加護を与えよ その2
「あの…… 怜奈様。
そのような、お顔をされましても」
目を細目て遠くを見透かすかして「うわ、きたな」と汚物を当てる形相で――アホなの! 呆れてものが言えない ちゅうの。
なになに? 魔王でも産みだせっていうの
「あの、怜奈様。
心の声が駄々漏れですよ」
「……」
もしかして、考えてることが分かるの?
「はい。
といっても、何となく意思表示が伝わってくる感じです」
「そうなの……」
迂闊に変なこと考えれじゃないのさ
「あ、それについては大丈夫ですよ。
相手を意識しないとわかりまんから」
「よかった」
四六時中、覗かれているとのかとゾッとしたよ
「声が駄々漏れの怜奈様に隠し事なんて、土台無理な、お話ですけどね」
「なんですと」
「じょ、冗談ですよ。
本気にしないでくださいよ」
「……」
いや、その態度は信用していいものなのか、怪しさ満点なんですけど
精霊のメルリは一度硬直して、冷や汗を拭い青ざめた。そして薄ら笑いを浮かべながら答えた。
あからさまに、こんな態度をとられたらさ、信憑性ゼロなんですけど――突然、なんの予兆もなしにガイドアナウンスが流れた。
『マスター様。
プレイヤー皆様がログインを希望されています。
接続の許可を致しますか?』
「……」
へ? なによそれ、意味分かんないんですけど
困惑して対応できないで呆けてしまった。
『マスターの反応がない為。
ログインの強制実行が行われます。
尚、初期ログイン者数は二万九千九百九十九名です。
マスター様の対応宜しくお願い致します。
よき旅を』
一枚の紙が具現化して手元に現れた。
対応マニュアル…… て。
「怜奈様。
女神の初仕事ですよ」
よかないわ! いや、ちょっと、まちなさいよ
のんびり書いています。
書くのは諦めませんので気長に……。