5.料理
依頼をこなしたレフィ達は心地よい疲れのまま家へと帰ってきた。ただ、そのままベッドに飛び込もうとしたタイミングでお腹の音がなる。
「うーん、晩御飯がまだだったね……。どうしよう?」
「も、もちろん食べるぞ!」
リルは慌てて言ってくる。
もしかして食べないと思われたのだろうか?
「でも、あんまり食材がないねー。外に食べに行くしかなさそうだね」
「それじゃあ早速行くか」
リルが外に出る準備をするのでレフィも重たい体を上げて外へと向かっていった。
◇
「どこで食べようか?」
「美味いところがいいな。レフィはどこがいい?」
「うーん、僕はなんでもいいんだけど……」
町の中を歩いて料理屋を見て回る。
「レフィ、あっちだ! あっちに美味そうな肉の匂いがする!」
いい匂いが漂ってくるとリルが肩を叩いてくる。
「わかったよ、それじゃあ今日はそこにしようか」
リルが嬉しそうにその場所へ向かってかけていく。
そしてたどり着いたのは肉を焼いている露店だった。
「レフィ、あれを買おう。いいか?」
リルがよだれを垂らしながら聞いてくる。
「うん、いいよ。すみませーん、その肉を二つください」
「あいよー」
お金を渡して肉を受け取るレフィ。
するとリルがサッと地面に降りるのでそばに置いてあげる。
すると一心不乱にその肉を食べ始める。
ただ数口食べた後で、その動きが固まってしまう。
「れ、レフィ……、こ、これはちょっと……」
青白い顔をしてその場に突っ伏してしまう。
な、何があったんだろう。
こんなに美味しそうな匂いのお肉なのに……。
レフィも恐る恐る一口かじってみる。
「うっ……」
とても食べ物とは思えないその味にレフィも顔を青ざめていた。
「ど、どうでしょうか?」
屋台の店主が不安そうに聞いてくる。
「お、美味しそうな匂いなのにどうして?」
「やっぱりそうなのですね……。申し訳ありません、お代の方はいりませんので破棄してください……」
屋台の店主は残念そうに顔を伏せていた。
「実は、最近行商に来られた方に肉にかけるととてもいい匂いがするという粉を買いまして、それを試していたのですよ。ただ、匂いは良くなるのですが、味の方は、その……」
味が落ちてしまうのか……。
でも、粉で匂いがつくのならポーションで味付け……なんてこともできるかもしれない。
すると、いつもなら一つのポーションが生み出されるのだが、今回は何種類ものポーションが生み出されていた。
試しに出てきた一つのポーションを肉にかけてみる。
そして、それを口に運んでみる。
「辛っ!?」
思わずレフィは目をギュッと閉じてしまう。
しばらく辛さが引いてくるまでには時間がかかったが、ようやく平静を保てるようになってきた。
ただ、それを考えると違和感を抱いてしまう。
いつもならポーションをかけただけでその効果が出るはずなのだが、なんで美味しくならないんだろう?
不思議に思いながら別のポーションも試していく。
そこでわかったことはこのポーションは全て味が違うことだった。色も始めにつけたものは真っ赤な色をしていたのだが、次のものは黒だった。
そのほかにも透明な色のものや、ドロっとした白いものまであった。
一体どういう効果があるのだろうか?
レフィが首を傾げていると屋台の店主が目を輝かせて聞いてくる。
「あ、あの、この品物の数々は一体?」
「えっと、何か料理に使えるポーションみたいなのですが、僕にはその効果がわからなくて……」
「ぜ、ぜひお譲りいただけないでしょうか?」
この店主の様子からして何か料理に使えるものらしい。
「わかりました。僕には使い道が分かりませんのでお譲りしますね」
「有り難い。これを使って、匂いも味もいい料理を作り上げてみせるから楽しみにしててくれ!」
屋台の店主に手を振って見送られながらレフィ達は歩いて行った。
するとリルが小声で言ってくる。
「レフィ、この後別の料理屋に――」
「そうだね、流石にお腹が減ったもんね」
リルの言葉に同意をする。
するとリルは嬉しそうに頷いていた。
◇
それから数日後、レフィ達は同じように屋台の前を通ったのだが、そこには見たこともないような行列ができていた。
「あれっ、ここにあったのって……」
「あぁ、前に肉を食ったところだな」
確かポーションを渡して、それっきりだったけど……。
「やっぱり美味そうな匂いがしてるな」
リルが匂いを嗅いでよだれを流していた。
すると、レフィ達の姿を見つけたのか、屋台の店主が近づいてくる。
「お久しぶりです! おかげさまで大繁盛しています」
やっぱりこの行列はあの屋台からのものなんだ……。
「どうしてこんなに?」
「えぇ、実は以前もらったポーションは様々な調味料でしたので肉に合うように合わせることで、しっかりした味を出すことができたんですよ。せっかくですから食べてください」
店主から肉を二つもらう。
それを恐る恐るかじってみる。
「あっ、美味しい……」
「がつがつむしゃむしゃ……」
想像以上の味に思わず声を漏らすレフィ。
リルに至っては声を出すことなく必死にその肉を食べていた。
「本当にこの味を出せたのは君達のおかげだ、ありがとう」




