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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
1.1.ユーフェリアの町編
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6.リルの心配

「領主様、町で販売されていました洗剤をお持ちいたしました。どんな汚れも落とすと老人が自慢しておりましたので購入した結果、それが事実と言うことがわかりまして、お持ちした次第にございます」


 豪華な家具が多数置かれた部屋で二人の男性がひっそりと話し合っていた。

 一人は少し痩せていて、背が低めの男性でポーションを持っていた。

 もう一人はちょっと小太りで豪華な服装を着ていて、そのポーションを見てにやついていた。


「ほう……、これは本当にどんな汚れでも落とすのか?」

「はっ、これを売っていた老人というのが何でも屋の老人でして――」

「あの変わり者のジジィか……。本当に信用できるのか?」

「それがあの老人の店に置かれたガラクタがまるで宝石のように輝いておりまして……。ものは試しに実際に汚れが落ちるところをお見せしましょう」


 ポーションを持った男性は黄ばんだボロボロの布きれを取り出す。


「うっ……」


 小太りの男はそのぼろぼろの布きれから漂う臭いに思わず鼻をつまんでしまう。


「この見た瞬間にボロボロとわかる布きれに洗剤をかけると……」


 ポーションの液を垂らした瞬間に布きれは真っ白なタオルに姿を変えていた。


「見ての通りにございます」

「……これは金儲けの匂いがするな。早速その洗剤を買い占め……、いや、これを作った者を連れて参れ!」

「はっ、かしこまりました」


 ポーションを持った男が出て行くと小太りの男は口元をつり上げ、嘲笑を浮かべていた。


 ◇◇◇◇◇


 レフィが売り出したポーションは思いのほか好調で気がつくと大量の金貨が集まっていた。


「まさかこんなに売れるなんて予想外だったね」

「……ちょっと心配事もあるけどな」


 順調にお金が貯まっているのにリルの表情は浮かばれなかった。


「……領主のことだよね」

「あぁ、いざという時は私が元の姿に戻って……」

「それはダメだよ! 大丈夫、僕に考えがあるから」


 いざという時には手の打ちようがあるけど、そのためにはまず領主が動いてくれないとどうすることも出来ない。

 それならば今のところは普通に販売していくしか出来ないね。


「一応注意しながら販売していくよ」

「……あぁ。私の方も念のために警戒しておく」


 ◇


 翌日もレフィは同じようにポーションを販売していった。

 客足は昨日よりさらに多くなり、店に置いたポーションだとまるで足りなくなってきた。


「うーん、もうお店を閉めてもいいけど……」


 さすがに欲しがってる人たちにポーションが渡らないのは申し訳ない気がする。

 仕方ない、今すぐ作るしかないかな。

 ただ、堂々と人前で出すと騒がれるかもしれないので、店の奥に入り、いくつか作り出しておいた。


 でもレフィが持てる数も限られているのでそこまで多くのポーションは準備できなかった。

 この調子で客が増えていくならもっと準備しないといけないかもな。


「人も雇った方がいいのかな? リルはどう思う?」

「……」


 リルに話を振ってみるが、返事がなかった。


「リル……?」

「……な、なんだ? あ、あぁ……、店を閉めるのか」


 全然話を聞いていなかったようで、全く違うことを言ってくる。

 さすがにこんなリルは見たことがないので不思議に思い尋ねてみる。


「何かあったの?」

「いや、なんか怪しい気配を感じただけだ。ただ、襲ってくるような雰囲気でもなかったからな」


 どうやらリルは警戒をしてくれていたようだ。

 襲ってこないなら領主ではないのかな?

 レフィも同様に周りを見てみるが普通に人が行き交ってるのは見て取れるが、それ以上のことはわからなかった。


「その怪しい気配ってどこらへんかわかる?」

「あぁ、それは任せておけ!」

「それなら――」


 透明化のポーションを出すと建物の陰に隠れてそれを飲み干す。

 そして、姿を隠した上でリルが教えてくれた場所へと向かう。

 するとそこには細めの男性が必死に周りを探しているようだった。


「この人?」

「……あぁ」


 リルは頷いていたが、レフィは不思議に思っていた。


「この人、知らない人だなぁ……」


 どうして自分を探していたのだろうかとその理由を探すと手にポーションの瓶を発見した。


 もしかして、汚れ落としのポーションを買った人なのかな?


 でも、この人をレフィは見たことがない。

 つまり、はじめに老人から買い取った人だろうと想像できた。つまりは領主の手下……と見るべきだろう。


「くっ、逃がしたか。明日こそはこの薬を作った人物を見つけ出してやる!」


 なるほど、後ろをつけてきた理由はそういうことなんだ。


「どうする? やってしまうか?」

「ダメだよ。とにかく後を追いかけてみよう……」


 男性の後について行くと町で一番大きな館の中に入っていった。


「ここは……?」


 この大きさ、おそらくは領主の家だろう。


「私がこの館ごと壊そうか?」

「いやいや、そんなことしたら騒ぎになるよ。今日は場所がわかっただけで充分だから一旦帰ろうか」


 レフィは小さく微笑んでいた。

 これでいつでも動くことが出来る。

 あとは領主の人となりを見てからどう動くか判断しよう。

 まぁ、老人の薬をお金を渡したとはいえ、無理やり奪っていくような相手だ。いい人ではないだろうな。

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