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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
2.2.貴族の治療
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6.トリス

 ミシャが話していた内容が気になったレフィは早速貴族の館へと足を運んでいた。

 そして、館の中に入るとミシャが代わりに聞いてくれる。


「お父様、以前この町に来た貴族様ってどなたでしたか?」

「そうだな……」


 貴族はレフィの顔をちらっと見ると首を横に振ってみせる。


「流石に貴族の人は何人も訪れるから誰のことかまではわからないな」


 そっか……。

 たしかにいろんな人がやってきそうだから仕方ないかな。

 レフィは諦め混じりにお辞儀をして出て行こうとする。

 ただ、ミシャは目を光らせながら答える。


「お父様、どうして嘘をつくのですか?」

「い、いや……」


 動揺を見せてくる貴族。


「えっと、どういうこと……?」


 一人話に取り残されるレフィ。

 するとミシャが詳しい話をしてくれる。


「実は私が持っている能力なんですけど、『嘘探知』なんですよ。簡単な嘘を見破るくらいしかできませんけど、結構有効なんですよ」


 にっこり微笑むミシャ。当然のことながら彼女の能力は親である貴族も知っているだろう。


「い、いや、だから……。そ、そうだ、レフィ君、少しミシャと二人で話をさせてもらえないか?」

「れ、レフィ様も一緒に聞いてください」


 このままだと埒があかなさそうだった。そうだ……。


「それならこれを飲んでもらえませんか? 本当に嘘をついてないと言うなら飲めるはずです」


 レフィはテーブルの上にポーションを置く。


「これは……?」

「真実ポーションです。これを飲んだら嘘は言えなくなります」

「うっ……」


 貴族は口を詰まらせて、目の前に置かれたポーションをジッと眺める。

 しかし、それを手に取ることはなかった。

 そして、諦めたようにがっくりと頭を垂れる。


「わかったよ……。すべてを話させてもらうよ。ただ、レフィ君……、君はあまり聞きたくない話だろうね」


 それから貴族はゆっくり口を開いてくれる。


「といっても、私には彼が何かをしたようには見えなかった。でも、君がその名前を聞くのはあまりよく思わないかなと……」


 そこで一度口を閉ざす。

 そこまで話してもらってようやくレフィは貴族が誰の名前を挙げようとしているのかようやくわかった。


「アールデルス家の誰か……なんですね」

「あぁ、トリス・アールデルス。アールデルス家の三男だね」


(トリス兄さんか……。僕自身もあまり話したことはないんだよね。基本的に部屋にこもって何かを研究しているみたいだったし……。少し怪しげな感じがあったし……)


「わかりました。教えていただいてありがとうございます」

「い、いや、それよりも大丈夫なのかい? 君にアールデルス家の話は……」

「えぇ、問題ないですよ? それよりもその人がミシャに何かをしたのかもしれませんね。どこに行ったとか知りませんか?」

「それなら王都の方へと向かっていったよ」


 入れ違いか……。でもそれなら当面はミシャに何か被害があると言うことはなさそうだね。


「一応、ちょっと調べておいたほうがいいか……。すみません、この屋敷の中を調べてもいいですか?」

「あぁ、君ならかまわないよ。一通り調べてくれ」


 貴族の承諾も得たのでレフィは危険察知ポーションを霧吹きの中に入れて周りに吹きかけていく。

 しかし、一通り見て回ったがこの館には何も危険はなかった。


 ◇


「どうやらもう大丈夫そうだね」


 安心をしたレフィは自宅へ向かって歩いていた。


「いや、お前の家族ってあれだろう? 魔法が至高だと思っている……。それなら何をしてくるかわからないから町の中も調べておいた方がいいかもしれないぞ」

「そこまではしなくていいと思うけど……うん、一応調べておくよ」


 リルに言われて念のために町の中を歩きながら危険察知ポーションを撒いていく。

 するとどういうわけか、田畑の側を流れる水からうっすらと反応がある。


「ま、まさか水に何か仕掛けてるの?」

「これを見る限りそうだろうな。何かまではわからないけど……」


 さすがにこのまま放っておく訳には行かないか……。

 レフィは試しに浄化ポーションを水の中に流してみる。


「お、おい、余計なことは……」


 すると先ほどまであった水の反応がすっかり消え去っていた。


「簡単に消えちゃったね……」

「あぁ、そうだな。私はまだレフィの力を甘く見ていたみたいだ……」


 あきれたようにリルはレフィを見る。

 せっかくなのでこの町の水を一通り浄化していくことにする。


 ◇


「くくくっ、さすがに水の中に呪術魔法をかけているなんて思わないだろうな。あの水でできた作物を食えば瞬く間にあの町は壊滅状態に……。おそらくそうなるとレフィのやろうが呼ばれるはずだ。まぁただのポーションしか作れないあいつが俺の魔法を治せるなんて思わないし、治せなかったらあいつの知名度も落ちるはずだ。そこで俺があっさり呪術を解除してやると……。くくくっ、あいつの悔しがる姿が目に浮かぶ」


 部屋の中でトリスは嬉しそうに笑い声を上げていた。

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