてみん)

by 金目猫さま



18.虹のはしと、新しいお日さま


 やがて、ソナタたちのもつみずさしは、かがやくしずくでいっぱいに。

 ソナタは、月色のツボをリュックからていねいにとりだします。

 ひとりずつ、朝つゆをツボに注いでいけば、四人全員注ぎ終わったときに、ツボはまんぱいになりました。

 そのとたん、女神さまからわたされたふしぎなツボは、ふんわり空に舞い上がり、ぱあっと朝つゆを空にふきあげました!

 朝やけのなかにあらわれたのは、どこまでもつづいているかのような、大きな大きな、あざやかな虹です。

 虹は太陽の方向にどんどんと、空のはじまでのびていきます。

 やがて、虹のはしを渡って、お日さまがのぼってきました。

 その光を見て、ソナタたちはおどろきます。

 きのうよりあきらかに、まぶしいのです。

 あれっと思ったときに、どこからか大きな、でも優しい声がしました。


『ありがとう、星の子たち。

 壊れていた虹の橋をかけてくれたから、私はやっとふるさとに帰れるよ。

 ほんとうにほんとうに、ありがとう。

 私に代わってここから一年は、ここにいるこの子、私の弟が君たちを見守るから、どうか仲良くしてやっておくれ。

 それじゃあ、またあう日まで!』


 聞いて確かめるまでもありません。それは、ここまでがんばりつづけてくれた、お日さまの声でした。



19.いっぱいのありがとう!


「ありがとうお日さま!」


 ソナタが東の空に向かって手を振ります。


「長い間、おつかれさまでした!」


 コユキちゃんはていねいにおじぎをしました。


「またきてねー!」


 ヒトミちゃんは両手をふってぴょんぴょん。


「弟さんともなかよくするから、安心してゆっくりして!」


 シュナちゃんは頼もしくやくそくします。


 そして、四人そろって、あたらしいお日さまにごあいさつです。


「あたらしいお日さま、これから1年間、よろしくおねがいします!!」


 すると、さっきとよくにた、でも別の、元気な声がこたえてくれます。


「うんっ!

 これから1年間、よろしくねっ!」


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