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幸せなポーションライフを  作者: 空野進
1.2.王都編
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20.幽霊の少女

「おい、レフィ。いいのか、あいつ幽霊だぞ?」

「うん、何か言いたそうだからね」


 レフィはそっと少女に近づいていった。

 すると少女は必死に何かを伝えようとしてくる。


 ただ、何を言おうとしているかわからないようだった。


「うーん、言葉がわからないことには何をしたがってるのかわからないね……。そうだ、これを飲んでみて……って君だと飲むことができないかな?」


 レフィは新しいポーションを作り出す。ただ幽霊が飲めるのだろうか? と言う疑問が浮かんだ。

 でも、幽霊浄化ポーションはかけて効果があったわけだし、なんとかなるかなと思い少女の方へともっていく。

 ただ、彼女は怖がって一歩後ろに離れていった。


 イヤイヤと必死に首を振っている彼女を見ると、もしかしてこれが浄化のポーションに見えているのかもしれない。


「大丈夫だよ、これは浄化ポーションじゃないから安心して……」


 怖がる少女にゆっくりとポーションを飲ませていく。

 体が半透明だけど、ポーションはしっかりと少女の体に入っているようだった、


「ふぅ、これで大丈夫だね。話してみて」

「えと、いきなり言われても……っ!?」


 少女の口から言葉が発せられて驚いていた。

 自分の喉を触ったり、発声をしてみたり、色々していた。


「ちゃんとうまくいったね。発声のポーション。これで直接話をすることができるよ!」


 レフィが笑みを見せると少女は小さく一度頷いていた。

 レフィからは見えなかったが、少女の目には涙が浮かんでおり、それを隠すように拭っていた。


「それで何が言いたかったの?」


 ようやく本題に入る。すると少女は顔を伏せながら答えてくる


「えっと、浄化するのは……待ってほしいの……」


「もしかして、浄化されるのが怖いの?」


 すると少女は首をかしげていた。

 どうやら怖いというわけではないようだ。


「その……、私たち普通の幽霊は時間が経ったら勝手に浄化するの。だからその少ない時間でいろんな所を見たいから……、浄化は待って欲しいの……」

「でも、そうなると僕の依頼が達成できなくなるからなぁ……。この館に住む幽霊を浄化することだし」


 レフィが困っていると少女が震えながら言ってくる。


「る、ルルカがここにいるのは理由があるの。そ、その、本当は外に住んでいたのだけど……」


 自分のことをルルカと呼んだ少女が窓の外を指さしていた。

 どうやらこれだけ大きな館だけあって庭があるらしい。そこにはきれいな花と十字に置かれた石があった。


「あれがルルカのお墓なの。本当ならあそこにいたのだけど、最近は猛獣が住み着いてもどれなくなったの……」


 ルルカの顔は恐怖で歪み、何かにおびえているようだった。


「なるほど……。それじゃあ、あのお墓を調べて、猛獣の問題を解決したらいいんだね」


 ルルカがコクコクと頷く。


「でも、お墓を調べてほしいならどうして幽霊で驚かしたりとかしていたの?」


 するとルルカはリルに話しかけていた。


「えっと、初対面の人は怖いの。突然浄化しようとしてくるから……」


 リルがため息を吐いていた。

 まぁ、相手は幽霊を浄化しようとしに来てるわけだし、対応としては間違ってなさそうだね。


「わかったよ、とにかくそのお墓というところを見に行ってみよう」


 ◇


 側にやってくると、ルルカが困っていた理由がわかった。

 お墓の周りには凶暴そうな顔をした犬が数匹うろうろとしていた。

 まぁ、町の中に猛獣なんているはずないよね。ただ、かなり大型の犬で怖がる理由もわかる。

 その犬を見た瞬間にルルカはレフィの陰に隠れていた。


 なるほど、あの犬がいるせいでお墓に帰れず、仕方なくこの館に住み着いてしまったわけだ。でも、ここにお墓があるということはルルカはこの家の子?

 少し気になったもののとにかくまずはあの犬を追い払ってみよう。


 犬と言えば鼻が利くもんね。


 レフィは臭いがきついポーションを放り投げておいた。

 効果自体は特にないがとにかく臭いがひどいもの……。

 突然薬瓶が放り投げられて犬たちが恐る恐る近づいてくる。


 ただ、臭いを嗅いだ瞬間にすぐ逃げ去っていった。


「さて、あとは――」


 再び戻ってこないように墓の周りにもそのポーションを撒いておいた。


「これでもう大丈夫だよ」

「あ、ありがとう……」


 ルルカは嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 そして、ゆっくりお墓の中に入っていく。


「これで安心して過ごせるの……。お兄ちゃん、本当にありがとう……」


 そのままお墓に消えていった。


 消えてしまったルルカのことを思いながらレフィはそばに生えている花を摘んで、墓に添えていた。


「さて、それじゃあ依頼も完了したことだし、冒険者ギルドに戻ろうか」


 リルの方へ振り向くと笑みを浮かべる。

 ただ、レフィの表情はどこか晴れなかった。


 ◇


 冒険者ギルドから依頼料をもらったレフィはどこか晴れない気持ちのまま眠りについた。


 そして、気がつくと翌日になっていた。


「お兄ちゃん、起きて!」


「うーん、もうちょっと寝かせてよ……。まだ夜だよ……」

「そんなわけないよ! 外は明るいんだから。ほらっ、目を覚まして!」


 無理やり布団を取られる。


「もう、リルは……。まだ眠いって……あれっ?」


 リルが起こしてきたのかと思ったが、目の前にいたのは全く違う人だった。


「起こしに来たよ、お兄ちゃん」


 そこにいたのは笑顔を見せたルルカだった。


 それを見てレフィはある疑問が浮かぶ。


「どうして、浄化されてないの?」

「えっ、だから時間がたたないと浄化されないって言ったよ?」

「そ、それじゃあ昨日消えたのは?」

「あれは眠たくなったからお墓に戻って寝てたんだよ」


 どうやら自分が考え過ぎてたようだ。

 レフィは苦笑をしていた。

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