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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
2.2.貴族の治療
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2.治療

「いえ、今の僕は無関係ですね」


 あっさり否定すると何かを察したように貴族は頷いていた。


「何かあるんだな。まぁそれはいいか。君の人となりだけがわかれば良いからな。では早速見て貰っても良いか?」


 いきなり娘に会わせて何かあっては大変だと気にしていたのだろう。

 それだけいうと貴族は席を立ち、レフィ達を二階にある部屋へと案内してくれる。


「ここだ、一応感染の危険はないみたいだが、気をつけてくれ」


 心配そうな表情を見せてくる領主。


「わかりました。一応注意させて貰いますね」


 レフィは予防用のポーションを作り出す。どんな病気を予防したら良いのかすらわからないので、とりあえず全部予防できるポーションにしておく。

 そして、ゆっくりと扉を開くとそこは豪華なベッドが置かれた広い部屋だった。

 そして、ベッドには苦しそうに呻いている少女の姿があった。

 貴族の娘らしく整った顔立ち、長く流れるように艶やかな金髪の少女が顔を歪めていた。


「おい、レフィ!」

「うん、すぐに治す……」

「いや、違う。警戒しろ!」


 リルが鋭い目つきで周りを見渡していた。


「何かいるの?」

「……わからない。おかしな気配を感じる」

「それなら……」


 ポーションを新しく生み出す。その蓋をあけると中から紫の煙が漂い始めていた。

 それと同時にレフィは周りに目を凝らしていた。


「これは……?」

「危険察知ポーション。異変を発見するとその部分の色が変わるものだけど……」


 どこも色が変わることはなかった。

 つまりこの場におかしなところはないようだ。


「大丈夫みたいだね」

「……そうだな。気のせいだったか?」


 リルは首を傾げていた。

 ただ、それを気にせずにレフィは少女へと近づいていく。

 少女の顔色は悪く、真っ青な表情をして眠っている。

 どんな病気かはわからないけど……。


「とりあえずポーション飲んでもらって様子を見るしかないね」


 回復ポーションをゆっくり少女の口へと注いでいく。

 初めはおとなしく飲んでいく少女。

 しかし、半分ほど飲んだ瞬間に少女は大きく目を見開く。


「う、うわぁぁぁ……」


 少女が突然暴れ出す。そこでポーションを飲ませるのを中断せざるを得なかった。


「り、リル、何があったの!?」


 少女から少し距離を置くとリルに話しかける。


「わ、分からん。ただ、私が感じた気配はあの子から出ていたようだ」


 よく見ると少女の体が輝いて見える。


「とりあえず薬をちゃんと飲ませないと……」

「その前に動きを止めないとダメだな。あの気配の元を絶てるか?」

「うーん、やってみるね」


 回復ポーションではなく、怪しい気配を消しさる気配浄化ポーションを作り出す。

 それを少女にかけるとその場で倒れていた。


「お、おい、なんだかすごい音が……。……っ!? ミシャ? ど、どうしたんだ!?」


 貴族が慌てて部屋に入ってくる。そして、真っ直ぐにミシャという少女へと駆け寄っていた。


「待ってください。まだ薬が飲み終わっていませんので……」


 レフィが少女に近づくと残っていたポーションをそのまま飲ませる。

 これでもう安心だろう……。

 レフィは少しホッとすると貴族に話しかける。


「もう大丈夫です。彼女をベッドに戻すのを手伝ってもらえませんか?」

「あ、あぁ……」


 貴族と二人でミシャをベッドへと戻すと彼女の様子を見ながら話す。


「それでこの子は一体どんな病気だったんだ?」


 貴族は言葉早に聞いてくる。


「えっと……、それはちょっと分からないですね」


 だからこそどんな病気も治せるポーションを使ったわけだから……。

 ただ、貴族は怪訝そうな表情を見せてくる。


「……それで治せるものなのか?」


 彼のいうことは尤もだった。でも、治せるのだから信じてもらうしかない。

 でも、どうやってそれを説明するか……。

 レフィが少し困っていると、ミシャが目を覚ます。


「ふぁ……、なんだか怖い夢を見ていたみたいです……」


 まるで病気なんてなかったかのように大きく欠伸をして体を起こす。


「み、ミシャ……、もう体は大丈夫なのか?」

「体……?」


 ミシャは不思議そうに自分の体を眺めて首をひねっていた。


「特に何もおかしいところはありませんが……?」


 その言葉を聞いて貴族は眼に涙を浮かべていた。

 そして、ミシャに抱きつくと感動のあまり肩を震わせていた。


 ◇


「本当にありがとう、レフィ殿」


 ようやく落ち着きを取り戻した貴族はレフィの方に振り向き、その手を取ってくる。


「い、いえ、僕は依頼として受けただけです。それで褒賞の件ですけど……」

「あぁ、勿論だ。なんでも欲しいものを言ってくれ。私の叶えられる範囲なら全て叶えさせてもらおう」

「それなら一つ、欲しいものがあるのですけど……」

「それはなんだ?」


 レフィは一瞬口を閉ざす。

 ただ、ゆっくり目を開くとレフィは口を開く。


「では、お願いがあります。最近面倒ごとに巻き込まれることが多いので、どこかのんびりできる場所に行きたいのですけど」

「それならばこの町に住んではどうだ? 私が最大限の便宜を図らせてもらおう」


(たしかにこの町には僕のこともあまり知られていない。町も農作メインでのんびりした雰囲気だし、しばらくここで暮らすのも悪くないかも)


「わかりました。お願いしてもよろしいでしょうか?」

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