24.恩賞
うぅ……、どう考えてもやりすぎたよね?
パーティから帰って来た翌日、レフィは頭を抱えて悩んでいた。
「あれはお兄ちゃんのせいじゃないよ!」
ルルカが慰めてくれる。
「ルルカが連れて行って欲しいって頼んだからなの。だから……ごめんなさい」
ルルカが悲しそうな表情を見せていた。
「ルルカは関係ないよ」
「そうですね。あれはレフィ様には関係ないですよ。それはお父様も認めてくださってますから」
突然の声にレフィたちはそちらを振り向く。
すると、そこにはミリーナの姿があった。
「えっ、王女様!? ど、どうしてここに?」
扉を開けた覚えはないのだけど……。
とレフィが首を傾げていると、ミリーナの後ろにリルの姿があった。
「もしかして開けたらまずかったか? レフィが気づいていないようだったから……」
どうやらリルが扉を開けてくれたようだった。
「それでどうしてここに?」
「あっ、そうでした。レフィ様には昨日暴れていた貴族を捕まえる協力をしてもらったお礼をしたかったのですよ。お父様が呼んでいますので一緒に来ていただいてよろしいでしょうか?」
また面倒ごとになりそうな予感がする。
レフィは苦笑を浮かべていた。
でも、断るわけにもいかなそうだ。
「……わかりました。では、一緒に行きましょう」
◇
レフィたちはミリーナと一緒に王城へと向かって行った。
「そういえば、王女様は一人で出歩いても大丈夫なの?」
普通はもっと仰々しい護衛がついてると思うのだけど、ミリーナは一人しかいない。
するとミリーナは小さく微笑む。
「ふふふっ、ちゃんと護衛はいますよ。ただ、私に配慮して見えない場所に隠れているのですよ」
なるほど、それで姿が見えなかったんだ……。
◇
王城にたどり着くと早速個室の方へ案内される。
「お父様、よろしいですか?」
「あぁ、入れ」
中にいる国王に確認を取った後、扉を開けてくれるミリーナ。
「よく来てくれた。昨日は我が国の貴族が乱暴を働こうとして申し訳なかった」
国王が頭を下げてくる。
「い、いえ、頭をあげてください。あれは僕とあの人の問題ですから」
少し慌てるレフィ。ただ、国王様が更に言葉を続ける。
「そうじゃな。一応そちも元アールデルスじゃもんな」
「……!? いえ、僕はただのレフィですよ」
「そういうことにしておこう。ただ、以前そちに話したミリーナとの婚約の件は相手が貴族なら親にも話を通しておく必要があるのじゃ。それで直接話させてもらった。そこで明らかに仲違いしている様子じゃったから概ね事情は察しておるよ」
それならそんな人がいる場所に呼ばないで欲しい……。
レフィは心の底からそう思えてしまった。
「アールデルス男爵も元は王国の魔法部隊を率いておった上に本人の実力もあって信頼はしていたのじゃが、なにぶん魔法以外を信じることができない魔法馬鹿じゃったからな。それを調整しきれなかったのは儂のせいでもある。だからもう一度謝らせてくれ」
再び国王が頭を下げてくる。
「な、何度もいいですよ。僕を困らせるためだけに呼んだのですか?」
「そ、そうじゃった。此度のお主の働きに恩賞を与えようと思う。どれがいいか選んでくれ」
ようやく本題に入ってくれる。
そのおかげで先程までの重々しい雰囲気が払拭されてくれた。
「まずは爵位じゃな。これはそなたが男爵の元息子というややこしい立場になってしまったから提案してるものじゃ。ドラゴン退治や溝の掃除等、十分すぎるほど功績も挙げておる。文句なしに与えることができるものじゃ」
笑みを見せてくる国王。ただレフィは難色を示していた。
爵位なんてもらっても面倒な貴族社会に入れられるだけだよね?
そんなものいらないんだけど……。
「次はもちろんミリーナの婚約の件だ。文句なしにそなたなら任せられる。ぜひもらってやって欲しい」
ミリーナが頬を染めながらレフィのことを見てくる。
ただ王女と婚約するなんて考えたくもなかった。
「さ、最後は……?」
「もちろん今言ったものを両方だ!」
国王が今までの中で一番な笑顔を見せてくる。
うっ……、さすがに両方はないよね……。
どっちか……選びたくないよ……。
「すみません、すべて遠慮させていただきます」
レフィが頭を下げると国王は驚きの表情を見せる。
「ど、どうしてじゃ!? 考えうる限り最高の褒賞を用意したと思うが?」
「いえ、僕には荷が重いです……。そこまで貰えるほどの名声は上げていませんので……」
「……そんなことはないのじゃがな。それなら今回も金貨を渡させてもらおう」
少し残念そうに国王はレフィに金貨を渡してくる。
そして、それを受け取った後、レフィは部屋を出て行った。
◇◇◇◇◇
「今回もダメじゃったか……」
レフィが出て行った扉を見て国王は深々とため息を吐いていた。
「大丈夫ですか、お父様」
「強敵じゃな、レフィは。あれほどの力の持ち主、なんとか我が国に縛り付けてしまいたいのじゃが、それを察してるのかうまくかわしてきてしまう。どうにかする方法はないじゃろうか……」
爵位もダメ、ミリーナでもダメ。そうなると国王には打つ手がなかった。
「それでもなんとかレフィの喜ぶことを考える必要があるな。あやつを他の国に取られる訳には行かないからな。あとはライバルド男爵の処遇も考える必要があるか……」




