目覚め
なんとも目覚めの悪い夢を見てしまった、最悪の気分です。
頭痛が酷い、お酒を飲みすぎて二日酔いで気持ち悪い気分に似ていますが、飲んだ記憶が、まったくありません。
辺りをキョロキョロ見渡して、うん、なんの疑いもなく飲んだ後。散々騒いで大騒ぎしたに違いない、嘸や楽しかったことでしょう。そんな状況なのは一目瞭然――ペチペチ 頬を叩かれた。
小指くらいの弾力が頬に押し当たる。
「ご主人様。ご主人様。いつまで寝ているんですか。
いい加減起きて下さい」
体長十五センチのちっこい体で仁王立した精霊が、不機嫌そうに睨み付けている。
「……」
「ご主人様、お酒臭いですよ」
机の上に頭を埋めいたにしては、フカフカベッドで寝ていた心地よさなのに、起きたのが机の上て何か変で、不可解な気分にさせられます。
ゆっくり体を起こした。
夢? まだ寝ているんじゃないのと頬を抓ってみた。痛いです。目の前で羽もないのにプカプカ浮いている、精霊は紛れもなく実物であり私が描いたキャラクターで間違いはない。
役割はプレイヤーのサポート。
「起きていますか?
ご主人様」
いたって冷静なのは、夢の中で神々と話をしたからだと思う。
今思えば、現実なのか夢なのかは定かではないのだけれど、こうして目の前に妖精が居るのだから本当の事なんでしょう。
私が製作した異世界にいるのだと。
神々は私に説いて話した、新たな世界の雫を下界に落としたのがたまたま私の上だった。
私が想像した世界がパソコンを媒介にして構築して具現化。現実に存在する世界に変わった。
それと、私は人を辞めさせられた挙げ句に、空想の女神に無理矢理転生させられた。その後が問題なんだよ、その後が。
私を女神にした後、ハイテンションになった神々達が宴会を始めて、散々飲まされて……。
ふ、二日酔いなのは、あ奴等のせいか!
「ご主人様?」
「ごめん、無視してて」
心配してるのにごめん、整理するのに時間が掛かっちゃいました。
この子は私の補佐をするために神々が寄越してくれた、精霊のメルリ。
栗毛のポニーテールをした女の子。精霊に性別はないと聞いていたのに、もう見た目が女の子じゃんか。
信用した私が馬鹿でした
「ご主人様?。
そろそろ、初めてもいいですか?」
「なにを?」
「チィートリアル」
「は? ちょっとまって。
私が旅するの?」
「はい、ご主人様以外。
誰が居るんですか?」
話がちがぁうじゃいの
「え? だって神々の話だと選ばし者を導いて旅をさせよ。
だったはずでしょ」
「ですから、ご主人様が選ばし者」
なによ、それ!
私が想像した世界を、私自身で旅するってどうなの。ストーリー知っていて、エピローグやイベントは勿論、細かい人物設定まで知っているのよ。
「ご主人様。
いえ、空想の女神、雪島怜奈様、人はそんな都合よく動くのもではありません。
ご自身で旅をすれば、お分かりになられると思います。
ですので、改めてまして怜奈様が、ご想像になられた世界の説明をさせて頂いても、よろしいでしょうか」
「そこまで言うなら、お願い」
なんだろう、すんごく嫌な予感がするのは気のせい?