23.パーティ
ついにパーティの日がやってくる。
ただ、それまでの日はルルカがそわそわしすぎて大変だった。
「少しは落ち着いたらどうかな?」
「だ、だって……、は、はじめてのパーティだもん。楽しみになるよ……」
パーティ用の服に着替えながらルルカが言ってくる。
レフィも着替えておくとよくパーティに連れていかれた昔を思い出す。
あのときはいろんな人に会えると言うことで楽しみだったんだよね。
今考えるとただ面倒なだけだけど。
なんで相手の顔色をうかがわなければいけないようなパーティに行かないといけないのか。もし、ルルカが頼んでいなかったらとても行く気がしなかった。
「準備できたよ。あれっ、お兄ちゃん? どうしたの、怖い顔をして?」
「あっ、うん。なんでもないよ。それじゃあ行こうか」
首をかしげるルルカと一緒にレフィは王城を目指していった。
◇
「うわぁ……、近くで見るとやっぱり大きいね」
ルルカが嬉しそうにはしゃいでいる。その隣で苦笑を浮かべているレフィが門を守っている兵士に近づく。
やはり貴族など国の重要人物が来るだけあっていつもより更に数が多い。
厳重に警備してるんだな……。
「招待状を……」
「あっ、はい。こちらになります」
鞄から招待状を取り出そうとするとなぜかもふっとした毛を掴んでしまう。
あれっ、なんだこれ?
不思議に思ったレフィはとりあえずそれを取り出してみる。
すると鞄から出てきたのはリルだった。
「……てへっ」
かわいく舌を出すリル。
リルは行けないと言ったから無理矢理紛れ込んでいたのだろう。
レフィはため息を吐く。
「わかったよ。一緒に行く代わりに騒いだら駄目だよ」
「あぁ、私に任せておけ!」
笑顔を見せるリルにもう一度深いため息を吐く。
「それで招待状を……」
「あっ、わかりました。こちらになります」
「はっ、しっかり確認できました。あと、リル様の入場も許可されておりますが、中で暴れられましたら追い出しますので注意してくださいね」
どうやらリルを連れてくる許可はすでに出ていたようだ。
国王が気を遣ったのだろうとレフィは思うことにした。
◇
案内された大広間の中に入るとすでに何人もの貴族達が談笑をしていた。
レフィが入った瞬間に視線が集まるが、やってきたのが貴族ではないとわかると元の談笑に戻る。
うん、こういう対応をされる方が楽でいいなぁ。
レフィはおとなしく部屋の隅の方へ移動する。
やっぱり場違いな気がするね。
ただ、ルルカはまっすぐに料理の方へと向かっていった。
あれっ、幽霊の彼女は料理を食べられないんじゃないの?
そんな疑問はすぐに解消された。
山盛りの料理を持って帰ってくるルルカ。
その皿をレフィに渡してくる。
「ちょ、こんなに食べられないよ」
あまりに大量に取ってくるルルカに苦笑する。
「あれっ、こういうところに来たら山のようにとってたくさん食べないと行けないんじゃないの?」
「それは勘違いだよ」
注意をしながらそのままだともったいないので料理を食べ始める。
うん、やっぱりおいしいなぁ。
◇
それからしばらくして、だいぶ人が集まってきたタイミングで激しい音を鳴らして扉が開く。
やってきたのはライバルドだった。
何かを探しているようでキョロキョロと周りを探していた。
そしてレフィと目が合う。
まっすぐにレフィに向かってくるライバルド。
その表情は何か余裕がなさそうに見える。
「探したぞ、レフィ! さぁ来い!」
無理矢理レフィの手を掴もうとしてくる。
その瞬間にリルが人のサイズになり、間に割って入る。
「ぐっ、こんなところに魔物が!? し、城の兵士は何をしている!」
「この子は僕の仲間ですよ。入城の許可も得ています。それで僕に何かご用でしょうか?」
また面倒な人に会ったなと思いながら冷たい視線を向ける。
「何の用かではない! さぁ来い!」
理由もつげずに手だけを差し出してくる。
するとそんなレフィ達の様子を見るに見かねた周りの人が声をかけてくる。
「一体こんな大勢の前で何をしているんだ?」
声をかけてきたのはユーフェリアの町の領主、ユウスだった。
「自分の息子に声をかけるのに理由がいるのか?」
「ライバルドはこう言っているがどうなんだ?」
ユウスが話を振ってくる。
「いえ、人違いじゃないでしょうか? 僕に親なんていませんので」
勘当されている以上それが正しい答え方だろう。
すると怒りのあまりぷるぷると肩をふるわせてくる。
「いい加減にしろ、レフィ・アールデルス!! お前はこの男爵である私の息子だ!!」
「僕はただのレフィですよ。見ての通り平民ですので……」
これは安い服を買っておいて正解だった。
周りの人間もライバルドに向けて冷たい視線を送り始めていた。
「おとなしく話してやればつけあがりやがって……。もういい、無理矢理連れて行ってやる!」
ライバルドは右の手のひらを上に向ける。するとそこに魔力が集まっていきバチバチと雷の玉が現れる。
それを見た瞬間に周りの貴族達は悲鳴を上げて逃げ惑っていた。
「ポーション作成しか能がないお前にこれを防げるはずがないだろう」
雷の玉は次第に大きさを増していく。
さすがにこんな場所で魔法を放ったらどうなるかわかるでしょ……。
レフィはあきれ顔でライバルドを見る。
ただ、放置するわけにも行かなかった。
「はぁ……、なんでこうも面倒ごとばかり僕のところに来るんだろうね……」
レフィは一本のポーションを生み出すとそれをライバルドに放り投げる。
「ポーションで目隠しでもしようとしたのか? そんなものが効く分けないだろう!」
ライバルドがポーションを左手で払いのける。
その際に割れた薬がライバルドの手にかかる。
それと同時に右手で作り上げていた雷の玉が消滅する。
「はっ!?」
ライバルドから声が漏れる。
「魔法無力化のポーションですよ。かかったのが一部でよかったですね。全身に浴びていたら一生魔法が使えなくなったものですよ」
それだけいうとレフィ達は大広間から出て行く。
「ぐっ、なんでだ! なんで魔法が出ない!!」
後ろで必死に魔法を使おうとするライバルドを残して――。




