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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
1.5.ミクロマルク聖教国
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42.聖女選定

 ポーションの効果は出なかったのは不思議に思ったが、とにかく今は神殿に向かってみよう。


「それじゃあ僕は待ってるからリルとルルカの二人で神殿に……」

「お兄ちゃんも行くよ!」


 無理やりルルカに引っ張られてレフィも神殿へと連れて来られる。


 神殿の中にはたくさんの女性たちが熱気あふれる様子で前にいる神官の演説を聴いていた。

 その神官の奥には布で隠された大きな箱が置かれている。


「いいですか、我が国が救われるにはもう聖女様のお力を借りるしかないのです。だからこそ我々は聖女様を探し出さないといけない!」


 なるほど、聖女を探しているから女性ばかりが集まってるんだ……。


「では早速聖女様の選定に移らせていただきます。順番に調べさせていただきますので並んでお待ちください」

「あ、あの……、どういう調べ方をするのですか?」


 女性の一人が質問をする。


「それは……これだ!」


 神官が奥に置かれた布をめくり取る。

 すると、中から正気を失い、目が虚ろになっている少女が現れる。


「この者は霊に取り憑かれてある。それを今から浄化していってもらう。この浄化は我々神官でも成功しなかったものであるため、それほど高位の浄化魔法が使える者が聖女……ということだ!」

「浄化魔法なら僕はお呼びじゃないよね? 魔法は使えないんだし……」


 ポーションで無理やり使えるようにしても、後々魔力痛が襲ってくる。それを毎日続けるようなことはしたくない。


「別にポーションで治してもいいんじゃないかな? それよりも……あの人、幽霊に取り憑かれてるわけじゃないよ?」


 ルルカが不思議そうに言ってくる。

「それじゃあ一体なんであんなことになってるの?」

「それはわからないけど、それも含めての試験なのかも……」


 早速試験が始まり、順番に女性たちが挑戦していく。


 話しかけて反応を待つ者。

 回復魔法を使う者。

 何もせずに念じている者。


 色々いたが、結局誰も成功せずに神殿の中にはレフィたちしか残っていなかった。


「あとはそなた達だけだ。早速試すといい」


 半ば諦め気味の神官。

 その言葉を聞いて、レフィとルルカはお互いの顔を見合わせた。


「えっと、ルルカは出来ないからお兄ちゃんがやるといいよ」

「でも、呪いか何かもわからないんだから、どんな症状でも治すポーションくらいを作らないとダメだね」


 早速出来上がったポーションを女性に飲ませようとする。しかし、女性が入れられているオリが邪魔をして、飲ませることができなかった。


「すみません、このオリを外してもらうことってできないですか?」

「それは無理だ。いつ暴れるかわからないからな」


 それならばどこまで 効くかわからないけど、レフィはオリの外からポーションを掛ける。

 少しでも口に入ってくれたら効果があるだろうし……。

 すると、女性の様子が少しおかしくなる。


「ぉぉぉ……、ぉぉぉぉぉー!」


 悲鳴をあげ、突然立ち上がったかと思うとオリに手をかけていた。

 なるほど、確かにこうなったら危なかったかもしれない。

 そう思いつつ、再びポーションを掛ける。


 そして、数回ポーションを掛けることでようやく女性は元に戻っていた。


「おかしな気配はなくなったな」


 リルが小声で言う。

 すると神官は驚きの表情を見せていた。


「……聖女様だ」

「えっ?」

「聖女様が現れたぞー!!」


 神官が大声を出すと今までどこにいたのか、数多くの神官達が姿を見せて歓声を上げていた。

 そして、その後ろからのっそのっそと大柄な神官がやってくる。


「そなたが聖女か……。よくぞこの町へ来てくれた。私は神官長のアルバンティール・ユークニスだ。そなたの名は?」

「僕はレフィと言います。ただ、僕は女じゃないですよ?」

「はて、おかしなことを言いなさる。そなたはどこからどう見ても女子そのものではないか」


 神官長に言われて改めて自分の姿を確認するレフィ。

 でも、特段変わったところはない気がする。


「ルルカ達はどう思う?」


 一応彼女達にも確認をとるが、やはり同じように首を傾げていた。


「やっぱり違いますよ」

「まぁそんな性別のことなど些細なことだ。それよりも今は聖女誕生を祝おうではないか! これでこの国は安泰だ!」


 神官長は嬉しそうに笑みをこぼしていた。

 人の話を聞かないところは前に来た使者の人と全く同じだった。


「ですから、僕は聖女ではないですよ……」

「まだ仰ってますか。まぁあなた様にお似合いの服を準備しますので少々お待ちくださいね。今部屋を準備しますので……」


 神官に部屋へと案内される。

 ただ、レフィだけ。


「る、ルルカ達は?」

「用があるのは聖女様だけになりますので、おつきの方はここまでで結構です。お帰りください」


 神官の有無を言わさない言葉にルルカは口をつぐむ。


「あの、一緒じゃ駄目なんですか?」

「駄目です! 聖女様の神聖な力が弱まってしまいますので……」

「わかりました。大丈夫だよ、ルルカ。姿が見えなくてもね」


 ルルカに対して笑みを見せるとレフィは奥の部屋へと入っていく。

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