7.追っ手
「そういえばまだこの子の名前を決めてなかったね」
町の中を歩きながらレフィは思い出したように言う。
「ピヨっ?」
首を傾げる小鳥。
「そうだな。いつまでも小鳥呼び……と言うわけにはいかないもんな」
「不死鳥……だもんね。うーん……、フェニとか?」
「相変わらず安直だな……」
あきれた様子を見せるリル。
ただ、小鳥の方は嫌がる様子は見せていなかった。
「ピヨピヨ……」
「うん、これからお前はフェニだよ」
「ピヨー!」
嬉しそうに声を上げるフェニ。
ただ、その瞬間に周りの人から変な目線で見られる。
「流石にフェニの声だけ聞こえるのはおかしいよね?」
「あぁ、そいつは黙らしておいたほうがいいぞ」
リルの注意もあり、レフィはなるべく声を出させないように注意をする。
それからレフィ達は色んな食材を見て回る。
ただ、誰もフェニのお気に召すものはなかったようだった。
「うーん、本当にフェニは何を食べるんだろう?」
「単に好き嫌いが多いだけじゃないか?」
「ピヨピヨ!!」
突然レフィの肩からフェニが飛び去る。
「いてっ。だからつつくな!」
どうやらリルの方に飛んでいったようだった。
「だからそんなに遊んでるとフェニの方がバレてしまうよ」
「わ、私じゃなくてフェニの方に言ってくれ!」
リルがその場で逃げ回る。
仕方ないなとレフィはフェニがいそうな場所に手を差し出して捕まえる。
◇
それからしばらく町を歩いているとリルが小声で言ってくる。
「どうやら付けられているな」
「ほ、本当に?」
「あぁ、ただ後ろは見るな。気づかれるからな」
レフィは全く気づかなかったが、リルが言うなら間違いないだろう。
でも、自分だけ気づけないのはモヤモヤするな……。
レフィは少し眉をひそめていた。
そこである方法を思いつく。
「そうだ、それなら――」
レフィはポーションを作り出すと、それを飲んでいく。その瞬間に周りの気配が手に取るように読み取れる。
「本当だね、怪しい気配があるよ」
「……あぁ。そうだな」
リルが呆れた顔をしながらも同意してくる。
「今度は一体どんなポーションを飲んだんだ?」
「えっと、索敵ポーション?」
「……そうか。それでどうする? あいつらはいつまでも付けてきそうだが」
リルが何か言いたそうにしていたが、口を閉ざしてしまう。
「どうにかして捕まえたいところだね」
「でもこの町の中で暴れるわけには……」
「大丈夫! 動きだけ封じたらいいだけだもんね」
レフィは再びポーションを作り出す。
ただそれを手で受け取ることなくそのまま地面に落としていた。
◇
「奴らはどこに行った!?」
「この先だな。奴らから不死鳥の声が聞こえた。何か知っているはずだ」
「よし、おうぞ!」
二人組の男たちはレフィの跡をつけて歩いていた。
ただ、バレないようになるべく気配は消しながら……。
その甲斐もあってどうやらレフィ達には気づかれていない様子だった。
「あいつら、どこに向かっているんだ?」
「普通に買い物して回っているように見えるが、油断するなよ」
「勿論だ。それにしてもどこに不死鳥を隠し持っているんだろうな?」
「そんなこと、捕まえて吐かせたらいいだろう。問題は奴の強さだな。見た目はそこまで強そうには見えないが」
男はレフィの様子を眺める。
どうやら何か飲み物を飲んでいるようだが、未だに男たちに気づいた様子はない。
この調子なら警戒する必要もないかもしれない。
ただ、念を入れて気配を消してゆっくり近づいていく。
その瞬間にレフィが薬瓶を落として甲高い音を鳴らしていた。
それを聞いた瞬間に男たちは側の建物の陰に隠れていた。
「ば、ばれたか!?」
男たちは冷や汗を流しながらレフィの様子を確認する。
しかし、彼は男たちの方に振り返ることなく、そのまま真っ直ぐ進み出していた。
「大丈夫か……。ただあまりゆっくりしていくとばれてしまいそうだ。そろそろやるか?」
「いつでもオッケーだ」
男たちはお互いに見合わせるとレフィに近づいていく。
そして、レフィに手が届きそうになったその瞬間に足がピタッと止まって動かなくなる。
「えっ!?」
「な、なんだ!? あ、足が……」
必死に動かそうとするがまるで縫い付けられたかのように動かない。
「本当に捕まえられるとは思わなかったよ。接着ポーションを地面にまいただけだからね」
「だからだろう? この私ですら本当に捕まえられると思わなかったぞ」
「ピヨっ」
レフィたちがゆっくり男たちに近づいていく。
そして、その肩くらいから不死鳥の鳴き声が聞こえてくる。
「くっ、気づかれていたか……」
男は悔しそうに歯を噛みしめる。
何をされたのか見当もつかない男たちはなんとか逃れようとする。
「一体何をしたんだ!?」
レフィに向かって怒鳴りつける。
「えっと、ただ足を固定させてもらっただけですよ。僕の質問に答えてくれたらちゃんと解放しますけど、どうでしょうか?」
そのレフィの言葉を聞いて男たちは顔を見合わせていた。
身動きの取れない今の状況だと素直に話を聞く方が有効だろうと判断した男たちはレフィの答えに頷いてみせる。




