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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
1.4.御使い様
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37.箱の中身

 リルたちが買い物に行ってる間、レフィは一人ぼんやりとこの町の様子を眺めていた。

 ただ、あまり買い物に出歩いている人はいなくて、町の中は大通りでも閑散としている。

 この町の大きさだととても考えられないことだ。

 そして、町を歩いている人は殆どが兵士や貴族で、それ以外の人は殆ど見かけない。


 働いている人は顔色が悪く、今にも倒れそうな表情をしている人が多い。

 でも、これほど生活が辛い町ならよその町へ行けばいいのに……。


 そんなことを思っていると町の入り口でその答えが出た。


「おい、お前! 町を出るには出町料、金貨一枚支払っていけ!」

「そ、そんなお金ありません……」

「なら出ることを許さん!」


 貧困に耐えかねた男性が出て行こうとするが、高い出町料のせいで出られないようだった。


 そもそもそんなお金を取るところが他にはない。

 ここの領主はかなりあくどく稼いでいるようだった。

 しかも、出入り口を見張っているから町の外には出ていけない。


 ミリーナの対応からして、立場が上の相手には本心は言わずに媚びへつらってるのだろう。


 兵士に追い払われた男性が数歩歩いて倒れてしまう。

 しかし、それを助けようとする人は誰もいない。


「だ、大丈夫ですか!?」


 レフィは慌ててその男性に近づくが、殆ど意識がなかった。

 とにかく命が危ないと思い、レフィはポーションを飲ませていった。


「がはっ、……はぁ、はぁ。た、助かった……」


 ポーションを飲んだ男性は意識を取り戻していた。

 しかし、それを見ていた兵士が怖い形相で近づいてくる。


「今、ポーションを使ったか?」

「えぇ、使いましたけど何か?」

「ポーション使用税、銀貨十枚払え!」


 えっと、この人は何を言ってるんだろう?

 レフィは思わずため息を吐く。


「そんな税、よその町にはありませんけど?」

「いや、これは国に定められた税だ! 今すぐ払え!」


 聞く耳すら持ってもらえない。

 そんな相手に流石のレフィも少しだけ苛立ちを覚えた。


「わかりました。では本当にこの国の法律にあるか聞いてみましょうか?」

「いったい誰に聞くんだ?」


 ニヤニヤしながら兵士が言ってくる。


「ちょうどこの町に王女様が来ていましたね。直接聞いてみますか?」

「ははっ、姫様がお前なんかの話を聞くはずないだろう。聞けるものなら聞いてみるといい」

「言いましたよね。では……」


 レフィは念力ポーションを飲み干すと、ミリーナと連絡を取る。


「王女様、今お時間よろしいでしょうか?」

「っ!? れ、レフィさんですか!? は、はいっ、もちろん大丈夫です!」


 凄い勢いで頷いてくる。


「今町の入り口にいるのですけど、お時間よろしければ来ていただけませんか?」


 流石に王女相手にこれは無礼かなと思ったけど、ミリーナは嬉しそうに「すぐに行きます!」と言ってくれた。


 念話が終わると兵士の方は振り向く。


「王女様、今来てくれるみたいなので少し待っていてくださいね」


 にっこり微笑むと兵士は顔を青ざめていた。


 ◇


「お待たせしてしまいました。本当にレフィさんだ……。はっ、いえ、そ、それでどういった御用でしょうか?」


 一瞬レフィを見て惚けていたミリーナだが、小さく咳払いをして尋ねてくる。


「実はですね……」

「お、王女様にこのようなことでご足労いただくなんて、大変ご迷惑をおかけしました。この少年には強く言い聞かせておきますのでなにぶんご容赦を……」


 兵士が必死に頭を下げていた。

 ただ、ミリーナは少しだけムッと頬を膨らませていた。


「レフィさんの頼みなら私はどこでも行きますよ。それより、あなたがレフィさんに何を言い聞かせるのですか?」


 ミリーナに凄まれて、兵士は小さくうずくまってしまった。


 なんだかかわいそうなことをしてしまったかなと思いつつ、先程聞いた税のことを話してみる。


「そ、そんな税、ありませんよ。誰がそんなことをしてるのですか?」

「ひっ……」


 兵士が小さく悲鳴をあげる。

 まぁさっきは全く話を聞いてもらえなかったけど、この人も仕事をしてるだけなんだよね。

 悪いのは領主なんだから……。


「領主さん……ですよね?」

「えっ!?」


 兵士は当然のことながら自分が悪いと言われると思ってビクビクしていた。

 ただ、レフィのまさかの答えに聞き返してしまう。


「違いますか? 税の取り立てを仕切っているのは領主さんだと思ったのですが?」

「い、いえ、そうです! もちろんです!」


 はっきりとミリーナの前で言ってくれた。


「そうですか……。国とは民無くして成り立たないもの。その民を蔑ろにする行為は許せないですね」

「あっ、それならこれは役にたつかもしれませんね。王女様に渡しておきます」


 レフィは先程ルルカが持ってきた箱をミリーナに渡す。


「これは何の箱ですか?」

「わからないですが、領主さんの部屋に隠されていたものです」


 ミリーナが箱を開けようとするが、鍵がかかっているようで開かなかった。


「開かない……。レフィさん、開けることができないですか?」

「うーん、これならできるかな?」


 硬化ポーションを鍵穴に流し込んで、固まった後に回してみる。


 ガチャっ。


「うん、開いたよ」

「中には何がはいっているのですか?」


 箱の中身を見てみるとそこには手紙の束が入っていた。

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