22.正装
一度宿に寄ったライバルドはそのまま王城へと向かっていた。
そして、そのまま国王と謁見していた。
「よくぞまいった、アールデルス男爵。儂の言いたいことはわかっているだろうか?」
「いえ、何かございましたか? 私の魔法が必要になりましたか?」
なんだか苛立ちのような声色だったことからどこかと戦争が近いのかと予想するライバルド。しかし、国王は首を横に振っていた。
「いや、違う。そなたを呼んだのは他でもない。そなたの五男……確か名をレフィといったな。そのものについて聞かせて貰いたい」
その名前を聞いてライバルドは一瞬驚くが、それを表情には出さなかった。
「レフィは一人で森の中に行ってしまい、それ以来帰ってきてません。おそらくもう亡くなっているのかと……」
ライバルドは顔を少し俯ける。
この回答は誰かに聞かれたときに用意していたものだった。
「なるほどな、そちの言ったことが本当なら問題ない。ではそちに全て決定権があるのじゃな」
国王はニヤリと微笑む。
「これから話すことはまだ儂とそちのだけの話にしてもらっても良いか? 実はそのレフィにうちのミリーナの婚約相手になって欲しいのじゃ。親であるそなたならその承諾をもってこられるじゃろう。成功した暁にはそなたの爵位も上げさせて貰うが、いかがじゃろうか?」
「し、しかし、レフィは既になくなっており……」
「それがレフィと名乗る少年がうちのミリーナの命を救ってくれたのじゃ。今巷で話題のドラゴン退治してくれたのも彼じゃよ」
「命を救った? し、しかし、レフィはただのポーションしか作れない愚か者。そんなことが出来るはずは……」
「そなたこそポーション作成のスキルを侮っていないか? 高レベルのポーション作成は死者すら蘇らせかねないレベルのポーションを作れるんじゃぞ? そして、おそらくはレフィはかなり高ランクであったじゃろう。例えば【ポーション作成】レベル8とかそのくらいではないか?」
今までレフィが使ってきたポーションから国王はそのレベルを割り出していた。
してやったりの表情を浮かべた国王は側にあったコップを掴む。そして、中に入った水を飲み始めていた。
しかし、ライバルドは顔を青ざめながら首を横に振っていた。
「い、いえ、あの子のスキルはレベルEX。つまり、ポーション作成の最高レベルになります……」
さすがにそのレベルは国王も予想外だったようで手に持ったコップを落としてしまう。
「ま、まさかそなたはそれほどの力を持つ子を勘当……、いや、ただ迷子になっただけじゃったな。それならなおさらこの婚約の話、進めてくれ。もし失敗したらそのときはわかっておるな?」
国王の顔をまともに見られなかったライバルド。
顔色をこれ以上ないくらい青ざめさせて、冷や汗をだらだらと流しながら「はい……」と頷いていた。
◇◇◇◇◇
服を買いに来たレフィとルルカ。
本当はリルも来たがっていたけど、新しく買った服に毛がついたりとかすると大変なので今日だけは家で留守番をしてもらった。
「わ、私も服を着てみたかったのだが……」
「でも、リルって姿が変わるから……。さすがに変化に合わせて変わる服なんてないから仕方ないよ……」
事実を告げるとリルはぽかんと口を開けていた。
「ほ、ほらっ、元気出して、リル。パーティが終わったらリルのしたいことに付き合ってあげるから」
「や、約束だぞ?」
ようやく元気を出したリルは留守番を素直に引き受けてくれた。
◇
「それじゃあ早速パーティ用の服を買おうか」
店の中に入るとそこは様々な服が置かれていた。ただ、パーティ用の服は置いていなさそうだった。
まぁ、そんな服はオーダーメイドになるよね。
「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか?」
店員の人が出迎えてくれる。
「今度王城でパーティがあるのでその服を買いに来たのですけど……」
すると店員さんの目が光ったように見えた。
「なるほど、それなら完全特注の服になりますね。それに王城のパーティとなると日数も少ないですから……一着金貨五十枚ほどでいかがでしょうか?」
値段を聞いてレフィは驚きのあまり聞き返してしまう。
「金貨五十枚……ですか?」
「はい、貴族様の服となるとそのくらいはかかりますね」
そんなにお金がかかるんだ……。
いや、パーティ用の服は必要だけど、別に貴族の服じゃなくて良いんじゃないかな?
「貴族用じゃなくて普通の服だとどうですか?」
「えっと……、お二方は貴族のご子息様じゃ?」
「いえ、違いますよ。ただ、王城に誘われたので服を買いに来ただけなんですよ」
それを聞いた店員さんは少し残念そうな顔をしていた。
「それでしたら店内に置かれた服を見ていってください。どれでもパーティに着ていける仕上がりになっておりますので。お二人で銀貨四十枚ほどになります」
それでも高いんだけど……。
普通に数十日、宿に泊まれる金額に驚きつつもまぁパーティならそのくらいかかるかとため息を吐く。
その後ルルカと二人、服を選ぶとお店を後にした。
「お兄ちゃん、ありがとう」
帰り道、ルルカは本当に嬉しそうに笑みを見せてきた。
そして、なぜかルルカはレフィの家へと向かってくる。
「えっと、ルルカのお家は貴族街だよね?」
「ううん、せっかくだしレフィの家に住むよ」
「えっ!?」




